前回は、仕事と家事育児を両立するワーキングマザーと、フリーランスという働き方が好相性であることを、お伝えしました。時間、場所、仕事、相手などを自由に選べることは、会社員にはない大きなメリットです。

 

しかし、自由を得ることの代償としてリスクを取らなければならないことも。そこで今回は、デメリットについて解説していきたいと思います。

デメリット1「仕事の閑散期・繁忙期がある」

不思議なもので、仕事の依頼が来る時は一気に来ます。移動時間はもちろん、睡眠時間を削って仕事します。
私は、お話をいただいた順からお引き受けしているので、あとから面白そうなお声掛けをいただいても、泣く泣くお断りすることもあります。

 

一方、暇な時は本当に暇で、全然やることがない、という時もあります。そういう時は、「このままずっとお仕事が来なかったらどうしよう…」と不安になり、ついネガティブ思考に走りがちです。
会社員であれば、そこまで極端な繁閑はないと思います。あまりに忙しければ他の人に振ることもできますし、暇になれば新しい仕事が自動的に入ってくる仕組みになっているのは、うらやましい限りです。

デメリット2「自分で仕事を獲得しなければならない」

フリーランスの場合、プロジェクトごとに仕事を請け負いますので、有期契約です。プロジェクトが終われば、契約終了となります。また、予算の関係や事業の方向転換により、プロジェクトが打ち切られることもよくあります。
そうした事態も想定しつつ、現在の業務をこなしながら、次の仕事を自分から取りに行かなくてはいけません。専門家と言えばかっこいいですが、こうした営業活動もできないとフリーで活躍するのは難しいかもしれないですね。忙しい毎日を送りながら、少し先を見据えた動きも同時にしておかなくてはいけないのは、なかなか大変なものです。

 

フリーランス経験が長くなり、誠実に仕事をしていれば、それなりに人脈もできます。以前取引した会社から、また声がかかることが増えます。また、この分野ならば人には負けない、というものができてくれば、紹介を通じて仕事がいただけるようにもなります。その人脈を作り上げるまでは、地道な営業活動がモノを言うのです。

デメリット3「収入が安定しない」

フリーランスの場合は、稼働している=報酬を受け取る、という構造なので、稼働していない=収入ゼロ。これは非常にシビアな現実です。
「暇な時期はネガティブになる」と前述しましたが、収入がなくなるというのも、ネガティブになる大きな要因の一つです。お給料をもらいながらお休みを取れる”有給休暇”という制度を、こんなにうらやましく思ったことはありませんでした。

 

私が収入面での厳しさに直面したのは、産休・育休中のことでした。会社員であれば、産休中には健康保険組合や共済組合などから「出産手当金」が支給され、1日につき「標準報酬日額の3分の2に相当する額」を受け取れます。育休中には、育児休業給付金が受け取れます。いずれも、フリーランスだと受け取れません。

 

社会人生活を10年近くやってきて、必要なお金は自分で稼ぐのが当たり前だった私にとって、収入ゼロという現実は重くのしかかりました。家族が増えて生活費も増えたのに、収入は夫に頼りきり。子どもにおもちゃや洋服を買ってやりたいと思っても、それは夫のお金なのです。
「仕事復帰するまでの間、通信費や化粧品代などが必要なら、言ってね。」と夫は言ってくれましたが、自分のプライドを保つために、それまでの貯金を切り崩して育休中を乗り越えました。

 

収入がない期間をできるだけ作らないよう、営業を怠らないこと。やむをえない事態に備えて、一定の貯金を持っておくこと。収入がない間どうするかを、家族で話し合っておくこと。この3点がとても重要だと思います。

 

最後に、注意点について見ていきたいと思います。

注意点「自治体によっては、保活が不利になる」

保活、つまり保育園探しと入所の大変さは、「保育園落ちた日本死ね」という匿名の書き込みを発端にニュースでも大きく取り上げられましたので、保活経験がなくても、多くの方がご存知だと思います。
以前このコラムでも少し取り上げましたが、保育園に入るには、各家庭の状況が点数化され、点数の高い順から優先されます。その点数のつけ方が、自治体によって大きく異なるのです。

 

フリーランスは自営業と見なされます。会社員と自営業では、基礎点が違う自治体が多くあります。例えば、会社員なら基礎点が10点なのに、自営業だと8点に下げられたりします。その他、勤務場所や月当たり・日当たりの就労時間などによって、点数が異なります。

 

会社員の場合は、労働時間=オフィスにいる時間ですが、フリーランスはプロジェクトに従事している時間なので、どうしても短くなりがちです。自宅兼オフィスにしていると、内勤扱いになったりします。そのいずれも、点数が下がる要因です。
仕事を続けるために、リスクをとって効率よく働ける環境を整えたのに、それでは保育園に入れない。大きな矛盾と怒りを感じます。

 

幸い、私が住んでいる自治体では、会社員と自営業に区別がなかったので、基礎点が大きく下がることはありませんでした。それでも、保活激戦区だったので、満1歳を迎える前に認可外に預けて点数を貯め、4月に認可保育園に転園することができました。ご自身の住んでいる地域ではどうなのか、よく調べてみてくださいね。

 

いかがでしたでしょうか。
今、フリーランスという働き方に注目が集まっていますが、当然メリット・デメリットがあります。ワーキングマザーと相性の良い働き方だとは思いますが、全ての人に向いているわけでもありません。興味がある方は、調べてみたり、すでにフリーランスとして活躍している人に話を聞いたりして、じっくり検討してみてくださいね。

 

そして、やっぱりこれだ!と思ったら、ぜひ一歩踏み出してみてください。一個人として、社会人として、母として、妻として。どの役割も諦めずに生きる方法が、必ず見つかるはずです。自分自身のためだけでなく、自分らしく生き生き働く姿を子どもに見せることは、立派な教育の一つだと私は思います。女性の働き方は、まだまだ大きく変わっていきますし、変えられます。子ども世代に負の遺産を残さないよう、私たちが道を切り拓いていきましょう。

専門家:天田有美

慶應義塾大学文学部人間科学科卒業後、株式会社リクルート(現リクルートキャリア)へ入社。一貫してHR事業に携わる。2012年、フリーランスへ転身。
キャリアコンサルタントとしてカウンセリングを行うほか、研修講師・面接官などを務める。ライター、チアダンスインストラクターとしても活動中。