ひとくちにクラウドファンディングと言っても、資金を募るための手法は様々です。前回は向き・不向きについて紹介しましたが、自身のビジネスモデルに合った手法を選択していくためにも、どのような形のクラウドファンディングがあり、どのような特徴があるのか、基本的な情報はおさえておくべきでしょう。

寄付型クラウドファンディング

いわゆる募金運動というのもクラウドファンディングの一種であり、これを現代の情報通信技術のもとで実施しているのが寄付型クラウドファンディングです。

あくまで寄付として資金を募っていくので、後ほど説明する購入型・金融型のように資金提供者へのリターンを準備する必要はありません。一方、寄付の動機付けとしてお礼といった形で記念品などを贈ることもあります。

資金を募る側のコストは最も低いので、公益性が強いけども収益性の低いビジネスの資金調達には向いているのかもしれません。実際、クラウドファンディングで一部事業の資金調達を実施している地方公共団体もあるくらいです。

たとえば、奈良県では県内の国宝や文化財を紹介するデジタルブックの作成費用を寄付型クラウドファンディングで調達しました。寄付者に対してデジタルブックの製本版の寄贈、文化財の特別見学ツアーへの招待といった形でお礼をすることで、歴史や芸術への関心が高い層から上手に寄付を引き出しています。

返礼品競争が議論になってはいますが、「ふるさと納税」も一種の寄付型クラウドファンディングと言えるのかもしれません。

購入型クラウドファンディング

現代型クラウドファンディングの中で隆盛を誇っているのが、購入型クラウドファンディングです。提供した資金に応じて商品やサービスといったリターンが得られることから、前払い式・先行予約式の取引と類似しています。資金提供者は、買い物感覚で新しいビジネスを応援することができるのが特徴的です。

クラウドファンディングに限らず、前払い式・先行予約式はビジネスを行う側にとってメリットの大きい手法です。そもそも、なぜ創業時にまとまった資金が必要かというと、商品やサービスの準備はもちろんのこと、その準備に要した経費を回収できるようになるまでの売上ゼロ期間を乗り切っていくためにあるのです。

前払い式・先行予約式をとると、売上が手元に来ている・売上の計上時期が事前に分かっている状態でビジネスを進めることができるので、創業資金の必要規模を抑えることができるのです。

たとえば、何か新しい商品を作るための経費が500万円という場合、手持ち資金500万円のみで創業するのは危険です。作った商品がすぐに全て売れるとは限らないですし、商品が店頭に並んでいる間にもテナント賃料などの固定費は発生していくのです。このため、創業にあたっては商品やサービスの開発資金とは別に月間固定費の3ヶ月分は運転資金として用意しておくというのが一般的です。

購入型クラウドファンディングを利用すると、先に売上が手元に来ることになりますので、商品を開発してから売れるまでの資金ショートリスクが大幅に低減されます。また、見込み顧客を把握した中で事業を展開していくことができるので、今後の見通しを立てやすくなるといったメリットもあります。

金融型クラウドファンディング

資金提供者に金銭的なリターンがある金融型クラウドファンディングですが、金銭的なリターンの提供方法によって株式投資型、ファンド型、融資型と分けることができます。

株式投資型は、簡単に言うとネット空間上で自社の株主になってくれるエンジェルを探すものです。会社が新規に発行する株式や自社保有となっている発行済株式を購入してもらうことで、資金の提供を受けます。株主となった資金提供者は、会社が利益を計上した際には配当金が支払われますし、会社が上場すれば株式を市場に売ることで莫大な利益を得ることもできます。配当金の原資となる利益を安定的に計上できる、将来は上場も検討しているといった場合には、株式投資型クラウドファンディングによって多額の資金を調達できる可能性があります。

ファンド型は、複数の資金提供者がファンドを組成した上で出資をしていきます。ファンドの組成は証券会社が窓口となることが多いです。株式投資型と違って、「会社」にではなく「事業」に出資していくという色合いが強く、出資を元手にスタートした事業の売上の一部が資金提供者に分配されていきます。

融資型は、資金提供者は貸付の形で資金を提供していきます。この際、返済時の利息を設定することで、資金提供者は利息収入を得ることができます。言ってみれば、銀行や信用金庫といった金融機関のビジネスモデルと同じです。ただ、資金提供者は、これは融資に使うために提供すると明確な意思のもとで資金を提供していますので、金融機関の融資よりも審査が柔軟なことが特徴としてあげられます。そして、株式投資型、ファンド型による資金提供と異なり、あくまで返済義務のある資金であるという点は認識した上で利用していく必要があります。また、金融機関による融資よりも高利であることが多いので、返済負担も考慮していかなければいけません。

記事制作/ミハルリサーチ 水野春市

ノマドジャーナル編集部
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