前回まで、職場(または会社)に通う形での副業について、詳しく見てきました。

今回からは当連載のメインテーマのひとつでもある「リモートワーク」の副業について考えていきたいと思います。 

【復習】リモートワークとは?

過去の連載でも触れてまいりましたが、「リモートワーク」とはなにかについて、念のためおさらいしておきましょう。

リモートワークとは「オフィスから離れての勤務」を指しています(リモート(remote)とは「離れている」という意味の単語です)。よって会社オフィスに通わず在宅やカフェなどで取り組む仕事を総称して、このように呼んでいるわけです(「テレワーク」と呼ぶこともあります)。

IT社会となった現在、リモートワークの多くが在宅でのパソコンを用いた作業となっています。たとえばプログラマーやウェブデザイナーなどのIT・クリエイティヴ系の仕事や、インターネットを通じた物販系の仕事、さらにはネットビジネス系、財テク系などに分類されます。近年はこうしたリモートワークを在宅で行い、会社勤めとは別の働き方で収入を得る人が増えてきているのです。

 

なお、リモートワークとはあくまで働き方のスタイルを指している言葉です。

よってリモートワークが必ずしも副業であるとは限りません。副業として月に数万円程度の収入を得ている人もいれば、本業として取り組んで生計を立てている人もいます。とはいえ多くの人にとって、リモートワークを最初から本業にするというのはハードルが高いため、最初は副業から始める人の方が多数です(今回はとりあえず、副業の種類の一環として、リモートワークをご紹介していきます)。

副業のパターン 4.IT・クリエイティヴ系

それでは具体的に、リモートワークの副業について見ていきましょう。

まずは在宅の副業で最もポピュラーな、IT・クリエイティヴ系の仕事です。

代表的なものとして、IT専門家として働くシステムエンジニア・プログラマー、アートの技術を生かすデザイナー、調査や取材などの結果を文章にまとめるライターなどがあります。

 

システムエンジニア・プログラマーは、IT社会の花形というべきスペシャリストです。両者の違いを簡単に言うと、システムエンジニアは情報システムの根幹部分の設計、プログラマーはその設計を実現するプログラム制作が仕事となります(建築士と大工の関係に例えられることもあります)。

いずれも極めて専門性の高い仕事であり、一定の規模の企業から受注を得られれば、大きな収入を得ることも可能です。とはいえ仕事の内容によっては膨大な手間を要するものもあるため、注意が必要です。

 

デザイナーの仕事は、主にウェブサイトのデザインやイラストの制作を行います。注意しなくてはならないのは、ただイラストやデザインのセンスがあればいい仕事ではないということです。この仕事をリモートワークとして行う場合、イラスト制作ソフトや画像編集ソフトを使いこなすスキルが必要です。

 

その点、在宅ライターの仕事は、上記の仕事から見ればとっつきやすいでしょう。とはいえこの仕事ならではの難しさもあります。せっかく原稿を提出しても、誤字脱字や内容の間違いがあれば、評価が下がって仕事が来なくなることもあります。また自分の執筆した文章がクライアント(出版社やウェブサイト運営企業)の名前で世の中に出るわけですから、責任も重大となるわけです。

 

これらの仕事(特にデザイナー・ライター)に共通しているのは、「最初から、効率よく高額の収入を得るのは難しい」という点です。スタート時点では単価の低い仕事がほとんどなため、まずはスピード重視で多くの仕事をこなしていく必要があります。そうやって仕事をこなしつつ、地道に実績を積んでいかねばなりません。大手企業からの受注などを得られれば、それがあなたのバリューを底上げし、より好条件の仕事への道が開けます。

クラウドソーシングで仕事をゲット

それでは今回も、体験談から仕事の内容を見ていきましょう。

在宅WEBライター・マキさんのお話です。

 

【本音炸裂】経験談!主婦ライターとしてのメリット・デメリットなど【副業に興味があるあなたへ…】

(「楽ラク節約錬金術」より)

 

3児の母として主婦業に奮闘するマキさんは、家計を助けるためになんとか副業をしたいと考えていました。とはいえ子供を放ってパート勤めに出るわけにもいきません。そこで彼女が選んだのは、クラウドソーシング(注)を活用した、在宅ライターの仕事でした。

(注)クラウドソーシング……インターネットを通じ、不特定多数の人材に業務内容と報酬を提示して、仕事を発注する手法のこと。アウトソーシングが最初から依頼先を特定しているのに対し、クラウドソーシングは不特定多数の人材に募集をかけるのが特徴。

 

クラウドソーシングであれば、無名のライターでも自分に合った仕事を探し、クライアントにアプローチしていくことが可能です。

ライター経験はゼロに等しかったマキさんですが、「家事・育児と両立するにはこれしかない」と覚悟を決めて取り組み、仕事を軌道に乗せることに成功しました。

彼女は在宅ライターの仕事を成功させるコツを、いくつか語っています。

仕事に慣れる

「育児がだんだん落ち着いてきたころ、これまでの仕事もサクサクと進めていくことができるようになりました。育児と仕事のペースをつかめたことで少しずつ生活を立て直していくことができるようになりました」

 

「仕事に慣れる」ということには、2つの意味があります。それは作業自体に慣れるという点と、自分の生活との折り合いをつけるという点です。

特にマキさんの場合、家事・育児と並行しての作業なため、仕事と家庭の両立は大きな困難が伴いました。それでも粘り強く取り組んでいくうちに、仕事を効率化できるようになり、家事・育児との折り合いがつけられるようになったといいます。

仕事を選ぶ

「このころから「仕事を選ぶ」ようになりました。できるだけ単価が高いものはもちろんですが、文章力や語彙力といったスキルが必要になってくるもの、専門性の高いコラムなどに的を絞った受注です」

 

特にマキさんのように主婦業とリモートワークを両立させる場合、短時間で効率よく稼ぐ必要があります。よってできる限り単価の高い仕事をねらっていくのが大切です(もっとも、最初から高望みしてはいけませんが)。

また、専門性の高い仕事に的をしぼるのも、他のライターたちとの差別化には有効でしょう。高難度の仕事実績はあなたのバリューとなり、新たな受注を得やすくなる効果もあります。

実戦で技術をモノにする

「当然クライアントからも修正!の声がかかります。それでも根気強く修正・提出を繰り返していくうちに、自然とさまざまな力が身についていったのではないでしょうか」

 

オフィスワークと違い、リモートワークには指導役の上司・先輩がいません。よって、実戦を通じて技術を身につけることが必要不可欠です。作業を繰り返すことで腕が磨かれていきますし、クライアントの細かいニーズに対応する技量も身についていきます。

 

ライターの仕事に限らず、リモートワークには独特の難しさもあります。特にマキさんの様に主婦業と両立させる場合、慣れるまでにはそれなりの苦労もあるかと思います。

それでも、オフィスに通わなくても仕事ができるという点で、リモートワークは大きなメリットと可能性を秘めているのです。

 

記事制作/欧州 力(おうしゅう りき)