2017年もすでに終盤に入りました。今回は、今年予想されたフリーランス経済のトレンドを見直し、今何が起こっているのかを、フリーランス先進国の米国を中心に見ていきたいと思います。

 

フリーランスという労働形態が世界的に広まるとともに、これまであったフリーランスに対するスティグマ(汚名)-「正規雇用に就けないために、フリーランスをしているのだろう」という見方が減り、米国、カナダなどでは、そのような見方はほとんど無くなっています。

 

今年米国では、今までになく多くの企業がフリーランサーを雇いました。労働者の間にもフルタイムの仕事を避ける傾向が強まり、フリーランスワークにますます多くの機会がもたらされています。

フリーランサーの主流はミレニアルズ

米国のミレニアルズ世代には、ほぼ2年ごとに転職し、同じ場所で同じ仕事を長く続けたがらない傾向が強く見られます。そして2年ほど前から社会に浸透したギグエコノミーにも、加速化がうかがえます。

 

したがってフリーランスの雇用形態へ流れ込む労働者の主流はこれらのミレニアルズですが、「確かなこと」に固執し、慣れ親しんだ伝統的な雇用にとどまる傾向の強い中年層の中にも、フリーランス市場をテストしてみようとする人々が増えつつあります。

新鮮な才能の大量流入に、経験豊富な労働者の小規模な増加が加わって、米国フリーランス市場の競争は激化しています。

競争を生き抜くために

このような競争を生き抜こうとするフリーランサーには、「ニッチな分野のポジショニング」がますます重要になってきています。それはマイクロニッチでもよいのです。何かに特化していない、あるいは専門性のないフリーランサーは、この競争を勝ち残るのがすでに困難になりつつあります。

前回ご紹介したUpworkのような市場は、2017年末までに、これまでになく競争が激しくなるだろうと予想されています。これは、このようなマーケットプレイスを利用する人にとって良いことでもあり、悪いことでもあるのです。

 

2017年は、フリーランサーたちが自らの専門分野をさらに絞り込み、競争の激化の中で有利な位置につくことを望んでいるため、どのニッチがよりニッチなのかという問いへの答えを見つけることが必要になっています。

また、独立したフリーランサーの非公式なパートナーシップが、より一般的になりつつあります。企業が所有するプロジェクトを完了するために、専門分野に関連する労働をフリーランサーが提供しています。企業が正規の従業員を雇うことができない場合に、このようなパートナーシップの重要性がますます証明されています。

オンラインで目立つことがますます困難になる

ここで特筆しておきたいのは、過去には単にブログやポッドキャストを持つだけで、オンラインである程度のトラフィックと評判が確保されましたが、 今ではオンラインで視聴者の注目を集めるのが非常に困難になっていることです。

2017年には、ほとんどのオンラインマーケティング活動は渋滞気味で、トラフィック、クリック、リード、セールスを主張できるのは、少数のトップ層だけとなっています。

王道は、個人的なネットワーキング

オンラインリードジェネレーションとマーケティングオートメーションの黄金時代に住んでいる2017年のフリーランサーたちは、どうやって新しい顧客を開発しているのでしょうか。オートメーションマーケティングからの見知らぬリードよりも効果的なのは、実はネットワークを介した顧客探しだと言われています。

上記のように、オンラインで目立つことが困難になる中で、多くのフリーランサーが「見知らぬ人のリード」をオンラインで引きつけようとすることをあきらめ、個人的なネットワークを介した紹介作業をリードの源と見なすようになっています。

 

これらのトレンドの中で成功するためには、常にレフェラルを参照可能にしておき、よいクライアントを得て、単発仕事ではなく、繰り返しプロジェクトで長期的な関係を構築することが大切です。少数のトップ層以外では、顧客との深い関係を築かないフリーランサーは、ブログ記事や、ポッドキャスト、ソーシャルメディアのアップデートをしても視聴者から読んではもらえないでしょう。

ライフスタイルは収益以上に重要

アメリカン・ドリームという言葉をお聞きになったことがありますね。黄金時代のアメリカンドリームは、家を買い、家族を養うのに十分な収入を得られる一つの安定した仕事を得ることでした。しかし今ではそれは不可能になっています。

21世紀のアメリカン・ドリームは、フレキシビリティ(柔軟性)の一語に集約されます。家族をサポートしたいと思っている米国労働者も、長期的に単一の雇用主と提携することが難しくなっているのです。

 

その代りに望めるのは、柔軟な勤務時間で、好きな場所からリモートワークで働くことです。旅をしながら働いたり、様々なプロジェクトで様々な顧客と仕事をすること。より柔軟であることが重要になっているのです。

米国のフリーランス市場は将来へ向けても、十分なお金を提供し続けるだろうと予想されています。ローエンドの作業では、新しく洗練されていないオペレータが市場に氾濫して、当面は報酬を押し下げるでしょうが、価値の提案と実績を明確に提供できるワーカーは、高い収入も望めるだろうということです。

まとめ

2017年の米国のフリーランストレンドの1つは、特定のニッチを持つことの重要性がはっきりしたことです。それができるフリーランサーは、2018年にはより強力な地位につくことができるでしょう。そのためには、あなたが提供する価値が、フリーランス市場のどこに位置するのかを把握して、収益が発生する場所のそばへそれをシフトしていくことです。

米国の後を歩いている日本のフリーランサーも、今からこの助言を取り入れておくとよいでしょう。

 

参考記事:

http://www.100kfreelancing.com/7-freelancing-trends-for-2017/

 

記事制作/シャヴィット・コハヴ (Shavit Kokhav)