昔と違い、今はサラリーマンでも副業をしている人が多くなっています。副業を行うサラリーマンにとって気になることといえば確定申告です。副業が成功した場合、個人事業主になった方が有利になることが多いです。今回はサラリーマンが副業で、個人事業主になる方法や注意点を徹底解説します。

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副業をしていると個人事業主になるのか

まず初めに、そもそも副業をしていると個人事業主になれるのかどうかを確認しましょう。個人事業主とは個人事業をしている人のことをいいます。

副業といってもいろいろな形態のものがあります。例えば、定時後や休日にアルバイト、週末起業などはすべて副業です。では、どのような副業が個人事業になるのでしょうか。

個人事業の定義は、独立・継続・反復です。その仕事を独立・継続・反復していると個人事業(事業所得がある)と認められます。サラリーマンであっても副業による事業所得がある場合は個人事業主となります。

独立とは簡単にいうと、会社に雇われずに自分で仕事をしていること。継続・反復はその仕事を継続して繰り返し行うことです。アルバイトの場合は独立していないため、個人事業主にはなりません。

また、一度だけ副業しても継続・反復とはいえないので、個人事業主にはなりません。自分で物を仕入れて販売する、お金を得てサービスを行うといったことを継続・反復している場合に個人事業主となります。上記の場合ですと週末起業は個人事業に該当します。個人事業主になる場合は、税務署に「開業届」を提出する必要があります。

副業をしていると確定申告は必要?

副業には個人事業になるものを含めて、いろいろなものがあります。

では、サラリーマンで副業していれば、すべての人に確定申告が必要なのでしょうか。実は確定申告をしなくてもよいケースがあります。サラリーマンで副業をしている人に限定すると、以下の場合は副業しても確定申告をする必要がありません。

①支払う税金がない人

副業が個人事業の場合で、事業が赤字などの場合は支払う税金がありません。副業がアルバイトの場合、毎月の給料から天引きされる源泉所得税が多すぎるケースなどでは、確定申告の必要はありません。

ただし、確定申告をしないと、副業が個人事業の場合は赤字が繰り越せず(青色申告の場合)、副業がアルバイトの場合は差し引かれすぎた源泉が戻ってこないので注意が必要です。

②給与所得及び退職所得以外の所得の合計金額が20万円以下の場合(給与等の収入が2,000万円以下の場合に限る)

副業が個人事業の場合や短期や単発の副業の場合で、利益が20万円以下であれば確定申告は不要です。副業がアルバイトの場合はそもそも給与所得のため、こちらには該当しません。※副業がアルバイトと個人事業のように2つの種類がある場合は、別の規定があります。

確定申告をしないと、幼稚園や保育園に入る場合などに必要な所得証明にサラリーマン分しか記載されなかったり、青色申告の65万円控除が受けられなかったりします。①や②に当てはまるからといって、安易に申告不要と考えないようにしましょう。

副業で個人事業主になる場合、社会保険と税金はどうなる?

サラリーマンは、会社で健康保険や厚生年金保険に加入しています。これに対し、個人事業主の場合は自分で国民健康保険や国民年金保険に加入します。では、サラリーマンで副業が個人事業主の場合はどうなるのでしょうか。

社会保険制度では、会社と個人事業のどちらか一方しか加入できず、またサラリーマンの場合は、健康保険や厚生年金保険の加入が義務付けられています。そのため、副業が個人事業主の場合でも、今までと変更はありません。

次に税金面を見ていきましょう。税金には主に所得税と住民税の2つがあります。どちらも1年間の総所得金額に税率をかけて算出しますので、サラリーマンの給料(所得)と副業の収入(所得)の合計に税金がかかります。

日本は所得が高くなればなるほど税率も高くなる累進課税制度のため、副業の黒字で所得税や住民税が割高になることもあれば、副業の赤字でサラリーマンの給料から天引きされた税金が戻ってくることもあります。

確定申告やマイナンバーで副業がばれる?

副業OKという会社が増えてきたといっても、できれば副業をしていることを会社に知られたくないという人も多いでしょう。サラリーマンの場合はマイナンバーを会社に提出しますし、個人事業主の場合は確定申告書に記載して税務署に提出します。そのため、マイナンバーで副業が会社にバレるのではないかと思っている人もいるでしょう。

しかし、そうしたことは通常ありません。会社がマイナンバーを使って、各人が副業しているかどうか調べることはできません。

唯一、会社に副業がバレることがあるとすれば、会社に届く各個人の市民税の金額が給与所得による金額より高い場合です。しかし、それも確定申告書の第二表の住民税の徴収方法の選択欄で「自分で納付」にチェックを付けることで、給料分の住民税の納付書は勤めている会社に、個人事業分の住民税は自宅に納付書が届くため、会社に副業がバレることはありません。

まとめ

サラリーマンが副業で個人事業主になるかどうかは、副業の仕事内容で決まります。その仕事が独立・継続・反復している場合は個人事業となるため、税務署に「開業届」を提出すれば個人事業主になれます。通常、副業をしている場合は確定申告しますが、支払う税金がない場合など確定申告をしなくてもよい場合もあります。

サラリーマンが副業で個人事業主になると、サラリーマンと個人事業主の両方の性質を持ちますが、社会保険ではサラリーマンの保険に加入し続けることになります。

また、副業が会社にばれるということは通常ありません。

これからはますます副業が認められる世の中になります。すでに副業している方も、これから副業を始める方もぜひ、この記事を参考に安心して副業をしてください。

執筆者:はせがわ・よう

関西在住。会計事務所に10数年勤務後、2016年よりフリーライターとして活動。会計・税務関係の記事をメインに執筆しています。