副業の様々な職種を考えるにあたって、前回は講師系の仕事を見てきました。
今回は2つ目の職種、接客系の副業について考えてみたいと思います。
副業のパターン 2.接客系
接客系の仕事もまた、副業の職種として代表的なものです。主にファミレスやファストフード、あるいはコンビニなどでの勤務がありますが、いずれも勤務シフトが細分化されているので、自分のスケジュールに合わせて勤務時間を考えることができます。
よって副業として働く場合、昼間の本業を終えた後、夜のシフトに入るパターンが最も多いでしょう(中には時給の高い深夜シフトに入る人もいますが、本業に支障をきたさないよう、十分に気をつける必要があります)。
また、こうした一般的な接客とは別に、夜のお仕事を副業とする人もいます。キャバクラ、スナック、パブ、あるいはホストクラブといった「大人のお店」での勤務です。時間給は通常のアルバイトより高く、夜の時間を効率よく使える点は大きなメリットでしょう。
もっとも、若さと色気が求められる特殊な仕事であり、誰にでもできる仕事ではありません。またお店によっては集客のノルマを課せられる場合もあるので、事前によく確認する必要があります。
このように接客の仕事といっても様々ですが、お客様をお相手する仕事には、それ特有の難しさもあります。いまからじっくり見ていきましょう。
接客業は「足腰」が命
それでは今回も体験談をベースにして、職種の特徴を見ていきましょう。
看護師をしながらファミレスキッチンの副業で月収5万稼げました!
http://www.monkaruta.jp/archives/128
(「本音で語る! 月収別稼げる副業比較ナビ」より)
ふたりのお子さんをお持ちの、30歳主婦の方の体験談です。
動物病院の看護師として働いていましたが、給料が家計のやりくりには十分ではなかったため、2~3時間程度でできるウエイトレスの仕事を副業として始めました。
接客を心から楽しみ、お客様を喜ばせることにやりがいを感じていた彼女ですが、その難しさについても語っています。
「デメリットは立ちっぱなし働きっぱなしによる足の疲労でしょうか。
動物病院でも常に診察や検査、掃除などで動き回っており、手術の助手に入る時は緊張を保ったまま3時間立ちっぱなしということもありました」
なるほど、接客業にいちばん重要な点を、ズバリ言い当てていますね。
接客業とは、まさに「足腰が命」なのです。
ファミレス・ファストフードであれコンビニであれ、勤務時間中は基本的に立ち仕事になります。座って楽をできることはあまりないですし、お客様の前でしゃがみ込んで脚を休めるわけにもいきません。
ましてや副業として、昼の仕事に続いて立ち仕事をするとなれば、足腰への負担はかなりのものです。
足腰が命――これは飲食店やコンビニにかぎらず、多くの接客業に共通することです。よって足腰に自信がない人は、立ち仕事の多い仕事は避けたほうがいいでしょう。
(なお夜のお仕事は例外で、キャバクラやスナックでは基本的に座ってお客様のお相手をします)
スタミナがなければ、つとまらない
副業で接客の仕事をする場合、強くなくてはいけないのは足腰だけではありません。本業の仕事をこなしたあと、さらに働くのですから、相当のスタミナが求められます。
接客の仕事の怖さは、常にお客様の目が光っていることです。あなたが本業の仕事で疲れていようが、そんなことはお客様の知ったことではありません。お客様に疲れている素振りを見せたり、いい加減な応対をしていては、とても接客業など勤まらないでしょう。
あなた自身が、客としてお店に入った場合を想像してみてください。店員の言動に疲れがにじんでいたり、やる気のなさそうな接客をされたりしたら、どう感じるでしょうか? きっと「こんな店、もう来ないよ」と、不愉快に思うことでしょう。
中国の古典である「論語」(注)の中に、こんな言葉があります。
己の欲せざる所、人に施すことなかれ
(自分が人にされたくないことを、人にしてはいけない)
これは接客業にこそ、当てはまる言葉でしょう。接客業では、常に自分をお客様の立場に置きかえて考え、不快に思われるようなことのないよう気をつけねばなりません。
特に副業で行う場合、お客様に疲れている素振りを見せることは厳禁です。スタミナに自信がないのであれば、接客業を副業にするのは考えた方がいいかもしれません。
(注)論語(ろんご)……古代中国の思想家・孔子と、その弟子たちの言行を記した書物。中国はもちろん日本でも古くから読み継がれ、後世に多大な影響を与えた。
サービス精神は本物か?
このように副業として接客業をする場合、足腰やスタミナといった面でのタフネスが求められます。
そしてもうひとつ求められるのは「サービス精神」です(「おもてなしの心」といってもいいでしょう)。
今回ご紹介した体験談で、30代主婦の方はこう話しています。
「お客様の喜んでくれる顔に私もすっかり楽しくなり、通常の仕事内容と共に、いかに『喜んでもらえるか、満足してもらえるか』を考えて接客していました」
ありきたりな言葉ですが、サービス精神がある人でないと、接客の仕事は難しいでしょう。副業で接客をするというのは大変な仕事です。だからこそ、仕事にやりがいを感じられなければ長続きしません。
人の喜ぶ顔が見たい――こんな想いに満ちあふれた人であれば、副業でも接客の仕事をこなしていけるのです。
記事制作/欧州 力(おうしゅう りき)