今回は、世界最大規模のクラウドソーシングサービスを展開していることで知られているUpwork社と米国のFreelancers Unionによる2015年の米国のフリーランス市場の調査結果をご紹介します。
前回は、意外と知られていないフリーランス特有の顧客からの未回収リスクについて紹介しました。今回は、フリーランスと一口に言っても、どのようなタイプ分けができるかについて説明いたします。
フリーランスの5つのタイプ
前回、米国ではフリーランスが労働者の3分の1、人数にして5,370万人もいるとご紹介しました。一口にフリーランスといっても、副業をしている人から、開業している人、コンサルタントとして業務委託契約で複数社に働いている人など様々です。
別の米国の調査ではソロプレナーとサイドギガ―という分類について説明がありましたが(【ノマド】フリーランス事情(海外)「ソロプレナー」と「サイドギガー」とは?https://nomad-journal.jp/archives/456)今回の調査の中ではどのような分類をされているのでしょうか。
以下の5つの分類について紹介されています。
・ インディペンデントコントラクター(全体の36%、1,930万人):
いわゆる典型的なフリーランサーで、企業に雇用されずに、プロジェクトベースで仕事をする人材
・ ムーンライター(全体の25%、1320万人):
通常の常勤の仕事をやりながら副業する人材。例えば、会社に雇用されているウェブ開発者で、夜に他のプロジェクトを手掛けている人材など
・ 分散業務者(全体の26%、1410万人):
雇用されている仕事がありつつも、フリーの仕事の複数の仕事を受けている人材。例えば、週に20時間は歯科医の受付をしながら、他の時間をUberや記事のライターとして働いている人材
・ テンポラリーワーカー(9%。460万人):
雇用形態は有期契約でありつつも、一つの雇用者、顧客、仕事、プロジェクトのために仕事をする人材。例えば、派遣会社に雇われているデータ入力のワーカーで、3か月契約で働いている人材など
・ フリーのビジネスオーナー(5%、250万人):
一人もしくはそれ以上の従業員をもち、フリーランサーでもあり、事業オーナーでもある人材。例えば、ソーシャルマーケティングのアドバイザーとして働きつつも、自分の会社でソーシャルマーケターのチームをもっていて、小さなエージェントとしても機能しているが自身でも仕事を受けているようなパターン
上記の通り、一口にフリーランサーといっても様々な形態があります。このように独立する、と考えたときでも、例えば副業から発展させるケースもあれば、同じスキルを持ったチームで小規模な会社としてスタートすることもできるなど、それぞれの形態にあった計画や独立の仕方を検討していく必要があるでしょう。
同じ会社で一生安泰、という考え方の人はあまりいないのでは
一方で、国内はというと、米国ほどフリーランスとしての働き方は浸透してはいないものの、少なくとも働く意識は変わってきていると思われます。就職希望ランキングなどを見ると、依然として金融機関や総合商社など大手企業向けの安定志向はみられますが、個別の意識としては最近では終身雇用などを前提とした考え方はなくなってきているとの声もきかれます。
本メディアでも、以前石山教授が、もはや終身雇用でいけると思っている20〜30代はいないのでは、という指摘もあります。
20〜30 代の意識調査をすると、終身雇用を望む意識が見られますが、実際に、「じゃあ、あなたはこの会社に一生安泰でいられると思いますか」って聞くと、ほとんどの人が首を振る。我々の時代のように無邪気に終身雇用でいけると思っている20代、30代は少ないでしょう。
【パラレルキャリア】「二枚目の名刺」が広げる可能性 石山恒貴教授 (前編)
https://nomad-journal.jp/archives/838
記事作成:川口 荘史
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