アメリカでは2020年には労働人口の半分を占めると言われている「フリーランス」という働き方。働き方改革を推し進める国内においてもフリーランスという柔軟な働き方をする人はその数を伸ばし、日本には約1,200万人のフリーランスがいると言われています。
そんな新しい働き方の専門家であり日本最大級のフリーランスコミュニティ『Freelance Now』を運営される黒田悠介さんと、仕事に課題を抱えた知り合いとその課題解決つなる事業を行っている企業をつなぐことで知り合いの力となりながら副業できるプラットフォーム「Saleshub」が、2月中旬にフリーランスの方のためのイベントを開催。
イベントの様子、それにイベントから見えたフリーランスの今後などをお届けします。
「FreelanceNow」黒田さんの自己紹介からスタート。
イベントは、主催でもある黒田悠介さんのトークからスタート。「本題に入る前に」として参加者のみなさんで近くの人と自己紹介をするというアイスブレイクを行うなど、和やかなムードの中、イベントは進みます。
そもそも黒田さん自身、フリーランスで新規事業に特化したディスカッションパートナーとして活躍されており、年間35社もの企業のビジネスモデルや事業線戦略をサポートしています。
会場に集まっていたセミナー参加者の方も多くがフリーランスとして活躍されている方で、これからのフリーランスとしての生存戦略に高い意識を持って臨んでいるのが印象的でした。
なぜ今、フリーランスなのか?
多様化する人生観、少子高齢化による労働力不足が嘆かれる時代において、仕事の内容や場所、報酬などあらゆる自由度が高い「フリーランス」であれば、子育てをしながら、介護をしながらなど、自らの自由な生き方と働き方をマッチさせることができる、と黒田さん。
また、企業にとってもスピーディーに新しいことを行おうと思うと社内のリソースだけでは追いつかず、社外のプロ人材に頼ろうという動きが出てくる。そのためフリーランスというスキルを持った人材が重宝される時代になってきたという、現代においてフリーランスが求められてきた背景、そこから「フリーランスが抱える課題」へとトークは展開します。
抱える課題
まず、黒田さんが課題としてあげていたのは「フリーランスの交渉力の低さ」。現在は企業からの提出された契約内容で契約を結ぶという構図がほとんど当たり前となっている中、ひとりひとりが交渉力を身に付けることが大事だとおっしゃっていました。
また「フリーランスを活用する際の信頼性」という点に関しては「一緒に仕事をしてきた方からのレビュー」「仕事の実績やポートフォリオ」「プラットフォーム上での評価」で信頼性を担保するのがベター、と黒田さん。その他にも企業側にフリーランスと働く体制が整っていなかったり、キャリア形成の難しさなどを課題にあげていました。
課題を解決する、フリーランスコミュニティ
黒田さんが発起人として運営する「FreelanceNow」はエンジニア、デザイナーから多くの文系フリーランスが所属する1,400人ものフリーランスコミュニティ。
多数のフリーランスが所属しているため、仕事の引き合いも多く、また仕事が集まるためフリーランスの方が集まるというポジティブサイクルを実現しているそう。多くの仕事が集まっているので先ほどの課題にあったような交渉力の低さや信頼性などによる仕事獲得の課題も減り、案件につながりやすいといった現状があるといいます。
その他にもフリーランスの方の活動を支えるプレイヤーとしては、フリーランス向けの保険や福利厚生を提供するフリーランス協会や、フリーランス向けに案件を獲得してきてくれるフリーランスエージェントなど、国内に40社ほどあるそうです。
友人・知人、課題の解決のためのフリーランス向けプラットフォーム「Saleshub」
黒田さんに続いて登壇したのは以前、展示会イベントのレポート記事でも特集した、企業と個人をつなぐリファラル営業プラットフォーム「Saleshub」を運営されている株式会社Saleshubの江田さん。
Saleshubはビジネスにおける課題に悩む知人・友人とその課題解決となる事業を行っている企業との商談アポを設定することで、知り合いの力となりながら、企業からお礼としてお祝い金を獲得することができるサービス。
現在、フリーランスの方も多く活用しているそうで「ギグエコノミー」という単発で好きな時間に好きなように働くことができる次世代の新しい経済活動を引き合いに、Saleshubはフリーランスの方だからこそ、知り合いの課題解決のために活躍できるプラットフォームであるというお話をされていました。
Saleshubでは月に30万円以上稼ぐ方も
Saleshubは知人の課題解決のために企業と知人を引き合せ、商談アポをセッティングすることで、お祝い金を獲得することができるサービスですが、なんと副業として稼働しながら月に30万円以上稼ぐ方も複数いるそう。
好きな時間に好きなように働くことができる、ギグエコノミーの流れを汲んだ新しい働き方を促進するサービスとして、営業マンなどのビジネスパーソンをはじめ、フリーランスなど多くの方に活用されているようです。知人の課題解決の力となりながら、時間に縛られることなく、副業として月に30万円を獲得できるとのお話に参加者の方の期待度も高まっているのを感じました。
フリーランスとしてどう仕事獲得するべきなのか?
フリーランスの方が気になっているであろう9つのトピックを中心にした黒田さん、江田さんの対談形式のディスカッションは、多くの質問が集まる大変熱量の高い時間となりました。
文系フリーランス、フリーランス研究家など多くの肩書きを持つ黒田さんは一体どのようにして、案件を獲得しているのか、という質問にはご自身の体験を元に「yenta」のようなマッチングプラットフォームを活用して人と出会い仕事につなげているという事例を引き合いに、人からの紹介「リファラル」での案件獲得が一番であるとお話しされていました。
またその際のテクニックとして一緒にお仕事をしたクライアントさんにアンケートという形で「口コミ」をお願いし信頼性を高め、また同じように困っている方がいればご紹介してもらうという工夫で、連鎖的にお仕事を獲得されているそう。
「Saleshubの活用事例」といったトピックでは、フリーランスの方の活躍も増えるSaleshubにおいて、活用しやすい事例を江田さんがご紹介。フリーランスの方がクライアントさんからWebサイト制作の相談を受けた際にはSaleshubの「特集ページ」から開発業者の案件を比較検討し、ご提案するといった活用方法をご提案されていました。
これもフリーランスとして関わっているからこそ、抱えた課題に対してご提案できるという周囲の方の力になるためのベストな活用事例であると感じました。
人事向けのコンサルティング業などをされている方も、Saleshubに登録されている人材採用サービスなどをご紹介することで、クライアントさんに貢献できるなど、関わっているプロジェクトやクライアントさんに向けて最適な事業を紹介できるのもフリーランスの有効なSaleshubの活用と言えそうです。
こうして周囲の方やクライアントさんの課題を解決していくことで、フリーランスとしての評価の高まりにもつながっていき、より活動の幅が広がっていくのではないでしょうか。
求められる「信頼性」
今回のイベントを通して感じたのは「信頼性」が一つのキーワードであるということ。少子高齢化が進み、労働力が不足する時代においては、イベントタイトルにもある「ギグエコノミーの台頭」はこれからの時代に必然だと言えます。
そんな中、登場したSaleshubというサービスと需要の高まるフリーランス人材。今後の個人の働き方を考える上で重要な存在です。
特に前述の「信頼性」という点においては、イベントの中で黒田さんもおっしゃっていたように、自らの信頼性を高めることが案件を獲得することにつながります。
そしてSaleshubのサービスもまた、紹介という信頼の上に成り立つ仕組みを採用しています。課題を抱えたあの人の力になるために、自分が本当に勧めたいと思った事業でないと、うまくいかないのはもちろん「信頼」に重きを置かなければ人脈の切り売りとも捉えられかねません。
江田さん曰く、「今こういった事業の営業をお手伝いしている」という点をしっかりと伝えることでお互いの信頼関係を保ったまま、相手にも貢献ができると言います。
フリーランス人材の需要の高まり、副業の解禁、ギグエコノミー時代の到来。個人の働き方がますます多様化する中で、いかに自らの「信頼性」や「価値」高めていくかというのが重要になってくるのではないでしょうか。