あなたは、”フリーランス”という働き方を検討したことがありますか?ライフイベントに左右されやすい女性にとっては、実はとても働きやすいスタイルです。
「フリーランスって、アナウンサーとかライターとか、特定の職業だけで可能なスタイルでしょ?」と思っている人もいるかもしれません。でも、実際は幅広い活躍の仕方があるんですよ。
これまで、子育てや介護との両立についてお話してきた本シリーズ。今回は、フリーランスとして自分らしく働くワーキングマザーへのインタビューの第一弾です。実際にフリーランスとして活躍している人の話を聞いて、メリットもデメリットも知っていただけたら、と思っています。
今回は、インストラクターやセミナー講師として、産前・産後の女性や起業を志す女性をサポートするお仕事をなさっている、宮崎雅子さんにお話を伺いました。前編では、フリーランスとしての活動を中心にお聞きしています。
フリーランスになることを考え始めたのは、2人目を産んでから
Q:フリーランスになったきっかけ・理由は何ですか?
宮崎さん(以下、宮崎):
出産したことがきっかけです。母親であること、子どもがいることがプラスになる仕事や働き方がしたいと思っていました。
出産したのは、2007年の年末。その時は、友人の会社の正社員で、チアスクールのディレクターとして、事務局兼講師をやっていました。ゼロから立ち上げて、会則を作ったり、スポーツクラブに商談に行ったり、インストラクターの養成をしたりしていました。ちょうどその当時は、夫が会社を辞め、教師を目指して修行していたタイミングでもあったので、かなりサポートをしてもらいました。私が夕方まで働き、駅でバトンタッチして、夫は塾講師のアルバイトに行く、というような生活でしたね。普通にしっかり仕事ができていました。
フリーランスになることを考え始めたのは、2人目を産んでから。チアの仕事に復帰しようと思っていたのですが、育休中に思い通りにならないもどかしさ・ストレスを感じたのです。第一子と第二子は1歳半しか離れていないので、家に乳飲み子が2人いる状態。その頃には夫も就職して普通に働いていましたから、以前ほどサポートを受けられなくなりました。
「もう無理・・・」とイライラを子供にぶつけることも出てきて、これはまずい、と思っていた矢先、大学時代の友人も同じような状況にあることを知ったのです。悩みを打ち明け合い、「自分たちみたいなお母さんができないようにしたいよね。」と話し、子育てサークルを立ち上げました。それがI love Mommy!です。
Q:素敵な活動ですね。立ち上げからたった2年で内閣府の認定を得るところまで育て上げたのも、すごいですよね。
宮崎:
最初は、お客さんゼロ。来てくれても、自分の友人やその友人などでした。一人ひとりのお母さんとしっかり向き合い、紹介や口コミを中心に、市の妊婦学級でチラシを配ったり、地域のフリーペーパーに載せてもらったりして、少しずつ広報していきました。そのうち、ピラティスの講師をやってくれる人が現れ、その先生を慕ってお客さんが集まって、という感じで広がっていきました。しかし、都内に複数サロンを開設するまでになり、銀座にも開くことができました。しかし、サロンを置いていたものの、収支が合わず、結局7~8か月でサロンの継続を閉めました。
そのような挫折を経験し、原点に立ち返り、「今いるお客さんを大切に、コツコツやっていこう。」と再スタートしています。現在では、ヨガ・ピラティス、離乳食講座、ベビーマッサージ、ベビー手話、リトミックなどの活動をしています。
仲間がいたのは大きいですね。人に恵まれた結果です。諦めずに続けてきたので、実績を認めてもらい、内閣府の認定をもらうための申請もしやすかったです。
ママはもっと、わがままになっていい
Q:今は”輝きたい女性のチアリーダー”という肩書で活動をされていますよね。このコンセプトを立ち上げられたのは、いつ頃なんですか?
宮崎:
実は、ここ1年くらいなんです。地道に活動はしていたけれど、明確に肩書を掲げたのは最近のことです。
お母さんって、どこか我慢しちゃったり、そもそも「我慢するものだ」と思っている人も多いですよね。私は、ガンガンやりたいことをするタイプ。仕事も好きなことも、自分中心でやってきたのに、出産を経て、子ども優位にならざるを得ないことにストレスを感じるようになりました。でも、ストレスを感じている自分に自己嫌悪。「我慢しなきゃ。でも我慢したくないし・・・」と負のスパイラルに陥っていきました。
ママである自分もいいけれど、たまには”お母さん”という立場を離れて、自分のことを大切にしてほしい。自分を主語にしてほしい。自分自身を生きていけたらいいのにな、と思っていました。そこから、「輝きたい女性を応援します!」というコンセプトに繋がったんです。
Q:「輝きたい女性を応援する」とは、具体的にどんな活動をされているのでしょうか?
宮崎:
私の場合は、ピラティスを教えたり、交流会という場を提供したりしています。人を集めて、みんなに交流してもらうことが目的です。実は、交流会を設けたのも、ごく最近。ピラティスは、体を動かす意味でもいいけれど、「○○さんがいるから」とか「雅子さんと話せるから」という理由で来てくれる人もけっこう多かったんです。
最初はサークルにお客さんとして来てくれていた人が、教える側になったり、私のレッスンを受けたことがきっかけで変われた、という話を聞く機会があったりして、とてもうれしくて。だったら、人と人を繋いでみるのはどうだろう、と思いつきました。
仲間やコミュニティは大事。ちょっと気を抜けたりするだけでも違いますよね。
プロフィール:宮崎 雅子さん
大学卒業後、明治製菓株式会社(現 株式会社明治)に営業として入社。
2003年、株式会社ナイキジャパンへ転職し、スポーツマーケティング部に所属。
2006年、友人の経営する株式会社ファイブスターズエンターテイメントへ入社、
0からチアスクールを立ち上げる。
同時期にピラティスインストラクター資格を取得、指導を始める。
2010年、友人と一緒に子育てサークルI love Mommy!を設立。
2012年 内閣府認証 特定非営利活動法人 I Love Mommy Academy 設立。
産前産後女性の支援活動を行う。
2015年、株式会社大人の女子校内に、起業ママ部というコミュニティを立ち上げる。
現在は、インストラクター、セミナー講師として活動。
専門家:天田有美
慶應義塾大学文学部人間科学科卒業後、株式会社リクルート(現リクルートキャリア)へ入社。一貫してHR事業に携わる。2012年、フリーランスへ転身。
キャリアコンサルタントとしてカウンセリングを行うほか、研修講師・面接官などを務める。ライター、チアダンスインストラクターとしても活動中。