コンサルティング業界において、大手企業ではブランド力やグローバルネットワーク、マンパワーなどを活用し、小規模事業者では難しい大規模プロジェクトを手掛けています。ただ、この業界への開業には、必要な資格や届出は必要ありません。そのため、参入障壁は低く、独立系の小規模企業や個人事業主が数多く存在します。

収入体系においては、プロジェクト単位や時間制など、コンサルティングとしての稼働時間などに応じて金額が決まるのが一般的。ただし、すべてのコンサルタントが同じ金額というわけではなく、コンサルタントの能力によって単価は変わってきます。また、近年ではコスト削減額やM&Aの成立額から一定割合をコンサルタントが報酬として得る成功報酬型も増えつつあるようです。

コンサルティング会社の分類

プレイヤーは主要領域毎や出身母体ごとに「戦略系」、「総研系」、「独立系」、「IT・会計系」、「M&A系」の5つに大きく分けて考えられます。

「戦略系」では、外資のマッキンゼー、ボストンコンサルティング、ATカーニー、日系ではドリームインキュベータ、コーポレートディレクションなど、いわゆる戦略コンサルとして知られている企業があげられます。「総研系」では野村総合研究所や日本総合研究所、みずほ総合研究所など金融機関のシンクタンク、調査部門がベースになって発足しているところがあげられます。そのほか「独立系」では船井総研、タナベ経営、「会計IT系」では、アクセンチュアや日本IBMの他、4大監査法人のコンサルティング部門といえるデロイト・トーマツコンサルティング、アーンストアンドヤング・トランザクション・アドバイザリー・サービスなど。M&Aでは、専業としてはGCAサヴィアングループ、日本M&Aセンター、レコフ、フロンティア・マネジメントなどがあげられます。

戦略系は、大企業をクライアントとして、中期~長期戦略の立案から個別事業の業務改革まで、幅広い経営課題を解決します。

総研系は、戦略系とほぼ同様の課題を扱いますが、主に官公庁からの依頼が多いのが特徴です。

独立系は、戦略系よりも規模の小さい企業を主要なクライアントとしています。

会計・IT系は、監査法人の系列企業であり、近年は業務改善などの経営課題に対してERPなどのITを用いるコンサルティング手法を多く用いるファームが多くあります。

M&A系は、M&Aのアドバイザリー、仲介に特化しています。また、本領域は、一部では証券会社の投資銀行部門とも競合しています。

コンサルティング業界の市場動向

IDC Japanによるとビジネスコンサルティング市場の市場規模は2013年2871億円、2014年3090億円、2015年3373億円(予測)と順調な伸びを示しています。

特に近年は、新興国を中心としたグローバル化や競争激化による業界再編など、課題の複雑化が進んでおり、大手企業を中心に底堅いコンサルティング需要が生まれています。

M&Aアドバイザリーなどの成功報酬型のサービスは、定額型のサービスに比べると需要が高く、成功報酬を掲げていない一般のコンサルティング会社においてもコスト削減におけるプロジェクトなどでは、削減額に応じて報酬額を決定する成功報酬型サービスを取り入れるといったケースも増加傾向にあるようです。

今後に関しても、目に見える成果をコンサルティング会社に求める傾向はさらに強まり、成功報酬型のプロジェクトが増えていくことが予想されます。

現役コンサルタントに聞く「コンサルティング業界の実態」

会計系、戦略系の大手コンサルティング・ファームを経て独立したコンサルタントに、外からでは分からない「コンサルティング業界の実態」について伺いました。

【個人のコンサルタントの活躍の場は今後広がっていく】

Q:コンサルティング業界市場は拡大しているように見えます。その中で、今後フリーのコンサルタントの活躍の場は広がるのでしょうか?それとも大手コンサルティング・ファームのシェアが増加していくのでしょうか?

A:どちらかと言うと個人のコンサルタントの活躍の場は広がると思っています。

かつては業界情報など情報の入手困難性が高い情報が多く、それらを入手するにはある程度の規模のある会社でないと難しいという状況がありました。また、コンサルタントの数も今と比べるとそこまで多くありませんでした。

現在は、以前と比べると格段に情報が入手しやすい環境になり、大手コンサルティング・ファーム卒業生が増えているので大手であることのメリットは少なくなっているように感じます。元々属人性が高い業界でしたが、その傾向はより高まっているといってよいと思います。最近は、差別化のために規模の大きなファームについては専門特化する傾向も見えています。

【新しいコンサルティングの形態、プロフェッショナル派遣市場の勃興】

Q:コンサルティング・ファームの最近のトレンドや注目している点はありますか?

A:上記の流れを受けた形ですが、最近では、エデンマッカラム(Eden McCallum)やBTG(Business Talent Group)といった、フリーのコンサルタントを組織化したような新しい形態のコンサルティング・ファーム(というよりはプロフェッショナル派遣に近い)が成長してきているといわれています。最近よく聞くオンデマンド経済、ともいえますが、これらの取組自体は新規性があるわけではなく、エデンマッカラムは2000年にロンドンで創業し、BTGも米国で2007年創業です。日本国内ではそれほど目立った取り組みはないと思いますが、コンサルタントというよりもビジネスプロフェッショナルという表現が近いと思いますが、サーキュレーションのビジネスも国内でいえば近い事業をしている会社といえるのではないでしょうか。

上記のようなエデンマッカラムやBTGといったコンサルタント派遣企業は急成長を遂げた結果、もともとは中小の顧客をターゲットにしていたのが、今では大手のファームの領域(大企業の顧客)まで進出しつつある状態です。

Q:大手のコンサルティング・ファームに比べて、エデンマッカラムやBTGを企業が活用する理由は何でしょうか?

A:これら新種のプロフェッショナル派遣企業は、大手のファームに比べると幅広い提案はできないかもしれませんが、優位性はあります。

もともと大手のファームにいたような経験豊かなプロフェッショナルで構成されているため、顧客の手法や体制に柔軟に合わせた実務的な部分も含めた動き方ができるというメリットです。顧客としては、プロジェクトの中身や方向性が一定程度既に固まっている場合や、そこまで高額報酬を予算として抑えられない場合に、大手のコンサルティング・ファームに依頼せずに、フリーコンサルタント派遣企業に依頼をするようです。

背景として、先ほど申し上げた通り、データや情報自体は取得が容易になり、伝統的なコンサルティング・ファームの差別化自体がそこまでではなくなっていることがあげられます。事業会社にプロジェクトをマネジメントできる人材が育ってきたこと、コンサルティング・ファーム出身の人材が市場に蓄積されてきたことも要因として挙げられるかもしれません。

同様の流れ、というほどでもないですが、投資銀行でも、資金調達のアレンジメントなどではグローバル投資銀行に及ばないものの、小規模でアドバイザリー特化のブティック型のコンサルティング・ファームが、アドバイザリーの領域では逆に業界への専門性やアドバイスの中立性を担保することでかなり存在感を増しつつあります。

今回は複数のコンサルティング・ファームで活躍経験のあるコンサルタントの方にコンサルティング業界の動向について伺いました。次回は「コンサルタントのキャリアプラン」の実態について伺います。

取材・記事作成/畠山 和也

ノマドジャーナル編集部
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