政府が主導する働き方改革に伴い、時短勤務や在宅ワークなどを選択できる企業が増えたり、副業が原則容認になるなど、日本人の働き方は今後もどんどん多様化していくと考えられます。

働き方改革が良いか悪いかという議論はいったん置いて、一連の働き方改革の動きの中に「起業の促進」という項目がないことを、不思議だと感じませんか?

なぜなら起業すること自体が、重要な役割を果たしているからです。新しいビジネスが生まれれば、少なからず業界や社会に影響を与えます。ライバル企業は自社の製品をもっと良くしようと改良を始めるでしょうし、既存のビジネスとコラボレーションしてさらに新しいビジネスができる可能性もあります。こうして産業が活性化されれば、新しい雇用も生まれます。つまり、起業率を高めることが、社会や経済を良くするための方法のひとつなのです。

ですが、現状の総合起業活動率(TEA:18歳〜64歳で起業の準備を始めている人+創業後3.5年未満の企業を経営している人)は、先進国で最低水準の4.8%。アメリカの11.8%の約1/3に留まっています。

日本人の気質や企業文化、法律といった問題で起業にチャレンジできない人もいると思いますが、ほとんどの人は、「なんとなく失敗しそうで怖い」というイメージなのではないでしょうか。そこで今回は、起業に関する本を集めてみました。興味のある人はもちろん、興味のない人でも、正しい知識を得る、いい機会になると思います。そのうえで、ぜひ働き方のひとつの選択肢として考えてみてもらえればと思います。

小さく、ゆるやかに、でも確実に準備をすることが大事

起業したくなったら


あなたは何に不安を感じて、起業をためらっているのでしょうか?お金のこと?倒産のリスク?そもそも知識が足りないかもしれない?・・・こうした疑問をすべて解消できるのが本書です。
約20年で数千人もの起業家を支援してきた著者が、「起業して成功する」ために、やっておいたほうがいいことを紹介。読み進めるうちに「起業は難しい」というイメージはどんどん薄れ、すぐにでも行動を起こしたくなるはずです。

著者:浜口 隆則
出版社:かんき出版
出版日:2015年05月18日
詳細はコチラ→https://www.flierinc.com/summary/630

「投資家が何を求めているか」知っていますか?

起業のファイナンス 増補改訂版
ベンチャーにとって一番大切なこと


「stapi(スタピ)」が行ったアンケート調査(https://www.stapi.jp/blog/questionnaire/starting-business/challenge-of-companies)によると、起業時の課題として、資金調達が第2位にランクインしています。会社を運営したり、事業を始めるにはお金が必要。そのためのお金をどうするのかを考えることは、避けては通れない課題です。
そこでぜひ手に取っていただきたいのが本書です。良い事業計画はどうやってつくるのか、ストックオプションの活用方法など、ベンチャー企業に必要な財務戦略を、やさしい言葉でわかりやすく解説。成功したいなら、必ず読んでおくべき一冊です。

著者:磯崎 哲也
出版社:日本実業出版社
出版日:2015年01月16日
詳細はコチラ→https://www.flierinc.com/summary/479

まずは「やりたいこと」より「お金になること」(目次より)

失敗のしようがない 華僑の起業ノート


日本人は、起業といえばアメリカ、お金持ちになるならユダヤから学ぶ、ということが、なんとなくスタンダードになっているような気がします。ですが、学ぶなら断然、華僑がいいと著者は言います。
その理由は、日本人と同じ東洋人だから。グローバルで有利なアメリカやユダヤといった白人の真似ではなく、非白人の真似をするほうが理に適っている、というわけです。本書は、日本人で唯一、華僑の弟子になった著者が門外不出のノウハウを惜しみなく放出。他人より頭一つ抜きん出たいのであれば、他人とは違うことをやってみてはいかがでしょうか。

著者:大城 太
出版社:日本実業出版社
出版日:2015年05月01日
詳細はコチラ→https://www.flierinc.com/summary/504

起業の新しい常識・定石がここにある

逆説のスタートアップ思考


単に、起業したばかりの会社(=ベンチャー企業)ではなく、爆発的な成長を遂げる=スタートアップを目指す人に向けた本。
ゆるやかな成長を目指すのと違った成功法則が、スタートアップにはあるとして、具体例や著名な起業支援家、投資家の言葉とともに紹介されており、説得力は抜群。「多数の好きより少数の愛」「スタートアップのアイデアは「考え出す」のではなく「気付く」もの」といった逆説を、ぜひ、自分が考えている事業に当てはめて考えてみてください。

著者:馬田 隆明
出版社:中央公論新社
出版日:2017年03月10日
詳細はコチラ→https://www.flierinc.com/summary/1128

成功するかどうかは、やるかやらないか、の違いだけ

裸でも生きる
25歳女性起業家の号泣戦記


中学でいじめを受けたのを機に、高校では男子柔道部に入部。偏差値40から3ヶ月で慶應大学に合格。竹中平蔵ゼミで開発学に出会い途上国援助に目覚め、卒業後は単身でバングラデシュに渡り、途上国ブランド「マザーハウス」を創業―著者・山口氏のジェットコースターのような四半世紀を綴った自伝的エッセイです。
最貧国で次々に待ち受ける過酷な現実を乗り越え、挑戦を続ける彼女の姿は、日本という安全な場所でくすぶっている私たちの心を大きく揺さぶってくれます。読み終える頃には、起業への不安も一気に吹き飛んでいるでしょう。

著者:山口 絵理子
出版社:講談社
出版日:2015年09月17日
詳細はコチラ→https://www.flierinc.com/summary/903

記事作成:宮本 雪

本の要約サイト フライヤー

本連載は、1冊10分で読めるビジネス書の要約サイト「flier(フライヤー)」の記事をもとに再構成したものです。

フライヤー

ノマドジャーナル編集部
専門家と1時間相談できるサービスOpen Researchを介して、企業の課題を手軽に解決します。業界リサーチから経営相談、新規事業のブレストまで幅広い形の事例を情報発信していきます。