労働に関する考え方が大きく変わりつつある昨今ですが、政府が提唱する「働き方改革」が話題になっています。その中でも特筆すべきが、副業の解禁です。今までは多くの企業が当たり前のように副業を禁止してきました。ここで、副業とはそもそも何なのか、どんな特徴があるのかを説明していきます。

副業とは、本当はどんな意味なのか?

副業の法律上の定義とは

多くの企業が、就業規則の中で副業を禁止しています。でもそもそも副業とは何か?副業の法律上の定義はあるのか?と疑問に思った人もいるでしょう。実は、「副業」という言葉には明確な法律上の定義は存在しません。収入を得ている仕事とは別にしている仕事、これを副業と呼ぶのが現在の主流のようです。

働き方改革の中に「副業・兼業の推進に向けたガイドラインや改訂版モデル就業規則の策定」という項目があり、副業を推進する動きが出ています。副業禁止の企業が大多数を占めている状況ですが、政府主導で副業は推進の方向に動いています。

副業に関する税金面のお話

注意しなければいけないのが、副業で収入を得た場合の税金です。法律では給与所得以外で年間20万円を超える収入があった場合、確定申告が義務付けられます。さらに、給与所得を複数の勤め先からもらった場合は、副業の収入額に関わらず確定申告が必要になります。もしも確定申告をしなかった場合は脱税となってしまい、重い追徴課税が課せられてしまう危険性がありますので、確定申告は忘れずに行うようにしましょう。

副業と兼業(ダブルワーク)、パラレルキャリアの違い

働き方改革の中にある「副業・兼業の推進に向けたガイドラインや改訂版モデル就業規則の策定」という項目は、副業と兼業を分けて書いています。副業という言葉には法律的な定義はありませんが、実は兼業も同様です。副業と兼業の違いは、言葉の意味とニュアンス的なものとなります。

まず副業ですが、「副」とは「そえる。つけくわえる。ついでに起こる。」という意味があり、本業との関係を不等号で表すと「本業>副業」となります。

兼業の「兼」は、「2つ以上のものをそなえる。あわせもつ。」という意味です。本業との関係は「本業≧兼業」となり、イコールが入ります。

また、兼業は労働契約があるもの、副業は労働契約がないもの、という意味合いで使う場合もあります。大雑把に考えると、2つ以上の仕事をした時、本業に対して収入が少なければ副業または兼業、収入が同じくらいなら兼業と呼ぶことが多い、くらいにとらえておくとよいでしょう。

最近、パラレルキャリアという言葉も聞くことがあります。こちらは「本業を持ちつつ、もうひとつのキャリアを築くこと」という意味合いです。ただし副業や兼業と大きく違うのは、パラレルキャリアにはボランティア活動なども含まれ、報酬を得ることを目的としていない点です。労働人口の減少に対応するための副業とは違い、あくまで新たな体験や違うキャリアを通じて、多くのスキルを得たり持っているスキルをレベルアップさせたりすることが目的となってきます。

副業を始めるときの注意点

副業が禁止されることもある

副業を解禁・推進する動きがあるのは先述の通りですが、今でも多くの企業で副業を禁止しています。就業規則で禁止されているからやってはいけないのかというと、実はそうとも言い切れません。

会社に勤める方にとって、雇用契約による勤務時間中の労働は義務です。それ以外の時間はそれぞれの自由であり、縛ることは本来できません。

事実民法に副業禁止の規定はありません。しかし、あくまで「無制限に禁止」ができないだけです。理由によっては副業がある程度禁止となることもあります。例えば公務員の場合、公務員法内の副業禁止規定により、副業は原則禁止となっています。

副業が認められないパターン紹介

副業が認められないパターンは、今までの裁判の判例などによりある程度分類できます。

1つ目は「疲労等により本業に影響が出るような副業」です。こちらは解雇が妥当だと認められたこともあります。

2つ目は「本業と競業関係にある副業」です。こちらは会社の信頼を裏切る行為であり、企業秘密などが競業他社に漏れてしまう危険性があります。実際に競業関係を副業とすることに問題があるとされた判例があります。

3つ目は「副業内容が本業の会社の信頼を失墜させるような場合」です。法律に反する業務内容であったり、反社会的勢力と繋がりを持つような業務は社会通念上でも、就業規則上でも大きな問題です。

逆を言えばこれらの要素を避ければ法的には問題ないとされています。

自分にあった副業の探し方と副業探しのポイント

副業が認められない3つのパターンを紹介しました。これらのパターンに当てはまらないよう、また自分の生活スタイルを考えて副業選びをすると良いでしょう。「本業との競業関係にある」「会社の信頼を落とす内容の」副業は絶対に避け、疲労しすぎないように労働時間を考えればOKです。

雑誌やアルバイト情報サイトなどでも副業を探すことができます。ただ本業をしつつアルバイトも、となると時間的な制約から採用されにくいので、なかなか副業が始められない可能性があります。

そこで、クラウドソーシングサイトを利用し、自宅でできる副業を探すのがおすすめです。もちろん納期はありますが、本業以外の時間を自由に使って取り組めるので比較的スケジュール管理が楽になります。株や投資なども、リスクはありますが選択肢に入ってきます。ポイントとしては、いかに自分の思い通りの時間で副業に取り組めるか、です。それをうまく考えないと、体調とモチベーションの管理が難しくなります。

副業を長続きさせるポイント

副業を長続きさせることはなかなか大変です。なにしろ本業を抱えながら別に仕事をするわけですから、疲労も溜まってしまいますよね。

副業を長続きさせるポイントはいくつかあります。

まず飲食店やコンビニ、派遣などアルバイトの場合は、必ず時間の自由がある程度きくものを選びましょう。頑張りすぎて本業に影響が出てしまっては元も子もありません。

自宅での副業も同じです。スケジュール管理はしっかり行い、副業も仕事もない、という日を必ず週に1日は作りましょう。オンオフはしっかり切り替えることが必要です。

何のために副業をやるのかをしっかりしておくこと、目標を持つことも重要です。それも長期的な目標ではなく、短期的な目標を複数持つようにしてください。長期的な目標も大事ですが、人間はなかなか最初の気持ちややる気を維持できません。この金額だけ貯まったら欲しいものを買う、貯金をする、など短い、小さい目標を繋げて大きな目標にするのが理想的です。

まとめ

副業が認められなかった世の中から、副業が推進される世の中へと変革の時を迎えています。副業には色々な考えを持った人と関わることで自分に成長をもたらす効果もあります。貯金のため、顔を広げるため、などいろいろな理由はあるでしょうが、少しずつ副業に取り組んでみてはいかがでしょうか。きっと新しい世界が開けますよ!

執筆者:守山 有

2014年からフリーライターとして活動。副業、IT関連、飲食など多ジャンルに渡って多数執筆。勉強の日々ですが、執筆も楽しく充実しています!