ビジネスにおける大切なスキルとは
ビジネスにおいて大切なスキルとはなんでしょうか?専門的なスキルも含めれば、もちろんたくさんあるでしょう。しかしそのなかでも、自分の考え・思いを伝える力というのはとても大切。
なぜなら仕事の基本はコミュニケーションだからです。仕事は、チームや関係者と力をあわせてすすめていくものです。そのなかで、自分の考えを伝えることがとても重要になります。
そしてストーリーテリングは、自分の考えを伝える手法としては秀でているのです。
近年注目されているストーリーテリング
近年、プレゼンや営業などのコミュニケーションの手法として、ストーリーテリングに重要性に注目が集まっています。プレゼンや営業を受ける消費者の目が肥えてきており、また似たような質をもつサービスが増えてきているためです。
もはや数字だけで消費者を納得させることのできる時代は終わりつつあります。現代においては、数字が優れていることは当然であり、その上で消費者の目を引く「物語」「エピソード」が求められいるのです。
今回は、あなたのプレゼンと営業を大きく変える可能性を秘めたストーリーテリングについて紹介します。ストーリーテリングの手法を身に着けると、あなたのスキルが大きく高まることでしょう。
ストーリーテリングとは?
ストーリーテリングの意味
そもそもストーリーテリングとは、文字通り「物語を」「語る」ことを指します。ビジネスの現場では、企画や商品を紹介する際に、それらがもつ数字やメリットだけでなく、物語やエピソードを絡めることにより聞き手に強い印象を与える手法です。
ストーリーテリングによって価値観を伝え、差別化を図る
昨今、さまざまな分野で技術開発が進み、同業他社間で似たような質のサービスを用いて激しい競争が行われています。ここでは、衣服のクリーニングサービスを例にあげましょう。
クリーニング業界において、ワイシャツ1枚にかかるクリーニング費用は100円を切ることが当たり前となっており、これ以上サービス料金を安くすることは不可能であるというところで競争が行われています。
つまり、顧客としてはワイシャツが綺麗になるならば、どのクリーニング店にお願いしても変わらないといった状況なのです。このような過当競争の時代において、サービスに個性を持たせ、同業他社のサービスとの差別化を図る目的でストーリーテリングに注目が集まっています。
クリーニングサービスの例でいえば、会社がもつ価値観にもとづくストーリーを構築し、それをクリーニングサービスに絡め、「私たちはなぜワイシャツを白くするのか」といった点を消費者に強くアピールしていくのです。
そして、会社の価値観に消費者が呼応することにより、サービスが選ばれるのです。
ビジネスにおけるストーリーテリングの使いどころ
プレゼンテーションやブランディングで活用
冒頭にも紹介したようにストリーテリングは、プレゼンテーションの場面でよく使われるようになりました。数値や図、表などを工夫するとともに、話の流れをストーリーにすることで聞き手を惹きつけ、印象に残していく効果があります。
たとえば、スティーブジョブズのプレゼンは何年も人々の心に刻まれています。また企業ブランディング、商品やサービスのブランディングすることにもストーリーテリングは有効です。CMなども数十秒の中にストーリーテリングの手法を取り入れたものといえるでしょう。
経営や人事での活用
経営理念やビジョンを組織内に浸透させることにもストーリーテリングは有効です。抽象的で掴みにくいメッセージをストーリーにすることで、イメージさせ、心で捉えさせる効果が期待できます。
人事では、たとえば、求人広告の際の企業アピール、職種の説明などをストーリーテリングによって伝えることができます。
人材育成での活用
上司からのアドバイスや忠告などの場合、経験を基にしたストーリーにすることで部下が抵抗感なく話を受け止めやすくなるようです。丁度、教えや教訓の盛り込まれた物語を聞かせることと同じような効果が見込めます。
ストーリーテリングが効果的な4つの理由
信ぴょう性が増す
ストーリーテリングは、話す側が伝えたいこと、商品なら売りたいものに直接的に意識を向けさせるのではなく、ストーリーにまず引き込んで理解を促していきます。
過去、現在、未来という流れの時系列のストーリーを共有することでより具体的に伝わります。強制感なく、聞き手の自発的な理解が得やすいという効果があるのです。
共感度が高まる
ストーリーテリングの話を聞いているうちに聞き手は感情移入し、部分的、時には全体的に自分の状況や経験、価値観や信念などとの共通点を発見させる可能性が高くなります。
「そうだ」「心当たりがある」「賛成だ」「いつも気になっていた」など話し手に対する共感が生まれるのです。
長く記憶に残りやすい
ストーリーで話していくと、聞き手は自動的にイメージとして脳に刷り込みを始めています。このイメージが鮮烈なほど右脳が活発に働き、長期的な記憶に残りやすいのです。
好きな映画のストーリーやシーンは忘れないものですよね。鮮烈に記憶に残るとそれを伝達することも容易になるでしょう。顧客などの場合、口コミや宣伝効果も見込めるということです。
動機付けになりやすい
ストーリーテリングは感動、つまり感情を動かす効果があります。社員やチームのメンバーなどの心を動かし、記憶に残すことも手伝って強力に行動を促すモチベーションとなります。
ストーリーテリングにおける5つのポイント
消費者が共感できるストーリーを意識する
ストーリーテリングの際は、消費者が共感できるストーリーの用意が必要です。昨今、意識されている環境問題とからめたり、特定の消費者が抱える問題に着目する必要があります。問題提起の時点で消費者の共感を得ることができないと、消費者はストーリーの結論まで読んでくれません。
一方で、潜在的な消費者も含めたすべての人間に対して共感できるストーリーは必要ないでしょう。そこまでストーリーを広げてしまうよりは、特定の消費者に深く響くストーリーを構築した方が利益につながります。
そのため、ストーリーを構築する場合は、「誰に」聞かせたいかが重要です。消費者の範囲をしぼって狙い撃ちすることがストーリーテリングには必要。
ストーリーテリングの構成は時系列でロジカルに
ストーリーテリングを創り出す基本は、時系列で構成するということです。「なぜそれがあるのか」などの関連性を提示することから始めます。つまり、過去の状況を説明していきます。次に、現状を語ります。聞き手が気付いていない現状把握が目的です。
次に、具体的なプロセスについての説明の中で難題や困難の発生も含めます。そして、最後に理想像の提示で聞き手が話の中で学んだこと、ほっとしたことを意欲に変えるように締めてみてください。
五感の具体化
五感に働きかける言葉をストーリーテリングの中に盛り込むことで、記憶はより強固になるようです。
ストーリーの中でどのように感じたのか、触れるもの、見えるもの、聞こえてくることや香りなどを言葉にすることで聞き手の疑似体験感が強まります。危機感はより危機的に、理想像もより意欲を駆り立てるものとして伝わるのです。
「差」で印象づける
印象に残りやすくするためには、話の中のギャップを深くすることです。平坦な話は聞き手の心を揺さぶりません。心の揺さぶり度が激しいほど、強く記憶に残し、行動意欲を駆り立てます。
クライマックスを用意する
ストーリーにはクライマックスが必要です。クライマックスは、もっとも大きな山場であり、盛り上がりであり、消費者に大きな印象を残す場面。たとえば、以下のような点顔をする場合、クライマックスは自社サービスの提案の箇所となります。
①問題提起
②問題の背景
③自社の価値観
④自社サービスを用いた打開策の提案←ここにクライマックスをもってくる
極論をいうと、①から③は④を引き立てるための手段でしかないのです。しかし、①から③が秀逸であればあるほど、④が引き立つのです。
ストーリーテリングをより質の高いものにするために
ストーリーテリングをより上質なものとする場合、そのストーリーを聞くことによって消費者が得る「体験」から逆算して物語を組み立てることがオススメ。消費者の体験にフォーカスした物語を作ることで、消費者の心は大きく動かされるのです。
昨今、デザイン業界ではUX「ユーザーエクスペリエンス」をいう、消費者の体験をデザインするといった概念が大きく注目されています。これはストーリーテリングにも同じことがいえるでしょう。
ストーリーテリングにおいては、ストーリーを前提として消費者の体験を作り上げる必要があります。それができると、ストーリーテリングは高い効果を発揮します。
さっそくストーリーテリングを取り入れよう
このようにストーリーテリングはプレゼント営業の力を大きく高めるものです。どのようなストーリーを構築するかについては、まずは消費者の体験から考えるとよいでしょう。そのうえで、会社の経営理念やクレドをストーリーに盛り込むことができると説得力が増します。プレゼンと営業を仕事としている方はぜひともストーリーテリングの手法に挑戦してみてください。