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前回から『イクボスのマネジメント心得』と題し、3回に分けてお話していますが、①オーダーメイドなマネジメント、②チームワークの向上、③ボス自身の覚悟のうち、今回は②の「チームワーク向上」についてフォーカスしてお話しします。

個を起点にチームで勝つ

私は小学校から大学までずっとサッカーをやってましたので、まさにチームスポーツで育ってきました。なので、チームの力を信じています。サッカーは11人なので、いくら1人が圧倒的に上手かったとしても、強いチームを作ることはできません。一方で、チームワークが良ければ個の力は関係ないかというと、そうでもなく、局面は個人技で突破しなくてはいけないことも多々あります。どうすれば強いチームが作れるのか。そんなことをずっと考えてきました。

私がリクルート時代、印象的だった組織のスローガンが「個を起点にチームで勝つ」という言葉です。最初、このスローガンを聞いたとき、「どっちやねん!」って思ったのですが、この言葉を大事に組織作りをしていく過程で、言っていることが分かってきました。

結局は最後の「勝つ」ということがゴールで、結果出すということなのですが、スタート地点は実力やモチベーションといった個人の力であって、その力を最大限発揮出来るような環境を作っていくことです。そういった環境で、メンバー個人個人が自己を磨き、意識高く自律的に動いていきます。この前提(起点)があるチームと、そうでないチームの強さは歴然と違います。つまり、チーム作りにはこの順序が大事だということになります。逆に個に着目せず、いきなりチーム作り、ルール作りから入るとトップダウンの管理統制型になり、個が死んでしまう。それでは強いチームは作れないと思っています。

もはやマネジメントはアート

また、私はチームの強さというのは組み合わせだと思っていて、チームメンバーがそれぞれの強み弱みや役割を補完することが大事だと思っています。ここまでの連載でお話ししてきた通り、昨今はメンバー全員が、朝から晩までフルコミットできる正社員働きマンばかりではありません。雇用形態もバラバラ、勤務時間もバラバラ、在宅勤務などで勤務場所も異なる、それに加えて、子育てや介護、副業といった制約も加わってきます。

この一つ一つ形も大きさも違うカードをつなぎ合わせて、ミッション達成に向けて、組織を運営していかなければいけません。マネジメントの難易度は昔とは比較にならないくらい難しくなっていると言えると思います。個々のスキル、状況、感情などをしっかりと捕まえたうえで、組み合わせを設計できることが必要で、もはやマネジメントはアート(芸術)なんじゃないかとも思っています(笑)

目標と目的の違い

この複雑で難易度の高いマネジメントをしていくにあたって、最強の武器は「旗」です。つまり、個々の能力や状況が異なるメンバーをまとめあげて、一つの方向に進んでいかなければいけないわけで、その方向が分かるように高い旗を立てるということです。高い旗というのはビジョンであり、組織の目的です。つまり「誰のために、何をするのか」ということですが、これが決まっていて、浸透しているチームはやっぱり強いです。そしてこの旗の向きが、社内を向いた内向きなものよりも、社外、社会を向いた外向きなものの方が求心力があります。

KPIを設定して、そこに向かって進捗管理していくというマネジメントをしている企業が多くなりましたが、KPIはあくまで目標ではあり、目的ではありません。目標と目的の違いですが、目標は「標(しるべ)」ですので道で、目的は「的(まと)」ですので、ゴールです。昨今、目標ばかり追って、目的を見失っている人があまりに多いと感じています。「それ何のため?」「そのやり方がベストなのか?」ということを考えることなく、ただただやっていますし、マネジメント側も何も考えずに、良かれと思ってマイクロマネジメントしています。こんな目的を失ったチームが強くなるはずがありません。だからこそ、ボスにとって大事なのはこの高い旗を掲げる力なのだと思っています。

まとめ

今回はイクボスのマネジメント心得②として、「チーム力向上」についてお話しました。チームは組み合わせであり、マネジメントとは個々の素材の良さを理解して、活かしていくアートなんだとお話ししました。また、複雑で難易度の高いマネジメントをしていくためには自ら高い旗を掲げ、ゴールに向かって進む推進力を作っていくというのが、チーム力向上そのものなんだと思っています。

記事制作:
株式会社ミライフ 代表取締役社長 佐藤 雄佑

佐藤 雄佑
新卒でベルシステム24入社。マーケティングの仕事に従事。そこで「やっぱり最後は人」だと思いリクルートへ。リクルートでは営業、支社長、人事GM、エグゼクティブコンサルタントなどを歴任。MVP、MVG(グループ表彰)などの表彰多数受賞。リクルートホールディングス体制構築時(2012)には人事GMとして、リクルートグループ(現リクルートキャリア)の分社・統合のプロジェクトを推進。子供が生まれた時には、半年間の男性育休を取得し、主夫を経験。2016年、株式会社ミライフ設立。

ノマドジャーナル編集部
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