少子高齢化やテクノロジーの革新などを背景として、「働き方」の変革が進んでいると言われています。では、個人のスキルや特徴、志向性を活かした多様な働き方を実現するにはどのような仕組みが必要なのでしょうか?働き方の多様化が進むことによって、個人が自分の潜在価値を最大限に発揮し、キャリアを戦略的に構築していく機会が増えていくことが期待されます。
多様な働き方が実現することで、これからは「どの会社に属しているか」よりも「何ができるか」がより重要になっていきます。そのためには会社に依存せず、自分で主体的にキャリアを構築していく必要があります。このような中で、働くことの意味は個人にとってどのように変わっていくのでしょうか。
働き方が変化することで、働く目的も一人ひとり変わってくる
インディペンデントワーカー(高い専門性を持った個人事業主)がどのような動機付けで働いているかという海外の調査があります。そこでは、働くことに対して「より多く収入を得る」というよりも、「自分のキャリアや人生を自分でコントロールしたい」、「柔軟性を持ちたい」、「自主性を持ちたい」、という傾向が強く出ています。
当然ながら独立して働いているため一社に依存していないという点も大きいですし、副収入としての位置づけであれば経済的な安定性を目的としている側面もあります。しかしこの点を考慮しても、単純に「働く」目的が「お金を稼ぐ」のみではないことがわかります。(【ノマド】海外のフリーランス事情「お金か、スキルか、自由か、安定か」 https://nomad-journal.jp/archives/458)
また、インディペンデントコントラクターが多様な仕事をしていくことの目的として、「スキルの獲得と出世昇進のため」という要素もあります。このように個人が働き方や内容を選択できるようになると、その意味合いや目的も必ずしも「お金」だけではなくなるのです。「社会貢献」、「地域との共生」、「自己実現」など目的が多様化していき、その定義までもが変化していくかもしれません。
多様な働き方のためには、能力開発や教育が重要に
雇用されることなく、複数社で同時に働くビジネスノマドのように、それぞれが自分の得意なことを発揮でき、生き生きとした活動ができる。こうした働き方が実現すると、自立した個人が自律的に多様なスタイルで「働く」ことができるようになります。
ただ、現在のところは本メディアで取り上げているビジネスノマド(ビジネスノマドとは? https://nomad-journal.jp/archives/446)のような、「一部の人材」のみが複数社で働くような働き方が実現できているにすぎません。
リンダ・グラットン著の「ワーク・シフト」でも、未来の仕事の世界での成功のためには、ゼネラリストよりも連続スペシャリストへのシフトが重要になり、そのためには「専門技能の連続的習得」が必要と述べられています。多様な働き方が一般化するためには、必要な能力開発や教育が行われること、そしてそれは個人が主体的に、キャリアの中で戦略的に選択していくようになることが重要な要素であるといえます。
記事作成:川口 荘史
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