会社を支える最重要な価値観であるインテグリティ

会社の経営、部下のマネジメントをいかに円滑に行い、利益を出し、会社の社会的責任を達成していくかは難しい問題です。なぜなら、会社経営とマネジメントに正解はないと言われています。

そのような中で、大きく注目されている概念が「インテグリティ」です。このインテグリティこそ、会社経営とマネジメントを円滑に行うためのキーワードになります。今回は、そんなインテグリティについて解説します。

インテグリティとは?

インテグリティの意味

インテグリティは「高潔さ」「誠実さ」を意味します。そして、このインテグリティはマネジメントに非常に有効な要素と考えられているのです。

インテグリティの提唱者

インテグリティは現代経営学の父とも呼ばれているドラッガーの著作「現代の経営」に記されています。同作でドラッガーは、経営者もしくは管理職は、才能よりもインテグリティはを持たなければならないと述べています。

またインテグリティの欠如は、部下からの失望を招き、最終的には組織の腐敗も招くと述べています。ドラッガーがインテグリティをいかに重要な要素ととらえていたかがわかりますね。

同様に、投資の神様ともいわれるウォーレン・バフェットもインテグリティの重要性について説いています。

インテグリティは不明確

このように会社経営に非常に重要なインテグリティですが、その実態は非常に曖昧です。ドラッガーも著作にて、インテグリティが定義にしにくいものであることを述べています。

そして、インテグリティをもたない人物を定義することにより、インテグリティの定義を明確にする試みを行っています。ドラッガー曰く、インテグリティを持たない人物とは以下のような人物です。

・人の強みではなく、弱みに注目する人物
・人をあざ笑う人物
・物事の正しさよりも、誰が正しいかに注目する人物
・部下の人格よりも、頭脳を重視する人物
・有能な部下を恐れる人物
・自分の仕事に高い基準を設けない人物

会社内の立場ごとのインテグリティを検討

以下では、曖昧な概念であるインテグリティについて、会社の中の役職から具体的に検討します。インテグリティは広い概念で須賀、実際のマネジメントのガンバにおいては、個々の役職により必要とされる姿勢は異なるためです。

取締役

取締役は会社のかじ取りを行います。そのため、取締役がインテグリティを発揮する必要のある対象は、会社の全ステークホルダーになります。

株主から取引先、一人の部下を含めた全ステークホルダーに対し、会社の意義と社会的責任を明示し、それをクリアしたうえで利益を上げる必要があります。会社について強い還元をもつからこそ、取締役には高いインテグリティが求められるのです。

会計監査人

会計監査人は会社の財務諸表や会計伝票が正しく作成されているかを監査します。会計監査人はマネジメントを行うわけではありませんが、専門的な調査を行うことからやはり高いインテグリティが求められます。

会計監査人が妥当な監査を行うことは、そのまま会社の会計の正当性を裏づけるのです。マネジメントに直接着手しない会計監査人であっても、仕事に高い目標を掲げ、埠頭に会社の利益を図ることなく、実務をこなす必要があります。このようにインテグリティが妥当する範囲は非常に広いのです。

管理職

管理職は部下に対して高いインテグリティを発揮する必要があります。取締役などの経営者は、どうしても一人ひとりの部下を注視することが難しくなります。そのため、一人ひとりの部下が能力をいかんなく発揮し、会社の利益を底上げに貢献できるか否かは管理職のインテグリティにかかっているといっても過言ではありません。

部下が能力を発揮できる環境を整え、部下の人格を信頼し、部下の成功には相当な対価を与え、部下の失敗については一緒に改善策を練ることのできる管理職こそが会社には必要です。

人事

人事担当者は、採用に強い権限をもつため、やはりインテグリティが求められます。求職者からすると、人事担当者は会社の顔でもあります。

優秀な人物を会社に引き入れるためには、人事担当者のインテグリティがいかんなく発揮されている必要があります。面接時に、求職者の経歴や所有する資格だけに着目せず、人柄や価値観に着目して選考を行うことができると、結果的に会社にとって有益な人物を採用することができます。

日常の些細なところに表れるインテグリティ

このようにインテグリティは定義こそ曖昧でしが、会社に関わる広範な人物に求められる資質です。経営者・管理者をはじめとしたすべての人物が、価値観の根幹にインテグリティを据えて行動することで、会社はその価値を高めていくのです。

そして、人事や昇給に強い権限をもつ役職者は、インテグリティを発揮して業務をこなした部下に対して、相当な報酬を与える必要があります。インテグリティは会社経営に必要な業務の好循環を生む非常に重要な概念なのです。

各々の立場により求められるインテグリティは姿を変えます。しかし、インテグリティが重要な資質であることは変わりません。これを読んだあなたは、ご自分の立場に求められるインテグリティについて、深く思考を巡らせてみてください。高潔であり、誠実であることは何にも勝る価値なのです。