首都圏への人口・商業施設の集中からの脱却を図る「地方創生」が叫ばれる中、地方の企業はどのような事業展開を進めるべきなのか、北海道札幌市に住む筆者が北海道で開催された「地方創生」に関するイベントのレポートを行っていきます。

今回は1月17日・火曜日に開催された「北海道 経済・観光イノベーションフォーラム2017 ~観光と他産業による新たなビジネスチャンスを探る~」(主催/経済産業省北海道経済産業局、日本経済新聞社札幌支社、株式会社JTB北海道)のレポートを、登壇者ごと5回に渡ってお送りします。

2番目の登壇者は、株式会社NISEKO ALPINE DEVELOPMENTSの島田俊徳さん。「ニセコ進化論 ~外資系企業からみたニセコ未来リゾート戦略~」と題した講演を行いました。

訪日外国人への先進的なサービスを提供

株式会社NISEKO ALPINE DEVELOPMENTSは、ニセコのコンドミニアムと宿泊客を結びつける業務をしている会社で、観光を通じて「地域生活の向上」「地域資源の保護」「新規ビジネスの掘り起こし」「雇用の創出」に取り組んでいます。

島田さんがニセコにやって来たのは7年前、すでにニセコには多くの外国人観光客が訪問するようになっていました。その中で、更なる観光客の呼び込みをSNSほかさまざまな方法で行っています。

観光におけるペルソナの変遷について、「消費者→見込み客→お客様→顧客(プロモーター)」という段階があるといいます。コンドミニアムへの宿泊を例にとると、「ニセコに興味を持つ→ニセコを訪問する→その際にコンドミニアムに宿泊する→宿泊後に口コミで広めてくれる」という具合です。

コンドミニアムの場合、ホテルとの大きな違いは自炊できるということ。そのため、食文化の紹介やスーパーの案内などをすることで、地域とのつながりを強めています。観光客は地域の文化に触れられますし、地域の商業も盛り上がるというWin-Winの施策です。

ただニセコはサービス業において人材不足という課題があり、小樽や札幌から人材を派遣してもらっているという実情もあります。逆に、英会話においては先進的で案内板や医療機関においても英語には不自由しない環境が整っています。

口コミにより観光客が増え雇用も創出

ニセコはここ30年ほどで、宿泊ベッド数が倍増(1985年は5000台→2015年は9872台)しています。オーストラリアからの観光客を中心に口コミで「パウダースノーの素晴らしさ」が広まった結果、今のような状況になりました。

ニセコはおよそ2万人の人口ですが、レストランやバーは185件がひしめき合っています。しかし、観光客がたくさんやってくることから雇用が創出され、ミシュランガイドに掲載されるほどの実力を持つお店もあります。

コンドミニアムで過ごす観光客向けのケータリングサービスも。地元の食材を部屋まで届けるというサービスですが、宿泊客には大変人気があります。ちなみにこのサービスを行っている会社は、シンガポールが発祥の地ということでビジネスもどんどん国際化している地域です。

パウダースノーが有名であることからもわかるように、ウィンタースポーツが盛んなニセコには、世界中で活躍しているインストラクターがやってきます。これだけ多くの海外からの観光客(レンタルスキーを利用する90%は外国人)がやってくるということは、英語は必須。最近はニセコのスキー場が混雑してきたことから、ガイドツアー(近隣のスキー場を斡旋する)、キャットスキー(誰も足を踏み入れていない場所へ案内する)という新たなビジネスも登場、サービスの質も種類もどんどん変化しています。

現在のニセコは、オーストラリア・香港・シンガポール・アメリカ・中国が宿泊延べ数の多い上位5地域です(※全体で39万泊、500組が2か月というロングステイ)。シンガポールや中国からの観光客の宿泊延べ数はここ10年で40倍に。「パウダースノー」と「地域の安全性」が人気を呼び、不動産の投資も増加。今後は、モニター調査やキャッシュレスの新決済方法などが新しいビジネスとして可能性があると想定されています。これからも「売れるところに売り込む」ことで、更なる観光業の振興を目指していきます。

取材・撮影/橋場了吾(株式会社アールアンドアール)

【専門家】橋場 了吾
同志社大学法学部政治学科卒業後、札幌テレビ放送株式会社へ入社。
STVラジオのディレクターを経て株式会社アールアンドアールを創立、SAPPORO MUSIC NAKED(現 REAL MUSIC NAKED)を開設。
現在までに500組以上のミュージシャンにインタビューを実施。
北海道観光マスター資格保持者、ニュース・観光サイトやコンテンツマーケティングのライティングも行う。

ノマドジャーナル編集部
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