前回は「優しさ」をテーマにした本をご紹介しましたが、職場や子育てをしている中で、厳しくしなければならないことがたくさんあるのも、また事実。その一方で、最近では、嫌われたくない、評価が下がる、といった理由から、部下を叱れない上司も増えているそうです。
叱らなくてはいけない、または叱ったほうが相手のためになるとわかっていても、周りの目が気になってしまう。自分も嫌な気もちにならなくて済む・・・さまざまな理由で、優しい上司・親という仮面を脱ぎ捨てられないでいるのかもしれません。
無理に厳しくすることはありませんが、やはりここぞという場面では、叱ることも必要です。そこで今回は、「叱る」をテーマにした本をご紹介いたします。叱る立場の方も、叱られる立場の方も、一緒に考えてみませんか。
ゆとり世代だって、本当は叱られたがっている?
部下がついてくる人、離れていく人の叱り方
少し前になりますが、レジェンダ・コーポレーションが新入社員を対象に「正当な理由があれば、上司や先輩に叱られたいと思うか」という調査(2012年)を行ったところ、「とても思う」「やや思う」を合わせて78.5%が叱られたいと回答したそうです。
とはいえ、叱る内容や伝え方など、叱り方を間違えれば、叱った上司も叱られた部下も嫌な気持ちが残るだけ。本書で指南する”正しい叱り方”を学べば、お互いにWin-Winになる叱り方を身につけることができます。
著者:齋藤 直美
出版社:あさ出版社
出版日:2015年07月21日
詳細はコチラ→https://www.flierinc.com/summary/709
『私、人見知りなんです』は甘え(本書より)
叱られる力
聞く力2
叱る側も叱られる側もWin-Winにするには、叱られる側にもテクニックが必要です。叱る側がいくら配慮しても、受け取り方を間違えてしまえば、すれ違いが起こってしまうのは当たり前ですよね。
150万部のベストセラーとなった『聞く力』の第2弾として書かれた本書は、会社で部下の立場にある方(社長以外全員ですね)に、ぜひとも読んで欲しい一冊です。叱られる力といっても、内容は伊集院静氏、泉谷しげる氏、著者である阿川佐和子本人の、くすっと笑ってしまうエピソードが中心。本の中で叱られることはないので、ご安心を。
著者:阿川 佐和子
出版社:文藝春秋
出版日:2014年06月20日
詳細はコチラ→https://www.flierinc.com/summary/222
新社会人に必須のスキル!?
怒られ力
新社会人は打たれてナンボ!
「怒る」と「叱る」は違うと言われますが、どこが違うのでしょうか?一般的に、怒る=感情的・自分のため(感情の発散)、叱る=理性的・相手のためという解釈が多いようです。まぁ、叱られる・怒られる側にしたら、嫌な気分になることは変わらないわけで、少しでも上手い対処法を身に付けるのが一番ですよね。
そういう意味で本書は、前出の『叱られる力』と同じ分類の本といえます。ただしエピソード集ではなく、落語家・桂福丸の実体験をもとに新社会人マサオを通して怒られ力を学んでいく、という構成のため、すぐに身につくノウハウを知りたい人にはピッタリです。
著者:桂 福丸
出版社:明治書院
出版日:2014年04月24日
詳細はコチラ→https://www.flierinc.com/summary/235
「夕食をつくって待っていたのに、連絡のひとつもくれないなんて!(泣)」
・・・こんな伝え方では、旦那さんが怒るのは当たり前です
アンガーマネジメント
怒らない伝え方
職場で、家庭で、恋人に・・・これまで怒りたくなった場面は、みなさんも数知れずあると思います。中には、怒りをぶつけてしまって相手との関係を壊してしまった、という人も多いのではないでしょうか。
ですが、怒りの感情を持つことも、それを表現することも、決して「悪いこと」ではありません。大事なのは、伝え方なのです。本書では、シーンごとに、いい伝え方と悪い伝え方を○☓で紹介。覚えておけば、咄嗟の時に上手く怒りの感情を伝えられるはずです。
著者:戸田 久実
出版社:かんき出版
出版日:2015年05月22日
詳細はコチラ→https://www.flierinc.com/summary/598
上司の”暴力”から身を守る
クラッシャー上司
平気で部下を追い詰める人たち
これまで紹介してきた「叱る」「怒る」では、大前提に、相手とコミュニケーションを取ろうとしていることがわかります。しかし、最後に紹介する「クラッシャー上司」は、その大前提がありません。意味合いとしては、パワハラ(職場の権力を利用した嫌がらせ)の進化版といったところでしょうか。著者は、部下を精神的に潰しながら、どんどん出世していく人物、と定義しています。
こうした上司がいた場合は叱られ力や怒られ力では、まったく太刀打ちできません。本書で紹介しているような、周りの力を借りるといった解決法を試みてみることをおすすめします。
著者:松崎 一葉
出版社:PHP研究所
出版日:2017年01月14日
詳細はコチラ→https://www.flierinc.com/summary/1087
記事作成:宮本 雪
本の要約サイト フライヤー
本連載は、1冊10分で読めるビジネス書の要約サイト「flier(フライヤー)」の記事をもとに再構成したものです。
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