最近ニュースなどで「ビッグデータ」という言葉をよく耳にしますよね。どうやらこれからのビジネスにとって、とても重要なものらしいのです。しかもこのビッグデータが、地方創生にも大きくかかわってくるというのですから、このコーナーとしても放ってはおけません。ビッグデータとはなにか? 地方創生にどう役立つのか? いまから見ていきましょう。
■「ビッグデータ」ってなに?
さて、報道などで盛んに飛び交う「ビッグデータ」という言葉ですが、それが何を指しているのか、どんな使い方をするのか、いまいちピンとこない方も多いのではないでしょうか。
ビッグデータとは、文字通り大量のデータのことです。従来のデータベースでは扱えないほどに膨大で、多様で、しかも頻繁に更新されるデータの集合体を指します。
で、それが一体、なんの役に立つのかというと……
社会科学においては、人間の行動パターンを、より詳細かつリアルタイムに分析することができるようになるとされています。消費者の購入行為を深く分析できれば、より人々のニーズにあった商品を生み出す事ができます。さらにはリアルタイムの分析によって、流行の変化に合わせたサービスを提供することも可能となります。
ビッグデータの活用により、ビジネスを取り巻く環境が劇的に変わると予想されているのです。
■地域の活性化に、どう役に立つの?
つまりビッグデータとは「従来の技術ではあつかえなかった、膨大かつ多様で、頻繁に更新されるデータの集合体」であり、それを上手く生かせば人間社会に劇的な向上をもたらすとされているのです。
このビッグデータは、地域の活性化にも大いに役立つものとして期待されています。
たとえば、以下のような活用例が報告されています。
・産業の振興
ビッグデータの利用により、地域の生み出すサービスが、どこでどのように消費されたかが分かります。たとえば、ある地域で生産された農作物が、どの方面で、どの時期に売れたのかを分析できます。これによって、もっとも収益を生み出す農作物の生産に注力することができるのです。
・地域振興策の検討
各自治体の行う地域振興策の効果についても、ビッグデータの解析が役に立ちます。たとえば観光客の呼び込みが上手くいっているかどうかを、ビッグデータは詳細に教えてくれます。
いつ、どの地域から、どんな層が、どれだけ来ているかを分析することで、より適切な観光振興策を立案する事もできるのです。
・地域の問題点の分析
たとえば埼玉県では、交通環境の整備の検討にデータを利用することにしました。具体的には、自動車メーカーと協力し、運転者個々のカーナビから収集したデータを詳細に分析し、急ブレーキが多く発生していた約160箇所で、交通安全対策を施しました(路面表示、ポストコーンの設置、街路樹の剪定(せんてい)など)。
その結果、急ブレーキの発生が7割も減り、人身事故も2割減少するなど、著しい効果をあげることに成功したのです。
■これはすごい! 地方創生の切り札「RESAS」
このようにビッグデータの利用は、地方創生を大きく後押しする可能性を秘めています。
そして国もまた、その後押しをすべく、面白いシステムを公表しました。
それが「まち・ひと・しごと創生本部」の提供する「RESAS」(リーサス)です。
地域経済分析システム「RESAS」
https://resas.go.jp
RESASとは(Regional Economy (and)Society Analyzing System)の略です。地方自治体の取り組みを情報面から支援するために、人口や産業などに関するビッグデータを集めて、可視化したシステムです。
どのように使うのか、少し見てみましょう。たとえば人口マップから「人口増減」の項目に進むと、自治体ごとの人口増減率をマップで色分けして示してくれます。現在の数値はもちろん、将来(2040年まで)の人口増減率までが一目瞭然です(特に地方のマップでは、大幅な人口減の予測を突きつけられて、暗い気分になります……)。
また、産業構造マップから「全産業」→「稼ぐ力分析」へと進めば、どの産業が効率的に稼いでいるか、これまた自治体ごとにマップで色分けして見せてくれます。
いずれの分野でも、データが「可視化」されているのが大きなポイントです。数字の羅列よりもはるかに分かりやすく、地域の実態や課題を把握する事ができます。一般人でも簡単に理解できる作りですので、ぜひともサイトにアクセスしてみてください。
RESASのようなビッグデータを有効利用できるツールによって、地域のさらなる振興策も生まれてくる事でしょう。
ビッグデータの出現により、ビジネスはもちろん、地方創生の現場も大きな変革が起きるかもしれません。データの有効利用が、これからの地方の運命を握っているのは間違いないところでしょう。
記事制作/欧州 力(おうしゅう りき)
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