中央アジアの内陸に位置するウズベキスタンは、旧ソビエト連邦の共和国の一つです。ソビエト時代の政策で、数十年間過剰な綿花の生産が行われ、それが環境に大きな悪影響を及ぼしています。環境問題もさることながら、この国では依然として綿花栽培への強制労働が行われています。

政府が強いる綿花畑での強制労働

世界銀行は、ウズベキスタンにおける強制労働と児童労働に関連する農業プロジェクトに50億ドル(約5千627億円)の資金を調達しています。このローン契約の下では、ウズベキスタン政府は強制労働と児童労働を禁止する法律を遵守する必要があり、世界銀行は違反の信憑性のある証拠があれば貸付を停止することができることになっています。

「綿花の収穫を拒否できない:ウズベキスタンへの世銀グループ融資に関連する強制労働と児童労働」という115ページのレポートには、ウズベキスタン政府が2015年と2016年に綿花畑で、生徒、教師、医療従事者、公務員、民間企業就業者、時には子供に強制労働をさせた詳細が報告されています。政府は綿花畑の労働を拒む人を解雇、福祉給付の停止、追放などを使って脅かしています。

今年6月にも、ウズベキスタン・ドイツフォーラム(UGF)は、政府が再び子供たちを含む市民に綿花やカボチャ、トマトを植えさせる強制労働を強いていることを明らかにしました。

ウズベキスタンの綿花産業

ウズベキスタンは世界で5番目に大きな綿花生産国です。原綿の約6割を中国、バングラデシュ、トルコ、イランに輸出しています。ウズベキスタンの綿花産業は100万トンの綿繊維から、年間10億ドルの歳入を上げ、それは国内総生産(GDP)の約4分の1に当たります。

2015年と2016年に世界銀行は、ウズベキスタン農業部門へ5億1,875万米ドル(約583億7千900万円)の融資を行いました。ウズベキスタン政府は、プロジェクトに関連した強制労働や児童労働を使用しないことを約束し、世銀は独自に虐待を監視して、犠牲者が救済を求める方法を作り出すことを約束しています。しかしウズベキスタン政府は、灌漑プロジェクト分野を含めて、莫大な数の人々、時には10歳から11歳の子供たちを引き続き困難な状況での長時間労働に駆り立てています。

18年戦い続ける人権活動家

女性活動家のエレーナ・ウルレーバさん(60)は、これまで当局から数えきれないほど逮捕されました。朝家を出ても、その日家に帰れるという保証はありません。「逮捕されない週は、いい週だわ」と彼女は言います。ウルレーバさんは、非政府組織であるウズベキスタン・ドイツフォーラム(UGF)唯一の公開調査モニターです。他にもいるモニター達はリスクのために潜伏しています。彼らは当局による監視、脅威、嫌がらせ、頻繁なノートや電話、フラッシュドライブの没収にあっています。

ウズベキスタンの農業部門では、UGFモニターやその他の活動家達が、世界銀行の資金援助を受けたプロジェクトに関連した虐待など、強要と厳しい労働条件を示す証拠を7年以上にわたって集めています。 彼らは実際に、ウズベキスタン政府と政府系組合と協力して世界銀行のために綿花収穫作業中の労働慣行を監視している国際労働機関(ILO)よりもはるかに多くの証拠を集めているのです。

彼女たちは、綿花収穫者たちが何週間も、込み合った不衛生なシェルターに閉じ込められるのを目撃しています。時には十分な食物もなく、コンクリートの床に寝て、一日10時間の労働を強いられるのです。

ウルレーバさんは18年間活動家として働いています。ウズベキスタンの虐待的な国家強制労働プログラムを公開するためには、日が昇る前に家を出て、ゲリラのように働かなければならないのだそうです。精神病院へ閉じ込められたことも何度もあります。
病院で彼女は、手が震えて病気になるような強制治療を受けたと言います。昨年病院当局はすでに、医学上の理由で彼女の入院が必要だったという偽装はせず、「公式命令」を理由に彼女の退院を拒否しています。国際的な圧力で病院から解放されたエレーナさんは、それ以来ウズベキスタンの最も強力で恐れられているセキュリティサービスによって絶え間なく監視されています。

彼女と同僚たちは、これまであらゆる機会を使ってこの現実を知らせようとしてきましたが、ILOも世界銀行もこの情報に十分に耳を傾けていません。世界銀行は、強制労働に結びついたプロジェクトに引き続き資金を提供しているのです。

まとめ

20年以上にわたって独裁政治を続けてきたウズベキスタンの前大統領イスラム・カリモフ氏が昨年秋に亡くなった後、新大統領のシャヴカット・ミズヨイエヴ氏は改革を約束しており、このリーダーシップの変更は政府や国際金融機関に包括的な改革の機会を与えるものと見られています。しかし現実には政府の指揮する強制労働は廃止されていない模様です。

ウルレーバさんは言います。「当局は自発的にこの大量強制労働制度を放棄するつもりはありません。人々を仕事から奪って綿花畑に送ることは、あまりにも有益だからです。」それでも「我々人権擁護者は、国民のためにこれを変更する責任があるのです。」

参考記事:

https://www.hrw.org/news/2017/06/27/witness-declared-insane-speaking-out
https://www.hrw.org/news/2017/06/27/uzbekistan-forced-labor-linked-world-bank

記事制作/シャヴィット・コハヴ (Shavit Kokhav)

ノマドジャーナル編集部
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