利益をどのように上げていくかにおいても、会計から意識していくことが非常に重要です。

第6回は会社が利益を出す方法について伺いました。

まずは、利益の式を意識することから始めましょう。経営者が会計を意識することで社員同士も会計を意識した行動がとれ、利益の出る強い会社へと近づきます。

売上-費用=利益。利益を出すために意識するべき式

Q:利益を出すにはどうすればよいのでしょうか?会計の観点からはどういったアドバイスをしていますか?

A:まずは利益を出す式を意識しましょう。シンプルなことなのですが意外と意識できていない経営者が多いです。

利益は以下の式から生まれます。

売上-費用=利益

 

この式から利益を出すにはどうすべきか考えてみましょう。そうすると、とても単純なことがわかりますよね。

  • 売上を増やす
  • 費用を減らす

 

この2つのことから利益が生まれるのです。

売れば売るほど赤字が増える?

Q:売上-費用=利益。当然のことのように聞こえますが。

A:こんなにも単純なことですが、意外と多くの経営者が意識できておらず、安易に赤字になるような値引き販売してしまう経営者の方もいらっしゃいます。意識していない経営者の中には、売れば売るほど赤字が増えるような価格設定で販売していることもあります。それではいつまでたっても経営は上向きません。

その一方で営業部には「売上を上げてこい!」、購買部には「安く購入しろ!」、経理部には「経費を削減しろ!」と怒鳴っていることが多いのです。

しかし営業部も購買部も経理部も、ただ頑張るだけでは成果がでません。

 

例えば、売上を上げるということも、売上の式が

売上=単価×数量

ということを知っていれば、単価を上げる戦略、販売数量を上げる戦略を意識できるでしょう。

 

その上でサービスラインを増やすのか、既存の顧客への単価を上げるのか議論できるでしょう。

全社員が自社の決算数値を意識する

Q:とはいえ、決算書の内容をきちんと理解している従業員は少ないと思うのですが。

A:まずは経営者が利益を出すためにはいくらで販売し、いくらの費用をかけるべきか、会計の視点を社員に説いて、全社員が自社の決算数値を意識し、利益を上げるために全社一丸となることが必要となります。

そうすることで、売上を上げる営業部と仕入れをする購買部が連動し、売上を上げる努力と仕入原価を下げる努力をしてくれるでしょう。また工場では製造コストの削減のために原材料の仕入れ先を比較したり値段を交渉したり、外注費用や経費の削減の努力をして会社経営に協力をしてくれるでしょう。

また経理部等の管理部も営業と購買が努力する姿をみて、無駄な経費の洗い出しや自社の経営数値を早くつかむために決算早期化をすすめ、会社の数値を経営に役立つよう公表してくれることでしょう。

 

利益を出すためには、上記のように営業部から購買部はもちろん管理部や工場の一人一人が協力して全社一丸となることが必要です。

 

そのためにも経営者が、「売上-費用=利益」を強く意識し、売上の最大化と費用の最小化に努めるよう経営の舵を取ってください。経営者が会計を意識することで社員同士も会計を意識した行動がとれ利益の出る強い会社へと近づくでしょう。

専門家:江黒 崇史

大学卒業後、公認会計士として大手監査法人において製造業、小売業、IT企業を中心に多くの会計監査に従事。
2005年にハードウェアベンチャー企業の最高財務責任者(CFO)として、資本政策、株式公開業務、決算業務、人事業務に従事するとともに、株式上場業務を担当。
2005年より中堅監査法人に参画し、情報・通信企業、不動産業、製造業、サービス業の会計監査に従事。またM&Aにおける買収調査や企業価値評価業務、TOBやMBOの助言業務も多く担当。
2014年7月より独立し江黒公認会計士事務所を設立。
会計コンサル、経営コンサル、IPOコンサル、M&Aアドバイザリー業務の遂行に努める。