「地方創生」―ニュースなどで頻繁に耳にするワードですよね。
しかしながら、「よく聴く言葉だけど、いまいちピンとこない」「田舎の活性化みたいなことを言っているんだろうけど、あまりよく分からない」……と思う人の方が、多いのではないでしょうか。今回はこの「地方創生」という言葉の意味とともに、それが目指しているものや、私たちに与える影響について考えてみたいと思います。

■地方創生ってなに?

地方創生の理念は2014年、第2次安部改造内閣の発足とともに提唱されました。同時に「まち・ひと・しごと創生本部」が設置され、内閣の直属組織として、地方創生を推進することになりました。簡単に、ワンセンテンスで説明するなら、「地方の経済的活力を取りもどし、人口減少を食いとめる」ということになります。

大きなテーマとして、経済と人口の問題が挙げられていますが、これらは車の両輪ともいえます。経済が活発な(=好条件の仕事がたくさんある)地域でないと、人は集まりません。逆に、あるていどの労働人口がいないと、ビジネスのための人的資源が不足しますから、経済は上手くいきませんよね。つまり「経済」の活性化と「人」の確保、どちらが欠けても地方創生の目的は達成されないのです。

■地方創生の具体的な施策は?

地方創生の実現のため、基本的な方向性として挙げられているのは以下の通りです。

1.雇用の創出

地方から都会に人が流出してしまう、いちばんの原因はなんでしょうか?まずはなんといっても「地方にいては、いい仕事がない」という点が挙げられるでしょう。

そのため地方創生においては、地方での雇用の創出が最重要課題となります。まずは、地方自治体が地域産業の振興において、さらなる努力と創意工夫をすることが必要です。たとえば企業の誘致や創業支援などがこれに当たるでしょう。同時に国の側も、地方の産業活性化のため、実効性ある施策をとることが求められます。そのために交付金・補助金・助成金などの制度が設けられています。

重要なのは、自治体と国、双方の施策によって地域産業が振興し、地方での雇用を生んでいくことです。それが実現してこそ、地方から都会への人の流出をストップできます。「地方にいても、十分に仕事がある」という状況を作ることが、地方創生の第一歩なのです。

2.人生計画へのサポート

もっとも、仕事があるというだけでは、人々にとって地方が住み良い場所になるわけではありません。結婚、出産、子育てなど、人生計画がトータルでうまくいってこそ、はじめて暮らしやすい地域といえます。

そのためにはまず経済的な基盤が必要です。たとえば、パート・アルバイトの正社員登用を推進することなどが有効な施策といえるでしょう。また、育児休暇を取りやすくする、過剰な長時間労働をおさえるなど、仕事と家庭をバランスよく両立させられる環境づくりが求められます。それが実現してはじめて、地方は人々にとって住み良い場所となるはずなのです。

3.地方への移住の推進

現時点で、国内の人口は東京一極集中が進んでいます。人口分布のバランスを正常化するためには、都会から地方に移り住む人を増やさねばなりません。つまり「地方から都会へ」向かっていた人の流れを、「都会から地方へ」と変えていくことが必要です。

とはいえ、これまで人が都会に向かっていた流れを、まったく逆方向に変えるのですから、これは口で言うほど簡単ではありません。都会の人に「地方で暮らしてみたい!」と思わせるだけの強い魅力を、それぞれの地方がそなえていく必要があります。
たとえば企業の地方拠点を誘致すれば、ビジネスマンに「都会に行かなくても働ける」環境を提供することができます。また、地方ならではの豊かな自然環境を生かし、老後生活の豊かなビジョンを提示することも、都会から人を呼び込む上で有効でしょう。

4.地域相互の連携

たとえばある人が「A市」に住むとしても、そこだけで仕事や生活が完結するわけではありません。
隣接するB市や、仕事先のあるC市、あるいは県の中心であるD市なども、A市住民の仕事や生活に大きくかかわってきます。居住地域のみならずその周辺の地域も、その人の人生に大きく関係するのです。

地方が住民により良い人生を提供するには、周辺の地域同士が補完し合い、それぞれの特色を生かしつつ、連携していく必要があります。

■地方創生により労働はどう変化する?

地方創生の実現にともない、東京以外での職場が増えることも考えられます。よって、これまでは仕事のために東京や大都市に出て行かなくてはいけなかった人が、自分の地元で働けるケースが増えるかもしれません。
また地方創生の理念から、地方の労働者にとってより働きやすい環境が実現するでしょう。出産・育児のしやすい社会システム整備についても、期待が持てます。
もっとも、地方創生の取り組みはまだまだこれからが本番であり、理念どおりに現実が動いていくかは、今後の動向をじっくり見守っていく必要があります。

本連載では、地方創生に関連するさまざまな施策や事例を見ながら、実現の可能性について迫ってみたいと思います。次回は、具体例に入る前に、地方創生という考え方が生まれ、注目されるようになった背景について考えます。

記事制作/山田伊織(やまだいおり)

ノマドジャーナル編集部
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