特定(ひとつ)の企業や組織に属さない「フリーランス」という働き方。アメリカではフリーランス人口が35%に上り(Freelancers Union、Upwork調査「Freelancing in America: 2016」)、日本でも労働力人口の17%に当たる1,122万人がフリーランスとして活躍しています(ランサーズ「フリーランス実態調査2017年版」)。
これだけ数が増えているにも関わらず、フリーランスをサポートする仕組みやサービスは数はまだまだ少ないのが現状。また組織と違って、同業者との横の繋がりや、クライアントと知り合う機会も多くはありません。
そこで今回開催されたのが、フリーランサーによるフリーランサーのためのイベント「Freelance Night」。開催する数週間前から100名の定員が満席になるなど、フリーランサーの期待の高さが窺えます。では、当日の様子はどうだったのでしょうか?まずは、フリーランサーによるLightning Talkからご覧ください。
■依存先を増やして、リスクを分散させる―黒田 悠介さん
まず僕自身のことについてですが、新規事業のディスカッションパートナーをやらせていただいたり、「文系フリーランスって食べていけるの?」というメディアの編集長をしていたりと、自分を実験台にして新しい事業や働き方を生み出すことを生業にしています。ちなみに”文系フリーランス”ってGoogleで検索すると、一番上に出てくるので、ぜひ検索してみてください(笑)。
次に、今回のイベントを企画した「Freelance Now」についてですが、フリーランスの人たちに勝手に仕事が集まるグループをつくりたい!と思ってつくりました。で、何をやっているかというと、フリーランスと企業をセルフマッチングすることができます。運営をはじめて95日目でメンバー数は640名で、企業からの案件の依頼数は60件くらい。大企業やメガベンチャー、スタートアップまで、いろんな企業に使っていただいてて、本当にありがたいことです。メンバーがもっと増えることで、ここに頼めば誰かがやってくれる=「できる人がいない」をなくす状態がつくれるのでは、と思ってます。
ここでちょっとみなさんにも考えてほしいのが、フリーランスの依存先の話です。仕事をいただく先としては、企業、コワーキングスペース、クラウドソーシング、オンデマンドプラットフォーム、スキルEC、エージェントなどがあると思いますが、ひとつのところに依存してしまうと、万が一それがダメになったときに大変ですよね。でも3つとか4つとかあれば、安心できる。余裕もあるから、交渉力もつくんです。
Freelance Nowも、こういう依存先のひとつ先として考えてもらえればな、と。企業もフリーランサーも無料で利用できますし、「ここに行けば仕事がある!」というコミュニティにしていきたいですね。というわけで、今日はFreelance Nowで、リアルな横のつながりをつくる場として、Freelance Nowを開催させていただきました!ここから新しいつながりができたり、プロジェクトが生まれたり・・・ぜひ楽しんでいってください。
■社会人経験ほぼゼロから、好きを仕事にできる!―田島 一希さん
Podcastプロデューサーという肩書で活動しています。まず僕の経歴を簡単に紹介すると、学校を出て、ブライダル会社に入ったのですが、満員の通勤電車とかいろいろストレスがあって(笑)、「なんとかストレスから解放される働き方はないか?」ってずっと考えていたんですよね。そこでたどり着いたのが、フリーランスだったというわけです。
フリーランスの魅力っていろいろあると思うのですが、僕自身が感じているのは、こんなところですね。
・学歴ではなく人生歴で勝負できる
・履歴書を書かなくていい
・個人事業主の申告だけでOK
・事業の枠にはまらず、好きな事業を興せる
それで今は、次世代型フリーランスとして、N-Workerの魅力を発信することもやっています。N-WorkerとはNatural(自然体)で、Neutral(中立的→組織に属さない)、Nomadic(遊牧的→時間と場所に縛られない)、Newtype(新型の)という意味で、「強い個人として働くには何が重要なのか?」と考えた時に出てきたキーワードがこれだったんです。
このN-Workerがどういう人かというと、いわゆるフリーランスの枠からはみ出ちゃった人、自分のやりたいことをそのまま仕事にしちゃった人で、僕の周りだと、雇われ起業家、出版プロデューサー、働き方データアナリストとか、いろんな人がいます。
僕自身も、今25歳なのですが、22歳で独立してたった4年でPodcastの番組を15個以上もつくったりとか。まったくのゼロベースでもできてしまうものなんです。
■仕事=点ではなく、繋がり=線で考えてみることで、やりたいこと・やるべきことが見つかる―川口 美樹さん
今日、ここで話したいことはひとつだけです。『みなさんの「本当に」やりたいことはひとつだけ』という話ですね。
まず僕の話をすると、イベントの運営からワインの輸入、執筆など、いろんなことをやっているのですが、みなさんからすると「で、いったい何をしてる人なんですか?」という話になる。そうですよね、これだけ関連性のないことをいくつもやっているわけですから。
考えてみてもすぐに答えはでなかったのですが、演劇のワークショップが転機になりました。そのワークショップは、一般の、いわゆるおばちゃんを対象にしたものだったのですが、最初は「こんなの絶対ムリです」って言っていた方が、ある時「自分がこんなにできるなんて知らなかった」って驚いていて。それを聞いた時に、僕の使命は『人々の表現を最大化することなんだ』と気づいたんです。
一つひとつの仕事=点で見るのではなく、どんな線で繋がっているのかを考えてみる。そうすると、僕にしかないストーリーで仕事が繋がるんです。
近い将来、単純な仕事はAIに奪われることが確実と言われていますが、こうしたストーリーとミッションの掛け合わせをすることで、差別化ができるのではないかと考えています。
■フリーランスとして大事なのは、自分の価値=値段を正しく見極めること―伊藤 和歌子さん
今日は「一人三役、会社に囚われない働き方」をテーマにお話させていただきます。私自身は、新卒でニフティに入社し、システムエンジニアでキャリアをスタートしました。その後、人事を経験させていただき、ワミィ株式会社を設立しました。ここでは主に、3つのことを軸に事業をしています。
①採用支援・人事コンサルティング事業
②新規事業の構築など、カスタマーサクセス支援
③人事とITのコミュニティ運営
この中でも①がフリーランス的な仕事になります。ここでよく相談されるのが、「自分の値付けってどうしていますか?」ということ。その際にアドバイスするのが、前職の給与や生活費はいったん忘れる、ということなんです。
こういう風に個人の金銭感覚で考えるのではなく、あくまでも法人の金銭感覚で考える。つまり、提供できる価値から金額を逆算していくことが必要なんです。もしここで、時間にコミットした働き方をしているとわかったのなら、もしかしたらサラリーマンの方がいいかもしれない。ぜひもう一度、フリーランスになった意味を考えてみて欲しいな、と思います。
■いい仕事をする秘訣は、完璧を求めすぎないこと―池田 正樹さん
人前って慣れないので、5分どころか3分で終わらせます(笑)。料理長兼フリーランスみたいな肩書でやってます。
今日話したいのは、複数社で働くということについて。複数の会社で働くというのは、複数の責任を負うことで、プロである以上、フルコミットしているのと同じくらいのアウトプットが求められるわけで。でもそこで、100%以上の成果を出そうとすると、過労で倒れたりメンタルがやられたりする。
そんなわけで、人生のテーマが「完璧を捨てろ」。ルールとしては、①即レスをする、②即戦力になれないことにはクビを突っ込まないこと、これが大事。で、逆にやりたいことは、人事と交渉すればなんとかなることが多いわけで。こうやって上手くコントロールしていかなきゃダメだよっていう話でした。
■渡り鳥のようにストレスフリーに生きる―栗和田 大輔さん
みなさんは渡り鳥ってご存知ですか?季節によって住む場所を変える鳥ですね。この渡り鳥と同じような働き方をするという意味で、渡り鳥フリーランサーの実験をしています。
具体的には、春と秋は東京、夏は北海道・十勝市、冬はフィリピンのセブ島で暮らしていて、上手くいけば東京でずっと暮らしているのと変わらないコストで、生活ができるんですね。それでいて、いろんなところに暮すことで仕事も広がっていくというメリットが享受できるわけです。
そもそもなんでこんな働き方をしようと思ったのかというと、過度なストレスというのが能力を下げるという話を聞きまして。夏の暑さとか冬の寒さとかも立派なストレスじゃないか、と。じゃあ、最大限にパフォーマンスを発揮するためにはどうしたらいいか?と考えた時に、渡り鳥のように場所を移動することがいいんじゃないかと思ったんです。
ちなみに、この地球で、人間として生まれる確率はジャンボ宝くじが100万回連続で当たる確率と同じらしいです。こう考えると、最大限のパフォーマンスを発揮しないともったいないですよね。
(後編へ続く)
※「Freelance Night」大好評につき、2回目を開催いたします!
興味をお持ちの方は、ぜひ会場にお越しください!
■日時:8月24日(木)19:00開始(開場18:45)
■場所:五反田駅から徒歩3分
以下のサイトからご応募ください
http://freelancenow02.peatix.com/
取材・記事作成/宮本 雪
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