◆NPO法人「二枚目の名刺」とは

「会社人として持つ1枚目の名刺の他に、社会人としての2枚目の名刺があったら」

2011年設立。NPO法人「二枚目の名刺」は、今後の日本において自身や社会を変える意識をもった人材を増やすべく、社会を創ることに取組むNPO等の団体と社会人が出会う機会を提供している団体です。本業での1枚目の名刺を持つ社会人が、組織の枠を超えてもう1枚の名刺を持ち、NPO等の団体ともに社会を変える活動を行うことで、パートナーとなる団体や2 枚目の名刺を持つ社会人自身、そして1枚目の名刺での企業に変化を起こすことを目指して設立されました。

◆NPO法人と社会人をつなぐ。
「二枚目の名刺」の具体的な取り組み

同法人が推進している「サポートプロジェクト」は、様々な背景を持った社会人がチームを組み、新しい社会を創ることを目指す団体(NPO法人等)と共に、戦略策定や新規事業開発、マーケティングなどといった団体の事業推進に取り組むための有期のプロジェクトです。

その他、NPO法人と社会人が出会うきっかけとなる「Common Room」の定期開催、350名以上を動員する年1回の大型イベント「夏フェス」の主催など、社会人が2枚目の名刺を持つ機会を様々な角度から創出しています。また近年、企業が人材育成等の一環として協働するケースも増加しています。

2016年に入り、行政組織・大学・大手企業各社と連携した「二枚目の名刺ラボ」の発足やオウンドメディアの立ち上げなど、実践事例の積極的な発信・展開を推進。サポートプロジェクトを通じた事例の創出だけではなく、プロジェクト参加者の変化を実証することにより、企業における「実践型の人材育成」や「CSR/CSV」のプログラムとしての価値が期待されるなど、世の中の空気を変える新たな存在として次なる展開を視野に入れています。

今回はNPO法人「二枚目の名刺」中核メンバーである常務理事の松井様、ダイレクターの安東様にお話を伺いました。

コンサルティングファームからNPO法人への転身。
二枚目の名刺との出会い。

Q:松井さんは、新卒でコンサルティングファームに入社されていらっしゃいますが、元々、社会活動自体にご興味をお持ちだったのでしょうか。

松井 孝憲(以下、松井):
学生時代は、国際政治や国際関係を専門的に勉強していました。国際平和や開発協力といったテーマです。当時、博士課程に進むことも考えたのですが、論文を書いて研究発表をすることで、果たして自分はどれくらい世の中にインパクトを与えられるのだろうか、ということを真剣に考えていました。ちょうど世間で「社会起業家」という言葉が流行り始めていた頃です。結果、学術的なアプローチよりも、実務的にビジネスの世界でやっていきたいなと思い就職を選びました。決めた後も悩みましたね。社会起業家のように、自分も世の中に価値を発揮したい、実社会の中で世の中を変えるようなインパクトを出したい。でも、特定分野のメーカーやサービス業に就職することでそれが叶うのか?何かが違う。それなら、ソーシャル領域とビジネス領域の実務が両方できるところはどこか?最終的にコンサルティング業界に行きつきました。

Q:「二枚目の名刺」を知ったきっかけについて教えてください。

松井:
コンサル業界に身をおきながらも、ソーシャルセクターや社会起業といったキーワードには社会人になった後もずっと興味を持っていました。でも、二枚目の名刺を知ったのは本当に偶然です。ちょうど社会人2年目になる直前の頃、土曜の午前に、ある集まりに出席していました。そこで知り合った方が「今日の午後に、二枚目の名刺という団体のイベントがあって」と話していたんです。二枚目の名刺?おもしろい名前だなぁと思って、ほとんど調べる時間もないまま、そのまま午後のイベントにご一緒させていただいたのがきっかけです(笑)。

Q:本当に偶然だったのですね。

松井:
そうなんです。そのイベントで二枚目の名刺の「サポートプロジェクト」の骨子を見た時、当時の自分から見ても骨太なアウトプットをされていることが分かり、この団体の活動ならおもしろそうだなと感じました。代表の廣には「当時の松井ってツンツンしてたよね」と、よく笑い話で言われるのですが(笑)

Q:実際、松井さんご自身もサポートプロジェクトに参加されたのでしょうか。

松井:
はい。自分も2枚の名刺を持つ社会人としてプロジェクトに参加してみました。

偶然の出会いが、価値観を変えた。

Q:サポートプロジェクトの参加を経て、ご自身の中で変化はありましたか?

松井:
ありましたね。実際その時の原体験が、その後、二枚目の名刺の運営に飛び込むきっかけになったと思っています。自分自身の価値観が大きく変わりました。その時、私が参加したのは「NPO法人 病気の子ども支援ネット」という団体で、難病や病気を抱えて入院している子どもたちの病室を訪ね、ボランティアとして遊びを提供する活動をしている団体でした。その団体のこれからの事業をどう描いていくかというテーマで、代表の方とダイレクトに話しながら進めるプロジェクトでした。その時は正直、コンサルタントとして培ってきた自分の力試しの場、という感覚で参加しました。ビジネスの世界でやってきた自分の力をNPO法人に提供して「あげる」、というイメージでしたね。しかしながら、参加してみて、それがものの見事に覆されました。

Q:なぜですか?

松井:
そちらの代表の方は、難病の子どもと向き合う医療・保育の分野に20年以上も携わってこられて、その道の先駆者というか、道なきところを使命感を持って切り拓いてこられた方です。過去のお話を伺っていると本当に壮絶で、それこそたくさんの子どもたちの命に向き合っておられるし、自分の生活も賭してやっていらっしゃる。

そこまでの信念を持って突き進まれてきた代表の方に、コンサルを多少かじった若者が外からポンっと入ってきて、「こうしたいいですよ」とアドバイスをして「あげる」とか、支援して「あげる」というのは足元の土台から考え方が間違っていたのだと、痛感しました。今までの自分はどれほど狭い世界だけを見て働いていたのか、と。思い知らされたというよりも、自分の内側にぐっと何かを差し込まれた感覚でしたね。

Q:なるほど。これまでサポートプロジェクトに参加した社会人の方の中にも、松井さんと同じような感じ方をされた方もいらっしゃるかもしれませんね。

松井:
そうですね。サポートプロジェクトは「ビジネスの構造をよく知っているビジネスパーソン」が、「よくわかっていないソーシャルセクターの人」を支援して「あげる」という構図ではなく、ソーシャルセクターの第一線で活動しているその分野の最先端、熱い推進力を持ったフロントランナーたちと共に、社会を変えることの手触り感を感じながらどこまで一緒にやれるのかということのチャレンジなのだと思います。僕はそれを身をもって経験した。だからこそ、僕らはいわゆるボランティア、社会貢献という言葉はあまり使わずにこの取り組みを表現しています。

そういった観点で、ビジネスパーソンを社会の先駆者に引き合わせ、双方が協働することで、社会に対してどこまで何ができるのかということを体感するきっかけづくりにトライする、というのが僕らの活動の本質だと考えています。「2枚目の名刺を持つ」という言葉が自然と感じられるような世の中の雰囲気をつくれたら良いなと思います。

取材・記事作成:伊藤 梓

写真・加藤 静

専門家:松井 孝憲
「二枚目の名刺」常務理事
一橋大学法学部卒、早稲田大学政治学研究科修了後、総合系コンサルティングファーム 株式会社シグマクシスに新卒一期生として入社。
人事領域、ソーシャルビジネスに関する新規事業案件等を担当。2013年、退社。
現職時から携わっていた「二枚目の名刺」に専任担当として参画。
専門家:安東 直美
「二枚目の名刺」ダイレクター
大学卒業後、米系・大手金融情報会社に入社。営業、営業人材育成、マーケティングを経て退社。
2016年より「二枚目の名刺」の専任担当として参画。

ノマドジャーナル編集部
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