前回までは、採用活動とHR Techについてご紹介してきました。
今回は「労務」業務にフォーカスし、現状どのような課題があるのか、その課題をHR Techを導入することでどう解決できるのかについてお伝えします。

労務の業務とは

労務は、労働者に関する諸事務を広く扱う業務です。いわゆる総務の仕事と呼ばれるもので、業務内容は、勤怠管理、社会保険手続き、給与計算から福利厚生、健康診断、人事管理、法務、労働組合関係まで多岐にわたります。

業務内容は企業の規模によって異なりますが、計算などの正確な事務処理能力はもちろんのこと、雇用・労働に関する法律の専門知識も必要になります。社員自ら社会保険労務士の資格を持って仕事をしているケースもあれば、外注しているケースもあります。多くの社員を相手にするので、コミュニケーション能力も欠かせない仕事といえるでしょう。ただし、他の職種・業務と比べて事務作業が多いのでHR Techになじみやすく、ITの活用で業務の効率化が図りやすい分野だといえます。

現状の労務の問題点

◎人が行うことで、ミスが多くなる

労務の仕事には、数字や日付などのデータを正確に処理することが求められます。マンパワーで行うと、こうした点でミスが生じやすくなるのが最大の問題点です。

◎多くの社員を対象にするので、抜け漏れが起きやすい

企業の規模が大きくなればなるほど社員数も多くなるため、比例して入力漏れや連絡ミスなどが多くなります。また、入力漏れを防ぐためのダブルチェックなどにかかる時間・コストも膨大なものになります。

◎正確さとスピードが求められる申請に対応しづらい

各種申請や届出、社会保険関係や、就業規則に基づく申請など、労務には決まった書式で行わなければならないものが数多くあります。ルール変更があった場合には速やかに変更し、周知しなければ申請や届け出が無効になることもあります。社員の力で対応すると手間がかかり、タイムラグが生じやすくなります。

◎業務過多で人手不足になる、人件費がかかる

労務の仕事を行うには、専門知識を持ち、業務をよく知っている人材が必要になります。また、複数の仕事を効率よくこなそうとすれば、多くの社員を総務に配置しなければなりません。ですが、人手が多くなれば当然人件費もかかります。また、これから日本全体が人材不足になると言われている中で、労務に多くの社員を配置するのは難しくなってきています。

◎エクセル管理には煩雑な作業が必要

労務関係をエクセル管理で行っている企業が多いですが、いくつか難点があります。まず、出退社をタイムカード管理している場合には、その打刻記録をエクセルへの入力し直さなければなりません。また、社内ルールの変更があった場合には、エクセルにも手入力で反映させなくてはならず、二度手間になってしまいます。

HR Techで導入でできること

◎計算などの間違いが起きにくい

労務関係は、計算が必要になる仕事がたくさんあります。勤怠管理や、給与、経費精算など、1円単位の計算をしなければならないため、人の手が入るほど間違える確率も高くなります。HR Techを導入すれば、パソコンで簡単にチェックを行うことができます。

◎画面上で一括管理し、抜け漏れチェックができる

会社の規模が大きいと社員数も100人、1000人単位になり、すべての社員をどう一括管理するかが問題になります。HR Techを導入することで、パソコン画面をみれば全社員の状況が分かり、手続きの進捗や抜け・漏れのチェックをいつでも行うことができるようになります。自社に合わせて管理方法をカスタマイズできるサービスもあります。

◎入力ミスがなくなる

HR Techを導入すると、万一間違った入力をした場合にアラートが出たり、入力継続ができなくなるといったオプションを使うことができます。万一ミスが生じても、いち早く気がつくので、修正を確実かつ容易に行うことができます。

◎面倒な作業に煩わされない

書式の変更や法改正があった場合、通常は自社内で修正作業を行いますが、HR Techを導入すれば、サービス提供会社が常に最新の状態にアップデートしてくれます。自分たちで調べたり対応したりすることなく、いつも最新のシステムを安心して使えます。

◎エクセル管理よりも楽になる

クラウド型のサービスはネットワーク環境さえあれば場所を選ばず、出先でも手軽に処理をすることができます。最近では、スマホやWeb上で出退社を打刻できるサービスもあり、外回りが多い営業職でも手軽に使えます。なお、データは自動的に記録されるので、エクセル管理のような手間もかかりません。

◎コスト削減になる

ITサービスの使用料よりも、社員一人を雇うほうが、はるかにコストがかかります。HR Techを導入してITが業務を代わりに行えば、人件費の削減ができます。

◎人材を本業に配置できる

労務をITで効率化できれば、貴重な人材を会社の本業(=利益を生み出す部署)に多く配置することができます。より本質的な仕事に人員を割けるのは大きなメリットといえるでしょう。

まとめ

「労務」業務は、企業にとって大変重要な意味を持つ仕事です。しかし、業務が細かく多岐にわたるため、人の手で行うよりもITを活用したほうが正確に早く処理することができます。次回は、この労務の業務を支えるHR Techにはどのようなものがあるのかについてお伝えします。

記事制作/神尾 マキ

ノマドジャーナル編集部
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