前回は、地方で働くことのメリットについて、詳しく見ていきました。

地方には自然や生活環境の面で大きなアドバンテージがあります。感じ方には個人差があるものの、都会よりも住みよい場所だと感じる人も多いようです。

また地方は、満員電車などに代表されるような「都会ならではのストレス」から解放されることで、心身の健康を保ちつつ仕事がしやすいという面もあるでしょう。

 

しかし現実には、若者を中心とする多くの人が、地方から都会に出て行ってしまっています。

地方での仕事を視野に入れる上では、やはり「地方で働くことのハンディキャップ」も、十分に考えておく必要があります。

今回は、地方で仕事をする上でどのようなハンデがあるのか、じっくり見ていきましょう。

地方で働くことの「ハンディキャップ」とは?

それでは早速、地方で働いて生きていくうえで、具体的にどのようなハンディキャップがあるのか、考えられるものを挙げてみたいと思います。

・収入が減る

全体的な傾向として、やはり都会と地方では収入に差があります。

年収・収入についてまとめているサイト「年収ガイド」が、厚生労働省のデータをもとに都道府県別の平均年収を算出したところ、その格差には驚くべきものがありました。1位の東京都の平均年収が605万9900円であるのに対し、47位の沖縄県は349万8800円と、なんと2倍近い開きがあります。都会と地方の格差は、ここまで広がってしまっているのです。

(参照サイト「年収ガイド」)

 

もちろん、「地方で働くと、都会よりも収入が減ってしまう」と、一概には言えません。都会のはげしい競争社会で仕事が上手くいかないこともあれば、都会のストレスで心身を病んでしまうことだってあります。逆に地方で力を発揮できる職場を見つけられれば、充実したサラリーマン生活を送り、より高い収入を得られることだってあり得ます。

とはいえ、平均年収を見る限り、都会と地方では圧倒的な格差があることは、頭に入れておくべきでしょう。

・選べる職種が少ない

これもまた、都会と地方の格差を生む大きな要因のひとつでしょう。

地方人が都会に移住する理由として、単純に「地方で働こうとしても、やりたい仕事がない」ことが往々にしてあります。

地方の場合、製造業、建築業、運輸関係の求人は豊富です。営業系や事務職もそれなりにあるでしょう。

しかしIT関係の求人は少ないですし、マスコミやクリエイティヴ産業にいたっては、めったにありません。

 

結局のところ、「情報」「エンターティメント」に関わる仕事は、東京を中心とする大都市圏に集中しているのが現実です。よってマスメディアで働きたい、クリエイティヴな分野で挑戦したい……という人は、好むと好まざるにかかわらず、都会に出て行かざるを得ないことも多くあるのです。

・交通が不便

東京などの首都圏で働くなら、多くのケースで電車通勤が可能でしょう。しかし地方となれば、必ずしもそうはいきません。職場が駅に近ければ、電車通勤が可能なケースもありますが……多くの場合、地方ではマイカーでの通勤になります。生活(買い物など)の利便を考えても、車無しでの地方生活はかなりの困難を伴います。事実上、地方で働く場合はマイカーが必須と考えた方がいいかもしれません(もちろん例外はありますが)。

 

その場合、車に関する諸経費が発生することは、頭に入れておく必要があるでしょう。マイカーの購入代金はもちろん、ガソリン代やメンテナンス料金、さらには自動車税・車検・任意保険の費用なども発生します。

もっとも最近では、自家用車の安価なリースも普及しているので、経済的な事情によっては利用を考えてみてもいいでしょう。

・人との交流が限られる

都会と地方を比べたとき、やはり都会の方が多様な人々が集まっていることは否めない事実です。また都会で働く人たちは、より野心的で、明確な目的意識を持っているケースが多いという特徴もあります。

もちろん地方にも多くの魅力的な人がいますが、都会ほどバラエティに富んだ人々と会えるわけではありません。

あらゆる分野で人が都会に集中していることもあり、仕事でも趣味でもマイナーなものほど地方では共通の目的や趣味を持つ人が見つけにくいかもしれません。

・情報面で不利

インターネットの普及により、都会と地方の情報格差はなくなるかの様に言われた時期もありました。しかし現実は、必ずしもそうではありません。

インターネットは便利である反面、その情報は玉石混交で、中にはいいかげんな内容のものや、明らかなウソまであふれています。

 

また、本当に重要な情報は、いまだに生身の人を介して伝達されることが多いのです。たとえばビジネスに関する最新情報があったとして、それを扱う人たちは軽々しくインターネットに内容を書き込んだりしません。情報は、その分野の最先端を行く人たち(つまり都会のビジネスマン)の間で、ミーティングなどを介して伝達されます。

こう考えると、インターネットの発達に関わらず、都会と地方ではまだまだ情報面での格差が大きいことが分かります。どんな分野の仕事をするにしろ、地方で働く以上は「都会との情報格差」を頭に入れておく必要があるでしょう。

 

以上見てきたように、地方で働く場合、ハンディキャップがあるのは動かせない事実です。

だからといって、地方での仕事を必ずしも悲観することはありません。

この連載では、地方のハンディキャップを乗り越えて、自分らしく前向きに働いていくノウハウについても考えてみたいと思います。

 

記事制作/欧州 力(おうしゅう りき)