近年、金融(Finance)と新しい技術(Technology)を掛け合わせた新しいサービスとして、FinTechが注目を集めています。そもそも金融とは、資金を融通する、資金が余っているところから足りないところへと動かしていく仕組みです。この仕組みの中に新しい技術を入れていくのがFinTechということなのですが、これは現代型クラウドファンディングにも相通じるところがあります。

クラウドファンディングは金融の原型

仕組みだけを見ると、銀行や信用金庫といった金融機関の仕組みとクラウドファンディングは似通っています。

金融機関は、市中の人々から余剰資金(預金)を集めて、それを原資として、資金を必要とするところに供給(融資)をしていきます。
クラウドファンディングも語源のとおり、群衆から余剰資金を集めて資金を必要とするところに供給していきます。金融機関の場合は預金・融資の形で行うところをクラウドファンディングでは寄付金や商品の購入代金とバリエーションに富んでいますが、資金が余っているところから足りないところへと動かしていくという点では同じです。

そもそも現在ある金融手法のルーツを辿るとクラウドファンディングにたどり着くことが多く、クラウドファンディングは金融の原型と言っても過言ではないくらいです。

FinTechとクラウドファンディング

現代型クラウドファンディングも昔からあった資金調達手法にインターネットという新しい技術を掛け合わせているのでFinTechの一種と位置付けられています。現代型クラウドファンディングは、銀行や証券会社といったプロだけに閉ざされてしまった「金融」の世界を一般の人々の手に戻しました。

一方で、金融に関する法規制はプロによる世界を前提としているものが多く、ここで現代型クラウドファンディングとの間で歪みが生じていました。その歪みの一つとして挙げられるのが金融商品取引法による規制です。

金融商品取引法は資金を提供する投資家を保護するための法律であり、資金を募ったり投資案件を紹介する側に資格要件等のハードルを設けています。このハードルの高さは銀行や証券会社といったプロを前提に設定されていましたので、新しく誕生したクラウドファンディングのプラットフォーム運営団体でこれを乗り越えていくのは難しいところでした。

一例をあげると、この記事が掲載されているBusiness Nomad Journalの中で『インタビュー記事を掲載したベンチャー企業が出資者を募集しています。出資しても良いという方は編集部宛てにご連絡ください」と載せたとすると、それは非上場会社の株式(有価証券)の売り出しを取り扱っていることになり、金融商品取引法では「電子募集取扱業務」と位置付けられます。これを行うためには証券会社並みの体制整備が必要となってしまうのです。

これでは、既存の証券会社や大手資本でしかクラウドファンディングのプラットフォームを運営できなくなってしまいます。このため、世界的なFinTechの動きに合わせて、各種規制の見直しが進めらています。現代型クラウドファンディングで行われるような少額の出資を大勢から集めるようなものについては、2015年に金融商品取引法が改正され、参入要件を引き下げる規制緩和がなされました。これを受けて、株式投資型のクラウドファンディングプラットフォームも新しく登場してきています。

株式投資型クラウドファンディングプラットフォームの規制緩和

平成29年3月現在、「第一種少額電子募集取扱業者」の登録を受けているのは株式会社日本クラウドキャピタル(FUNDINNO)だけですが、これに続く動きも出ており、今後は株式投資型クラウドファンディングによる資金調達も活発になっていきそうです。

たとえば、「第一種少額電子募集取扱業者」の登録準備を進めているDANベンチャーキャピタル株式会社ではプラットフォームのシステム試行も兼ねて自社への出資募集をウェブサイト上で実施し、2000万円の出資獲得に成功しています。これだけでも株式投資型クラウドファンディングのポテンシャルの高さが見てとれます。

そもそも、株式会社とは多くの人達から出資を受けることを前提に作られた組織です。株式投資型クラウドファンディングとは、多くの人達から資金を集め、それを元手に事業を進めていくという原点回帰の動きなのかもしれません。

記事制作/ミハルリサーチ 水野春市

ノマドジャーナル編集部
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