何となく聞いたことはあるけど、実際にはどんな業務を担当しているのかイマイチ理解されにくい「顧問」という役職。顧問には内部から選ばれる人と外部から選ばれる人の2パターンがあることをご存じでしょうか?この記事では、それぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。

企業における「顧問」という役職の意味

企業における顧問には、以下の2パターンがあります。

(1)内部から選ばれるタイプ(=内部顧問)

元社長や元取締役が一線を退いたあと、経営に関する決定権はないものの、アドバイザー的な立場として企業にかかわるケースです。この場合はいわゆる名誉職的な意味合いが強く、創業者や歴代経営者の顔を立てるために「最高顧問」や「相談役」といったポジションが用意されるケースが多くなっています。

また、顧問とよく混同されがちですが、会長という役職は「代表取締役会長」であり、経営の主導は社長に任せてはいるものの、代表取締役として経営に関する大きな決定権を持っています。

(2)外部から選ばれるタイプ(=外部顧問)

弁護士や税理士といった専門職と契約し、顧問についてもらうパターンです。内部顧問と同じく、外部顧問も経営に関する直接的な決定権はありません。

外部顧問は内部顧問と違い、明確な専門知識や能力を有していることから選ばれるケースが大半です。

また、ベンチャー企業に経験豊かな経営者や元経営者がアドバイザー的な立場として外部顧問につく場合もあります。

内部顧問のメリットとデメリット

(1)メリット

これまでの豊富な経験や実績から、経営に関するさまざまな相談に乗ってもらえます。実際の経営を知っている人からの経験に裏打ちされたアドバイスは、事業を進めていく上でとても参考になるでしょう。

また、創業社長や事業規模を拡大させてきた社長であれば「◯◯さんだから契約した」といった風に、個人の信頼で他社との契約を勝ち取ってきたケースも多々あります。

その場合企業との付き合いを考慮し「社長業からは引退するが、その後も顧問というポジションで関わっていく」とした方が会社の経営にプラスとなります。

(2)デメリット

内部顧問は元社長など「社内で絶大な影響力を誇っていた人」がつくケースが大半です。

そのため、人事や経営のことに関してアレコレと口出しをするケースも珍しくありません。そうした顧問を現経営陣が抑えることができなければ、社内は混乱してしまうでしょう。

また、一部の社員や取締役が現経営陣ではなく顧問に信頼を寄せている場合、大きな改革の際に顧問が反対すると、下手をすれば「お家騒動」に発展してしまうリスクもあります。

直接的な決定権がないとはいえ、その影響力が強すぎる場合はある種のリスクを抱えていると言えるでしょう。

外部顧問のメリットとデメリット

(1)メリット

外部顧問は具体的な専門分野の知識を有している人がつくことが多いため、内部顧問よりも具体的なメリットを実感しやすいでしょう。

例えば効果的な節税対策、今行っている事業に違法性がないか確認してもらうリーガルチェックなど、自分たちが弱い・知らない分野に対し専門職の立場からサポートしてもらえます。

また、引退した企業の元経営者がベンチャー企業の顧問になるケースもあります。この場合は、ベンチャーが陥りやすい失敗とその対策方法を教えてもらえたり、現役時代に培った人脈を活用してよい人材や企業を紹介してもらえたりと、多角的なサポートが期待できます。

(2)デメリット

外部顧問はそれぞれ専門分野の知識を有しているだけあって、相応の顧問料が必要です。

またコスト面だけでなく、契約が切れた際に「社内にその分野のことをわかっている人が一人もいない」という事態に陥ってしまうリスクもあります。そうした事態を未然に防ぐために、あらかじめ顧問の業務範囲を明確にするだけでなく、その内容を社内で共有・把握しておくことが大切です。

優秀な外部顧問の選び方

外部顧問を選ぶときは、相手の「専門性・得意分野」を重視するとよいでしょう。

例えば、メディア運営会社が知財関係に強い弁護士と契約すれば、事業を進めていく上で問題になりやすい著作権に関する部分などを法律面からサポートしてくれます。逆に、そういった企業が刑事事件に強い弁護士と契約してもメリットは薄いでしょう。

顧問契約を結ぶときには、相手の専門性と得意分野が自社のニーズとマッチしているがどうかを最優先に考えてください。

この考えは、士業の専門職だけでなく元経営者の外部顧問でも同様です。「アプリ開発をメインとするWEB系企業なのに、飲食チェーンの元経営者を外部顧問として招いた」といったことにはならないように気をつけましょう。

また、財務面で余裕があれば「著作権の分野はこの弁護士さん」「事業継承の分野はこの弁護士さん」という風に業務を細分化し、分野別に契約していくのもおすすめです。

まとめ

顧問は事業を成長・拡大させていく上でとても重要な存在です。まずは自社のニーズを把握し、そこにマッチした専門分野の顧問を探していきましょう。また、内部顧問の場合は顧問の影響力が大きくならないように気をつけるのも大切なポイントです。

執筆者:河内 勝男

会社に勤めつつ2014年から副業を開始。2015年に会社を退職しフリーランスライターとして独立しました。会社員時代の副業経験を活かした記事はもちろん、ライター業以外にサイト運営もしているため、実践的なSEOやコンテンツマーケティングの記事執筆には自信があります。