ダイバーシティ経営とは

ダイバーシティ経営の「ダイバーシティ」とは、そもそも何なのか。言葉は聞くが、実のところいまいち中身がわからない。そんな方も、おられるのではないでしょうか?

ダイバーシティは、和訳すると多様性となります。人種的な多様性、社会的な多様性、労働者の多様性、そういったものを企業の在り方に適応させたものがダイバーシティ経営です。

ダイバーシティ経営は、その特性上外資系企業に多いですが、日本の企業でも浸透しつつあります。それではまず、ダイバーシティ経営のメリットについてみていきましょう。

ダイバーシティ経営の3つメリット

ダイバーシティ経営を浸透させることによって、企業が得られるメリットは、大きく分けて3つです。

1. 多様な人材が集まり、組織が強くなる

ダイバーシティ経営のメリットの一つ目は、外国人雇用により、日本人労働者とバックグラウンドや考え方の違う人材がいることによって、企業として強い組織になることです。

また日本は、少子高齢化により必然的に国内労働者の人口は減少します。そのため外国人労働者を受け入れることで労働力も確保できるというメリットもあります。

2. 労働者にライフワークバランスの実現するきっかけになる

ダイバーシティ経営のメリットの二つ目は、労働者のライフワークバランスの実現です。

なぜなら労働人口が減少する日本においては、経営側が労働者の働く環境を整備しなければ、労働者を確保できないリスクがあります。

企業における中堅層にあたる30代~50代は介護と仕事の両立、20〜30代の女性は妊娠・出産・育児のライフイベントを抱えているのです。両立が難しい環境では、企業にとって大事な戦力を失うことになりかねません。

長い目で見て、労働者にとって仕事とプライベートのバランスが取れた働きやすい環境を与えることこそが、労働力の永続的な確保につながるのはないでしょうか。

3. 顧客の多様化に伴うグローバル化への適応

ダイバーシティ経営のメリットの三つ目は、グローバル化への適応です。

なぜなら海外で事業展開することが、当たり前になってきている状況においてクライアントだけではなく、社員に外国人がいることで適応する機会が多いためです。

ダイバーシティ経営で見落とされているもの

ダイバーシティによる多様性を追い求めるあまり、見落とされてしまうものがあります。
それは、既存の従業員に対する配慮です。

外国人労働者の受け入れによる日本人労働者のストレス

企業の存続をかけ、多様性を求めると、既存の日本人従業員に外国人労働者が混在することになります。お互いの文化や言葉、仕事への考え方の違いから、やりづらさを感じる従業員もできてくかもしれません。

そうなると従業員個人のやりがいに関わってくるため、生産性が低くなることにも繋がります。

周囲への気を使ってしまう心理的なストレス

育児や家庭の状況によって短時間勤務をしたり、フルタイムでも突発的な休みといった勤怠の悪化で、肩身の狭い思いをしている人(とくに女性)は非常に強いのです。彼女たちは、自分の勤務状況から、他のチームメンバーに迷惑をかけていると感じているため、働きにくさを常に心に抱えています。

ダイバーシティでは、彼女たちだけでなく、個々のライフワークバランスを求める従業員がことが出てきます。

現況のまま、ダイバーシティ経営を取り入れると、他の従業員へ業務のシワ寄せが起こり、不公平感から不満が噴出することになるリスクがあります。

ダイバーシティ経営に対する具体的な取り組み

働き方の選択肢を増やす

ダイバーシティ経営の本質は、仕事に関係しない個々の属性を抜きにして、その人の仕事への成果や業績、行動だけを公平に評価することにあります。

働き手が仮に、介護や育児で出社が難しくても、テレワークなどの遠隔勤務や在宅勤務で対応できるならば、そうした働き方の選択肢を提供するのも必要な取り組みのひとつです。

風土改革によるチームに必要な受容力の向上

働きづらさの原因となる従業員同士の価値観を変えていくことが、多様化する人材を受け入れることにつながります。

お互いがお互いを受け入れられる風土が社内にできれば、外国人だから、女性だから、ライフイベントを迎えたから、そんな理由はお互いの単なる個性にしか過ぎなくなり、排除する理由にはりません。

ダイバーシティ経営による効果は続けることでしか得られない

ダイバーシティは、多様化する社会情勢に企業が適応するための概念です。ダイバーシティ経営をするには、まずダイバーシティを浸透させることから始めなくてはなりません。

それは、従業員同士の多様性を受け入れる意識や風土の改革、お互いの理解が必要で、それを浸透させるのに時間を要するためです。ダイバーシティ経営による効果は、続けることでしか得られないのです。