(写真 左:宮井 弘之さん 右:藤井 陽平さん)

 

世の中の最新トレンドを体現する「尖った生活者」。彼らの消費行動や価値観を抽出・考察する「トライブユーザーリサーチ」を通じて、新たなオープン・イノベーションを生み出す発想の源としていく。そんな独自のマーケティング方法論を展開しているのが株式会社SEEDATA(シーデータ/東京都港区)です。

博報堂DYホールディングス内の新規事業提案コンペを勝ち抜き、2015年10月に立ち上がったSEEDATA。その企業内起業ストーリーを、CEO(Chief Executive Officer)の宮井弘之さんとCOO(Chief Operating Officer)の藤井陽平さんに伺いました。第3回では、2人が「ビジネスフレンド」と呼ぶ外部人材との連携、そしてそこから見えてきたトライブの活用シーンについて語っていただきます。

SEEDATAにとっては、すべての関係者が「ビジネスフレンド」

Q:SEEDATAのサイトでは、アクセラレーションパートナーとして多くの外部人材を紹介しています。どのように連携体制を作ってきたのでしょうか?

藤井 陽平さん(以下 藤井):

宮井と私がよく用いるフレーズに、「ビジネスフレンド」という言葉があります。ともにビジョンを共有してビジネスを推進していく仲間という意味で「ビジネスフレンド」と言っています。

SEEDATAという会社にとっては、クライアントも含めたすべての関係者がビジネスフレンドだと思っていますし、そうした関係性を築いていきたいと考えています。アクセラレーションパートナーとしてご紹介している方々には当社の名刺を持っていただき、さまざまな場面で協力をお願いしています。

宮井 弘之さん(以下 宮井):

私と藤井で、異なる層のビジネスフレンドが得られたことは大きな成果でしたね。私はどちらかというと経営者とのお付き合いが多いのですが、藤井の周囲には20代の若手ビジネスパーソンやフリーランスの方々、インターン生までさまざまな層のビジネスフレンドがいます。

オープン・イノベーションを生み出す上で、ビジネスフレンドとの関係性はとても重要。パートナーのサーキュレーションさんの世界観に近いと思いますが、今後は世の中がどんどんフリーランス化していくと言われており、プロジェクトベースで有機的に企業とフリーランスの方々がつながっていくことがオープン・イノベーションの第一歩になるのではないかと思っています。博報堂という大きな組織では難しいことも、SEEDATAなら柔軟に対応していけるので、フリーランスの方々とつながるための「グループ内の出島」のようになっていければ理想的ですね。

新規事業を考える人に知ってほしい、トライブの活用方法

Q:現時点では、トライブのどのような活用方法を考えているのでしょうか?

宮井 :

さまざまな活用シーンを想定していますが、特に新規事業開発に携わる方にはぜひトライブの価値を知っていただきたいですね。トライブには、「尖った消費者」の価値観や消費行動に関する膨大なデータとリサーチ結果が詰まっています。そうした情報に触れていただき、マーケティング面での確信と確証を持っていただきたいんです。

私は、新規事業計画には「確信」と「確証」が必要だと思っています。「確信」とは、起案者本人がそのビジネスモデルに自信を持っている状態。「確証」は、そのビジネスモデルに客観的情報を交えて外部に説明できる状態です。
トライブを活用することで、新規事業展開に弾みを持たせられればと考えています。

藤井 :

たとえば、トライブの一つの「エクゼクティブゲイ」でみると、昨今話題の「LGBT」をテーマにさまざまな業界関係者が集まれば、新たなオープン・イノベーションを生み出すきっかけになると思います。不動産業界の関係者と人材業界の関係者が意見を交わすことで、「LGBTフレンドリーな人事・組織制度」が生まれ、慢性的な人材難の解決に向かうかもしれない。

そうした交流の際にアイデアの源とできる情報が、トライブの中には詰まっています。

トライブレポートを活用するためには、外部の専門家が欠かせない

宮井 :

一方で、膨大なデータとリサーチに基づいたレポートを「いかに活用するのか」を考えることが重要ですね。レポートを活用し、新規事業開発に生かすためのリソースが必ず社内にあるとは限りません。外部の専門家に、ビジネスフレンドとしてスポットで参加してもらうことができれば、トライブの活用の幅はさらに広がっていくと思います。

藤井 :


「リサーチデータ」と「専門家の知見」をフレキシブルに組み合わせて活用できれば、事業開発のスピードも高めていけそうですね。

宮井 :

従来の、大規模なプロジェクトを立ち上げてコンサルを展開していくやり方は、スピード面でも資金面でも厳しいという企業が多いでしょう。そうした課題に応えていくためにも、トライブの存在感をさらに高め、要所要所で活用していただけるようなスキームをビジネスフレンドとともに築いていきたいですね。

ビジネスフレンドと出会う仕組みも導入できる

若手からエグゼクティブまで、幅広い層の外部人材と連携してオープン・イノベーションを生み出している同社。「ビジネスフレンド」の考え方は、新規事業のみならずさまざまなビジネスシーンで今後主流になっていくのかもしれません。

同社が展開する「X-book JAM」では、外部人材を活用したオープン・イノベーションの知見をもとに、ビジネスアイデアの実現に向けた提案を行っています。こうした仕組みを導入することも、魅力的なビジネスフレンドと出会う第一歩となるのかもしれません。

ここまで、SEEDATAの企業内起業ストーリーを追いかけてきました。次回は具体的な「トライブ」事例をご紹介いただき、最先端のトレンドに迫ります。

(続く)

 

取材・記事作成:多田 慎介

専門家:宮井弘之

CEO(Chief Executive Officer)としてSEEDATAの全体構想・統括、ならびに生活者調査技術開発、ビジネスモデル開発を担当。1979年埼玉県さいたま市生まれ。慶応大学商学部卒業後、2002年博報堂入社。情報システム部門を経て、博報堂ブランドイノベーションデザイン局へ参画。新商品・新サービス・新事業の開発支援に従事。流通・ヘアケア・スキンケア・サニタリー・プロバイダー・ビール・たばこ・日本酒・スナック菓子・保険・証券・IOTデバイス・ホテル・行政・旅行・教育・コンテンツ・半導体製造装置・車載部品・電力等の幅広い業界のリーディングカンパニーと300を超えるプロジェクトを経験。得意分野は、消費者調査(定性・定量)・成長戦略立案・ファシリテーション・コミュニティデザイン・イノベーション共創支援。研究の専門分野は消費者行動。博士(経営学)(筑波大学)。
著書
だから最強チームは「キャンプ」を使う。──「創造性」と「働きがい」を生み出すビジネス合宿術──(2010)共著、インプレス

書くスキルUP すぐできる! 企画書の書き方・つくり方 相手を動かす企画書をつくる6つのステップ(2013)単著、日本能率協会マネジメントセンター
2回以上、起業して成功している人たちのセオリー(2013)単著、アスキー・メディアワークス

専門家:藤井陽平

COO(Chief Operating Officer)としてSEEDATAのサービス開発、生活者調査技術開発を担当。2013年博報堂入社。嗜好品、観光業、化粧品などの分野で、生活者リサーチを基軸にした商品開発やブランディング業務に従事。自主事業として、大企業とベンチャーの事業開発推進プロジェクト、社団法人「コトの共創ラボ」の立ち上げに従事。