アジアでも国際的な香港。シェアリングエコノミーは予想通り、ここでも成長しています。銀行や金融機関など大企業の採用慣行の変化につれて、ギグエコノミーも広がりつつあります。産業専門家の意見では、香港のギグエコノミーはこの先も上昇軌道に乗り続ける可能性が高いということです。
契約労働が成熟しつつある香港
世界の5大陸にまたがる専門職リクルートコンサルタント、ロバートウォルターズ社の契約労働募集ディレクター、カーリー・アダムス氏は、昨年同社の香港での契約労働が20%増加、一昨年比では50%の増加していると語っています。
香港では依然として常勤雇用が中心ですが、2008年の不況以降の市場の変化から、企業は人員をより効率的に管理する方法として契約労働を検討するようになりました(それは特に)ITや金融サービスの分野でますます一般的になっています。
と彼女は付け加えます。同社の2017年の調査では、契約労働者の60%が香港の金融サービス業界に雇用され、42%が情報技術に従事しています。
現在契約労働者は、香港の銀行員の5〜10%を占めています。これは、契約労働者が企業従業員の3割を占めているオーストラリア、英国、米国などの市場には及びません。しかし、企業はITのような職業でより多くのニッチな人材を求めているため、香港は確かに契約労働の点で「成熟しつつある」のです。
クライアントプロジェクトには、才能が不足しているため、IT業界の契約候補者には常に需要があります。また、ミレニアルズ世代は、プロジェクトとプロジェクトの間で休暇をとれる柔軟性を望み、請負業者としてさまざまな業界に触れられることを好むため、契約雇用をより受け入れています。このあたりは、米国などと同じですね。
香港にあるプラットフォーム
ここでも例として挙げられるのは、乗り物共有のUber、空き部屋共有のAirbnb、ゲストがホスト宅で食事を楽しむことができるプラットフォームのPlateCultureなど。無駄のないライフスタイルを促進するプラットフォームLoopUniteを運営しているのは、元インテリアデザイナーのパロラ・コルテーゼさん。香港のシェアリングエコノミー・プラットフォームから利益を得た一人です。
PlateCultureに登録しているゲストは、ケネディタウンのコルテーゼさんの家で食事を予約し、1人あたり450香港ドルから、インドネシアの多食コースを楽しむことができます。彼女は週2~3回ゲストを招いています。材料費はあまりかからず、よい副収入にもなり、人と会うのも楽しめるといいます。
コワーキングスペース
スタートアップ、起業家、フリーランスが増えるにつれ、これまで以上に多くの人が自分のために働いているように見えますが、香港でもオフィスの家賃は高く、彼らには行き先が必要です。それを解決してくれるのがコワーキングスペースです。
香港島の南側にあるCampfire Collaborative Spacesは、業界重視の共同作業スペースを提供し、ファッションをターゲットにしたCampfire Creativeも併設しています。設立者の一人ワン・ツェー氏は
ギグエコノミーが栄えて、より多くのフリーランサーが働き始める中で、人々の働き方が変化しています。 ヨーロッパの主要な多国籍企業は現在、在宅勤務を提供しており、まもなくアジアにもそれが起き始めるでしょう
と語っています。
同社のアイデアは、2016年1月に起こった暴動直後に浮かび上がりました。共同設立者たちはこう語っています。
当時の香港はかなり政治的でした。多くの若者が不安を感じていて、将来に向けて良いチャンスがないと思っていました。 私たちはその時、スタートアップをサポートするためのプラットフォームを立ち上げるべきだと思ったんです。
スタートアップ
コワーキングスペースのほかにも香港には、フリーランス経済を象徴するサービスが起こっています。フリーランサーやスタートアップ企業が作業スペースを見つける手助けをするBooqedもその一つ。昨年9月に発売されたBooqedのモバイルアプリは、一時的なデスクスペースや会議室を探しているビジネス旅行者、フリーランサー、スタートアップのオンデマンドマーケットです。
香港のような都市では、スペースはプレミアムです。 我々はスペースを、仕事や会議のためだけに使用されるという視点からは見ていません。 どんなスペースも、さまざまな目的のために利用できるものです。
と同社のデイヴィド・ウォン氏は語っています。
ユーザが市内のコワーキングスペースで利用できるスポットを探す、通常のディレクトリサービスとは異なり、Booqedはアプリに利用可能な様々な会場、音楽スタジオ、ヨガスタジオ、会議用にテーブルスペースを貸し出したいレストランなども含めているところがユニークです。
まとめ
ビジネス向きSNSのLinkedInは、2020年までにはフリーランサーが世界の労働力の43%を占めると予測しています。企業が必要とするスキルセットはこれまで以上に速く進化しているため、企業は現在、労働者の適応や誘致の面ではるかに柔軟性をもつことが必要となっています。
フリーランサーが絶えずスキルを磨き、企業からの需要を供給できれば、フリーランス経済はお互いにwin winな状態を生み出していくことのできる、未来の労働形態となるでしょう。
記事制作/シャヴィット・コハヴ (Shavit Kokhav)