前回は、地方で働くことのメリットを具体的に考えるため、有名ブロガーのイケダハヤト氏の主張をご紹介いたしました。生活面に関しては、健康増進や食に関するメリット、さらには地方ならではの生活費の安さを強調していたイケダ氏。今回は、仕事面についての主張に切り込んでいきます。

イケダハヤト氏のワークスタイル

地方の仕事に関するイケダ氏の主張を見ていく前に、氏の基本的なワークスタイルを頭に入れておく必要があります。それは彼が一般的な企業勤務の働き方をせず、執筆業とネットビジネスで収入を得ているという点です。

彼は人気ブロガーとしての知名度を背景に多くの著書を出版しているので、その印税が入ってきます。さらにはブログのアクセス数を生かし、アフィリエイト(注)などで高額の収入を得ています。

 

(注)アフィリエイト……インターネット広告の一種。ウェブサイトやブログに広告を載せ、そこからなんらかの成果(購入、資料請求など)が上がった場合、報酬を受け取れるシステム。サイト・ブログにアクセスを集められる場合、高収入につながる可能性もある。

 

よってイケダ氏の成功手法のすべてが、一般人に必ずしも真似できるものではないのは確かです。

それでも、そこは地方移住を積極的に推進する著名人。その主張には「地方の仕事」を成功に導くヒントがあるものと思います。

イケダハヤト氏の主張(前回の続き)

それでは、イケダ氏の特殊性を頭に入れつつ、仕事面に関する主張を見ていきましょう。

彼は地方で働くメリットとして、以下のような内容を挙げています。

仕事の幅が広がる

イケダ氏ならではの主張といえるでしょう。通常では、都会にこそ幅広く多様な職種があり、地方では仕事の幅が狭くなる――こう考える人が大半だからです。

もっともイケダ氏は、個人事業主・実業家の視点から、地方での仕事の可能性を語っています。

 

まず彼は、インターネットを生かした「居住地にとらわれない働き方」を提唱しています。そのひとつがクラウドソーシング(注)です。近年広まっているこの働き方では、ネットを介して企業などから仕事を受注し、在宅で仕事をすることができます。「ランサーズ」「クラウドワークス」といった、クラウドソーシング用の仲介サイトを通じて、様々なクライアントの仕事案件に応募することが可能です。

この仕事スタイルであれば、居住地にとらわれずに仕事を請けることができます。まさにネットの力が、地方在住のハンディキャップを解消してくれるともいえます。

 

(注)クラウドソーシング……インターネットを通じ、不特定多数の人材に業務内容と報酬を提示して、仕事を発注する手法のこと。クラウド(crowd/大衆)とアウトソーシングを組み合わせた造語。

アウトソーシングが最初から依頼先を特定しているのに対し、クラウドソーシングは不特定多数の人材に募集をかけるのが特徴。

 

またイケダ氏は、地方で事業を興すことも勧めています。メリットは「初期投資コストや固定費がとても安い」ことだと言います。

家賃や人件費が安いため、都会と比べ飲食店などを開業するのが容易です。さらに山間部などでは用地の取得もコストがかからないため、都会ではできないスケールの事業にも手が届く可能性があります(イケダ氏は例として、温泉宿の経営を挙げています)。

「イケダ流ワークスタイル」は再現可能なのか?           

もちろんイケダ氏の提唱する「地方の仕事」のスタイルは、あまり一般的とはいえず、その再現性に疑問を投げかける声もあるでしょう。クラウドソーシングだけで生計を立てるのは大変ですし、だれもがイケダ氏のようにアフィリエイトで高収入を得られるわけではありません。また、過疎化が進む地方で事業を興すとなると、もともと相手にできる市場が小さいという現実も無視はできません。

 

とはいえ、イケダ氏も地方で働きつつ経済的成功を収めている人ですから、その主張に「地方の仕事」を成功させるなんらかのヒントはあると思うのです。

たとえばクラウドソーシングだけで十分な収入を得ることは難しくとも、副業として取り組むことだって可能です。あるいは、なんらかの得意分野を持っていれば、その分野でブログを執筆してアクセスを集め、アフィリエイト収入につなげられる可能性もあります。月に数万円の副収入でも、生活費の安い地方暮らしでは大きなメリットになります。

これらの仕事で手堅く副収入を得ていく方法もあれば、より力を入れて本業に育てていく道もあるわけです。

 

また事業についても明確なビジョンがあるなら、地方のコストの低さを生かすのも一つの方向性でしょう。都会と比べ、少ない元手でビジネスを起こせるのは大きな魅力です。

事業化してみたい具体的なプランがあるなら、まずは費用の安い地方での展開を考えてもいいかもしれません。

 

以上見てきたように、イケダハヤト氏の提唱する「地方での働き方」は、なかなか個性的なものであります。イケダ氏はインターネット世界におけるスターであり、だれもが同様の稼ぎ方をできるわけではありません。それでも彼の主張の中には、地方のハンディキャップを克服しつつ、地方の強みを生かして働いていくヒントがあると思います。

 

地方での仕事を考えるなら、まずは地方のマイナス面をどう克服するか、プラスに生かせる部分はないか――この2つの視点が欠かせないことを、イケダ氏は示してくれているのではないでしょうか。

 

記事制作/欧州 力(おうしゅう りき)