米国Freelancers Unionなど複数の調査によると、現在米国のフリーランサー数は5,400万人、英国では188万人、欧州全体では890万人、そして先日取り上げたインドでは1,500万人ほどだと言われています。そしてこれらの数は、世界中で増え続けています。

 

世界のフリーランサーの数もさることながら、これらのフリーランサーの中には年収が米ドルで6ケタ(1千万円)以上の人もいるということを、米国のビジネスサービス会社MBO パートナーズ調査が明らかにしています。

高収入フリーランサーの内訳

2016年に米国でフルタイムのフリーランサーとして働いた人の中で6ケタの収入を得た人は、290万人いたそうです。その中でも最も高収入だったのは19万2,000ドル(約2,180万円)だったと報告されています。

時間や場所に捕らわれないフリーランス業の大きな利点の上に、これだけの高収入を得られれば申し分ありませんが、ここでこの調査結果に現れた高収入フリーランサーの人口統計をもう少し詳しく見てみましょう。

 

伝統的な職場にも通じることですが、この調査で高収入を上げているフリーランサーの多くは、フリーランス業の経験の長い人たちです。経験が2年以上のフリーランサーでは、6ケタ収入は10人中1人だけなのに対し、経験が25年以上のフリーランサーの間では、その割合が4人に1人へと増加しています。経験はフリーランサーが高収入を得るのにはっきり影響を与えています。

 

統計的には、高所得者と言われるフリーランサーのほとんどが、少なくとも7年間独立して働いています。ここで非常に興味深いのは、MBOパートナーズが毎年が行っている調査では、経験が2年以下で6ケタ収入を上げているフリーランサーの数が一貫して増加していることです。この成長パターンが続けば、10万ドル(1,135万円)以上を稼ぐ米国フリーランサーの数は2020年までに380万人に達すると同社は見積もっています。

高収入フリーランサーの職業分け

どのような仕事が高収入につながるのかは、誰にも興味のあるところです。フリーランス業は、特にフリーランス経済先進国では、複数の業界で成長しています。しかし高成長産業はやはり、テクノロジー、バイオサイエンス、ファイナンスなどです。

テクノロジーの分野では、コーダー、プログラマー、ソフトウェアエンジニアなど。企業間の「才能の奪い合い競争」の激化で、彼らは1社で働くよりも、複数のクライアント相手に働くことで、収入を増やしています。

 

しかしもちろん、この分野のすべてのフリーランサーが6ケタ収入を得られているわけではありません。最高レベルのフリーランサーのみが、プロジェクトを選べる立場に立っているのです。

クリエイティブ系でも高収入は望める 

それではフリーランサーとして高収入を得るには、コーダー、プログラマー、ソフトウェアエンジニアでなければならないのかというと、そうでもないようです。クリエイティブ系のフリーランサーの中にも、収入面で大きな進歩を遂げている人たちがいます。

 

コンテンツマーケティングライターのジェニファー・グレゴリーさんは、2015年に10万ドル以上の収入を得た手順を自らのブログで説明しています。

 

初めて6ケタの収入を上げたこの年を振り返って、彼女は成功の理由を以下のように挙げています:

1.以前よりも数少ないクライアントと働いた

受注するクライアント数が多いということは、小さな仕事を多く引き受けているということです。一つ一つの新しい仕事には、クライアントの希望を知ることから始まり、多くの時間と労力がかかります。長期継続の仕事を多く引き受けることで、導入過程の時間の投資を減らすことができます。

2.高額のニッチな分野を開発した

彼女が開発した分野は、専門ライターの少ない、データ分析の分野です。専門分野を書くことで、かかる時間も短縮され、内容も深まります。

3.交渉術を極めた

人当たりのよい彼女は、報酬額の交渉を電話で受けるとどうしても安い値段に同意してしまうことに気づき、見積もりはメールでするようにしたそうです。

4.自らのフリーランス仕事をビジネスとして扱うことにした

ビジネスと自覚することで、バーチャルアシスタントを雇い、コンテンツマーケティングの会合に出席するなど、仕事へのアプローチが変わりました。

5.楽しみのために書く時間を作った

ビジネス関連の乾いた記事だけでなく、ライターとして自分が楽しめることを書く時間を持つことで、燃え尽きることがなくなったそうです。

 

読者からの「フリーランス市場で報酬のダンピングが激化しているために、高い収入を得られない」という指摘に、彼女は「クライアントを見直すこと」、「ニッチな分野を見つけること」を勧めています。

まとめ

今回は、高収入を上げている米国のフリーランサーに注目しました。彼らは、ビジネスの中核部にアンカー・クライアントを置いて、基礎的な関係を結んでいます。また、ネットワークを築いて、財務目標を達成するために必要に応じて小規模や大規模なプロジェクトを追加しています。ネットワークの機会への投資や個人的・専門的なニッチ分野の開発は、フリーランサーとして所得水準を上げるために最適な方法と言えそうです。

 

参考記事:

https://www.linkedin.com/pulse/6-figure-freelancer-unicorn-rupak-das/

 

記事制作/シャヴィット・コハヴ (Shavit Kokhav)