少子高齢化やテクノロジーの革新などを背景として、「働き方」の変革が進んでいると言われています。では、個人のスキルや特徴、志向性を活かした多様な働き方を実現するにはどのような仕組みが必要なのでしょうか?働き方の多様化が進むことによって、個人が自分の潜在価値を最大限に発揮し、キャリアを戦略的に構築していく機会が増えていくことが期待されます。

前回は、テクノロジーの進歩により、個人が時間や場所に拘束されることなく自由に働ける環境が整ったことをお伝えしました。ただ、環境だけがあっても仕方ありません。政府や企業、また社会全体として、どのような仕組みをつくるべきなのでしょうか。

ひとつ考えられるのが、労働時間での評価をやめることです。最近、過労死や長時間労働が大きく取り上げられるようになってきましたが、厚労省でも過重労働対策の強化のため、長時間労働削減推進本部の設置のほか、2016年10月には「過労死等防止対策白書」を発表しています。長時間労働を是正するという観点でも、働いた時間ではなく成果で評価をすることが、個人の自由な働き方の実現に必要になるでしょう。

働き方の選択肢を増やして、女性やシニアも活躍できる社会に

ロート製薬のニュースで話題になった「副業の解禁」。こうした動きの背景には、海外でのライドシェアや民泊などの副収入のサービス展開の盛り上がりのほか、根底としての考え方に、個人が柔軟に働く場所や時間、仕事の内容を選びやすくしようというものがあります。
柔軟な働き方を特に必要としているのは、女性やシニアです。例えば子育てに追われる母親や、引退後にフルタイムで働くほどの意思のないシニアにとって、働き方の選択肢があることで、就労機会は大きく広がることでしょう。

そのために変革しなければならないのが、評価制度です。役割分担や業務を明確にする。「会社にいた時間」ではなく、「仕事の成果」に対して報酬を払う。労働時間に依存しない評価を、人材活用の仕組みに組み込んでいくことが必要です。

ちなみに本メディアでも、子育てと経営を両立させ、ベビーカー社長として知られている佐久間映里さんから「時間=仕事という考え方は、どうにかするべき」とのコメントが寄せられています。(ベビーカー社長のチャレンジ。仕事と子育てを両立するには?プラスカラー代表取締役 佐久間映里さん https://nomad-journal.jp/archives/1514

「成果」で評価をすることで、不必要な長時間労働を是正することができる

インターネットやクラウドサービスがない時代、物理的に同じ空間で同じ時間に共同作業することが必要だった頃は、仕事への評価も、職場に実際にいる「時間」が中心でした。

しかし、みんなが違う場所で、違う時間に働くようになれば、働いた「時間」だけで報酬を決めるのではなく、「成果」による評価が重要になってきます。そのため、不必要な残業や長時間労働をする必要はなくなり、結果として生産性が高く、効率的な働き方が実現できるかもしれません。

実際のところ、インディペンデントコントラクター(高い専門性を持った個人事業主)になる主な動機の一つとして、「自分のスケジュールを自分で管理したい」ということが挙げられています。(【ノマド】海外のフリーランス事情「お金か、スキルか、自由か、安定か https://nomad-journal.jp/archives/458

脱・時間給と、働く個人の自立

最近では、労働時間でなく成果で評価する「脱・時間給」制度の導入を訴えるような意見も、よく聞かれるようになりました。ホワイトカラーの仕事、高度に知的な仕事をする人を働いた時間で評価するのは意味がない、という論調です。
そうして働く個人が自立していくことで、転職や副業含めて実力次第で会社やプロジェクトを渡り歩いていく、新しい労働者が生まれてくることも期待されます。

自立した個人が自律的に多様なスタイルで「働く」ことが求められることで、「働く」ことの定義、意義が大きく変わっていきます。企業側の制度や体質の変革も重要ですが、最後に必要なのは働く個人の意識改革が鍵となるでしょう。

記事作成:川口 荘史

ノマドジャーナル編集部
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