あなたは、フリーランスという働き方を検討したことがありますか?
これまで、子育てや介護と仕事の両立についてお話をしてきた本シリーズ。フリーランスとして活躍している女性にも、何人かお話を伺ってきました。
今回インタビューさせていただいたのは、ビューティープロダクトプランナーの前島ゆみさん。美容グッズはもちろん、音楽イベントから株主総会まで、幅広いプロデュース活動をされています。プライベートでは、6歳の男の子のシングルマザーです。
フリーランス2年目にして、精力的に活動をする前島さんに、お話を伺ってきました。
素人に化粧品ブランドの立ち上げを任せてくれた社長に感謝
Q:ファーストキャリアは、まさかの信用金庫だったんですよね。そこから美容に携わるようになった経緯を教えて下さい。
前島さん(以下、前島):
大学時代、マガジンハウスで4年間アルバイトをしていたことから、マスコミに興味を持ち、就職活動をしていました。しかし、大学4年生の時、父が他界してしまいました。一人っ子なので、残された母を支えるには、ハードワークのマスコミでは不可能と判断。大学4年の夏に、実家から通えて残業がないところを探して再度就職活動をした結果、信用金庫に入ることになったんです。明るめの茶髪にネイルばっちり、という出で立ちの私は、入社早々から目立ってしまって。先輩や人事部長には、かなりご指導いただきました。
正直、社風は合わなかったのですが、穏やかで優しい上司に恵まれました。融資科に配属され、貸借対照表の読み方を一から教わったり、窓口にも立たせてもらったり。その頃の経験は今にも生きています。
入社して1年ほど経った頃、母の様子が安定したため、転職に踏み切りました。大好きな化粧品やファッションを扱えて、未経験でもOKという会社を探しました。巡り会ったのは、当時わずか10人程度の小さい会社でした。社長も役員も若くて、とにかくやってみよう!というバイタリティに溢れていた。私に合ってるなと思い、入社を決めました。
ファッションのマーチャンダイザーとして入ったのですが、ファッションはサイクルがとても速い業界。未経験の私では、利益に貢献することは難しいと考えました。もともと化粧品が好きなこと、美容はファッションに比べてサイクルが長いこと、コストが比較的安いことから、 「化粧品を作りたい!」と社長に提案したんです。「やってみたら?」と背中を押してもらい、デザイナーと二人でゼロからブランドを立ち上げました。営業に行ったり、商品を仕入れたり、ECサイトの文言を考えたり。それが、今の仕事の原点ですね。
まずは自分の力を最大限出し切ってから、助けを求める。そうすると、救いの手が差し伸べられる
Q:フリーランスになったきっかけを教えてください。
前島:
子どもが4歳の時、会社員をしながら子育てすることに限界を感じ、フリーランスになりました。子どもが小学生になったらもっと大変になるだろうなと思い、その前に基盤を作っておこうと思ったのがきっかけです。
実は、その頃からずっと、ネイルブランドを立ち上げたいという思いがありました。フリーランスになったら、収入が減って経済的に厳しくなることは目に見えていましたが、会社員をやりながら、自分のやりたいことをやるのは無理だと感じたんです。
当時、お世話になっていた会社の社長に、ありのままを相談しました。「ネイルブランドを立ち上げたいと思っている。でも、会社員じゃなくなって収入が不安定になるのは怖い。今扱っているrms beautyというブランドも大好き。何かいい方法ありませんか?」って。そうしたら、「起業家精神がある人と仕事をするのは、うちの会社にとってもメリットがある。出社回数を減らして、残りの時間で新しいことをやるのはどう?それなら、最低限の収入も確保できるでしょう。できるだけのサポートはするよ」と言ってくださったんです。とってもありがたかったですね。
私は、困っていることや心配なことがあったら、積極的に発信して周りの人の力を借ります。自分の経験や知識なんて、たかが知れてるじゃないですか。10年20年会社を経営してきた方々のほうが、知恵がありますから。その代り、その方々に対して自分ができることは全力でやります。どうしたら貢献できるかを考えて、できる限りのことはするように心掛けています。
Q:フリーランスになってみて、実際どうですか?
前島:
毎日楽しいですよ!好きなことの延長で仕事ができているので、「明日は何しよう」ってワクワクしています。せっかくフリーランスになったんだから、楽しいことだけをやらないともったいない。それに、本当に好きなことじゃないと、面白いアイディアは出て来ません。
私は、新しいことに取り組むのが大好きなんです。でも、やってみて違ったらやめればいい、と考えています。普通は、「始めたからには続けなきゃ」と思うのでしょうが、そうすると続けることがプレッシャーになる。「やりたい」という思いに忠実でいたいんです。
フリーランスになったもう一つの理由は、すでにフリーランスになっていた人たちがみんなが口をそろえて「楽しい!」と言っていたから。私にも、とても合っていました。でも、フリーランスというスタイルが合わない人も、当然いると思います。気になるなら挑戦してみて、もしダメだったら、会社員に戻ればいい。シンプルです。
★前島ゆみさんプロデュースのブランド★
大人のためのスキンケア発想のネイルブランド「JUMII TOKYO(ジュミートウキョウ)」
https://jumii.tokyo/
カラーコンセプトはこちらから。
https://jumii.tokyo/products-post/004-believe/
プロフィール:ビューティープロダクトプランナー・前島 ゆみさん
20代で益若つばさプロデュースブランド「CandyDoll」や、モデル愛用率NO1のカラーコンタクトブランド のコスメライン「AC by AngelColor」の立ち上げ及びディレクションを行う。
30代に入りオーガニックコスメに興味を持ったことから、ミランダ・カーやジゼル・ブンチェンなど多くのセレブリティーも愛用するNY発ナチュラルコスメブランド「rms beauty」の日本上陸立ち上げに参画し、その後フリーに。
現在は、美容製品を中心にジュエリーなど女性向け製品のブランドのコンセプターや製品企画・イベントのプランニング・ディレクションを手掛ける。※NARD JAPAN認定メディカルアロマテラピスト資格保有
※HP:http://www.yumimaejima.com/
専門家:天田有美
慶應義塾大学文学部人間科学科卒業後、株式会社リクルート(現リクルートキャリア)へ入社。一貫してHR事業に携わる。2012年、フリーランスへ転身。
キャリアコンサルタントとしてカウンセリングを行うほか、研修講師・面接官などを務める。ライター、チアダンスインストラクターとしても活動中。