前回の第18回目までは、4回にわたって貸借対照表について解説してきました。

今回は、損益計算書の入門編。
会社の利益というと「売上高」が気になってしまうという方も多いかと思いますが、利益としても、売上総利益、営業利益、経常利益、税引き前当期純利益、当期純利益などがあります。それぞれの利益とつく項目はどのような意味があるのでしょうか。

この機会に正しい損益計算書の見方を覚え、会社の利益体質を読み取っていきましょう。

損益計算書は会社の1年間の成績表

Q :損益計算書ではどんなところをチェックすればよいのでしょうか。ポイントを教えてください。

A:各利益の意味を意識して、利益額をチェックしていきましょう。

損益計算書は会社の1年間の成績表です。損益を単純に考えると、
売上△費用=利益
です。

ところで損益計算書では「利益」とつく項目が沢山載っています。簡単に損益計算書を載せると下記のようなイメージです。

売上高 1,000
売上原価 ▲600
売上総利益 400
販売費及び一般管理費 ▲200
営業利益 200
営業外収益 30
営業外費用 ▲50
経常利益 180
特別利益 50
特別損失 ▲100
税引前当期純利益 130
法人税等 ▲52
当期純利益 78

売上から始まり、利益に終わる図となっています。
そのため、上から下に利益を計算していきます。見てわかる通り、売上総利益、営業利益、経常利益、税引き前当期純利益、当期純利益などを確認することができます。

一般的に損益の状況というと売上高が気になりますが、大事なことは利益が計上されているか否かです。売上だけではなく各段階の利益に注目して下さい。

ビジネスが成功しているかどうかを判断するには、売上総利益をチェック

Q:利益といっても、売上総利益、営業利益、経常利益、税引き前当期純利益、当期純利益などがありますが、特に重要なのは、どの項目でしょうか?

A:では各段階の利益を見ていきましょう。

売上総利益は、「本業・サービスそのものの素の収益力」

まず売上総利益ですが、実務上はよく粗利益(あらりえき)と呼ばれます。売上から売上原価を引いた後ですので「本業・サービスそのものの素の収益力」を示しています。まずはこの利益がでていなければ、会社のビジネス自体が成り立っていないことを示します。

営業利益は、「会社の本業・営業全体により稼いだ利益」

次に営業利益ですが、これは売上総利益から会社の営業活動等に付随する販売費及び一般管理費を引いた後ですので「会社の本業・営業全体により稼いだ利益」を示しています。

経常利益は、「会社の経常的な状態を見る利益」

そして受取利息や受取配当金である営業外収益や利息の支払いである営業外費用を考慮した後の利益が経常利益です。会社の運営上、借入をしてビジネスをしているのであれば支払利息が常に発生します。会社の運営上のコストを引いた後ですので「会社の経常的な状態を見る利益」を示しています。

特別利益・費用を考慮した税引前当期純利益、税金を考慮した後の当期純利益

最後に会社の臨時的事象である特別な利益(例えば固定資産の売却や投資有価証券の売却、)や特別な費用(工場の閉鎖や災害損失、固定資産の減損損失等)を考慮した税引前当期純利益に、税金を考慮した後の「当期純利益」という利益があります。

このように損益計算書は利益が沢山ありますが、それは売上と費用を対応させて、決算書の利用者にとってより分かりやすいようにあえて利益を区分しているのです。

会社の事業そのものの力を見るには売上総利益、本業全体の力を見るには営業利益、会社の財務コストを考慮した力を見るには経常利益、臨時要因を考慮した後の利益は税引前当期純利益、税金を考慮した後は当期純利益となります。

ぜひ損益計算書に慣れて、会社の利益体質を読み取っていきましょう。

専門家:江黒崇史
大学卒業後、公認会計士として大手監査法人において製造業、小売業、IT企業を中心に多くの会計監査に従事。
2005年にハードウェアベンチャー企業の最高財務責任者(CFO)として、資本政策、株式公開業務、決算業務、人事業務に従事するとともに、株式上場業務を担当。
2005年より中堅監査法人に参画し、情報・通信企業、不動産業、製造業、サービス業の会計監査に従事。またM&Aにおける買収調査や企業価値評価業務、TOBやMBOの助言業務も多く担当。
2014年7月より独立し江黒公認会計士事務所を設立。
会計コンサル、経営コンサル、IPOコンサル、M&Aアドバイザリー業務の遂行に努める。

ノマドジャーナル編集部
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