「グローバル化」という言葉が聞かれるようになってからすでに久しく、今では日常化された感さえあります。グローバル化された世界では、各国の製品が簡単に手に入り、他国の人達と一緒に働く機会も多くあるなど働き方にも影響を与えます。
ところが、最近になり反グローバル化の声も聞こえるようになりました。果たして、グローバル化はいいものなのでしょうか。それとも悪いものなのでしょうか。そして、目指すものは何なのでしょうか。

今回はグローバル化の歴史を辿りながら、その意味や、働き方に与える影響などを考えてみたいと思います。

広義の「グローバル化」の始まり

グローバル化とは「世界化」や「地球規模化」などの言葉で置き換えられますが、グローバル化を広義の意味で捉えてみると、中世の時代から、世界を一つのものとしてとらえようとした動きがあったことがわかります。

シルクロード

イタリアのベニスの交易商人だったマルコポーロは13世紀に、シルクロードを使って中国まで2回も交易の旅をしました。もちろん、まだまだ世界規模にはなっていませんでしたが、東と西の都市を結び、物資を交易し、絹紡織や食品産業などの新しい産業を生み出し、人々の生活や働き方に大きな影響を与えました。こうした観点から考えると、シルクロードにおける交易こそがグローバル化の始まりだと言っても過言ではないでしょう。

大航海時代

シルクロードの影響を受けて15世紀の末に始まったのが大航海時代です。大航海時代を率先したのはポルトガルとスペインで、コロンブスやバスコ・ダ・ガマといった偉大な航海者を生みました。航海先はアジアやアフリカでしたが、ただ単に新大陸を発見することが目的ではなく、物資の交易が大きな目的でした。特にアメリカ大陸や西インド諸島などにあった香料を自国に持ち帰ることが、航海者の一つの大きな任務だったのです。

植民地時代

多くの航海を通して、アジアやアフリカに魅力的な物資を発見したポルトガルとスペインは、こうした地域を植民地化していきました。スペインが特に力を入れたのが西インド諸島で、スペインは、プランテーションを作り、砂糖の生産を始めました。また、メキシコとペルーでは、金、銀、宝石類が発見されたことでたくさんの大富豪を輩出し、経済に大きな影響を与えたのです。

このように、新しく発見した土地を植民地にすることで世界は前よりも、より近く、狭くなりました。しかし一方で、植民地化された地域では、原住民を殺害し土地を奪い、アフリカから黒人を奴隷として移住させ開拓のための労働力として利用し、現地の人々を低賃金で雇い搾取をすることにより、西欧諸国は富を築いていったのです。
補足ですが、日本とタイは植民地化されたことがありません。このことについては機会があれば、なぜ植民地されなかったのかその要因を調べてみたいと思っています。

独立運動

ポルトガルとスペインが始めた植民地主義は、その後イギリス、フランス、オランダにも影響を与え、アジアや太平洋の地域にも植民地が生まれました。ですが現地の人々もずっと黙っていたわけではありません。19世紀末になると植民地主義の下で弾圧され苦しい生活を強いられてきた人々が立ち上がり、インド、中国、メキシコなどの植民地で民族運動が展開されたのです。民族運動は徐々に独立運動へと展開し、世界各地で独立国が多数生まれました。

国際化

多くの国が独立したにもかかわらず、世界は平和にはならず、20世紀には、大きな世界大戦が2つも起こってしまいました。そして、その悲惨な戦争体験から戦争はもう嫌だと言う強い気持ちが人々の中に生まれ、国連が作られ世界の平和に向けて全世界が協力するようになったのです。国際化では、国の間の交流や、経済援助などに力がそそがれました。その結果として、外国語の学習、他国の観光や視察が活発に行われるようになりました。この段階でようやく、交易といった実利的なやり取りのほか文化的な仕事が増え、海外に赴いたり、外国人を受け入れる働き方も生まれ始めました。

広義のグローバル化が意味するもの

広義のグローバル化の歴史をを見てきましたが、その歴史は対立や闘争など負の活動の連続だったように見えます。例えば、シルクロードは距離にしたら一番長い所で1万km以上もあり、途中には海抜5000mもあるパミール高原を越えるなど、地形的にも気候的にも過酷な環境です。もちろん現代のようにクリック一つでなんでもわかる世の中ではなく、未知の世界に何が待っているかもわからない時代です。それにも関わらず、多くの人が長い長い道のりを隊商を組んで移動しました。それはなぜなのでしょうか。何がそうした人々を行動に駆り立てたのでしょうか。

人間は「欲」によって行動します。探究心・好奇心・向上心のような良い欲もあれば過剰な金銭欲や物質欲、名誉欲などもあります。欲は一概に悪いとは言えず、そうした欲があるからこそ人間は発展し続け、生き延びていけるのです。
良きにつけ悪しきにつけ、世界を動かし、グローバル化を推進してきたもの、それが「欲」であったことは確かなことだと言えるでしょう。

現代のグローバル化

現在「グルーバル化」と呼ばれている社会現象は、1970年代のデジタル化の導入・発展とともに広まって来た現象です。このグローバル化では世界規模の文化交流だけでなく、世界規模の経済的な活動も活発に行われています。各国の企業は他国へ進出し、工場を建て、物を生産し、それを世界の様々な地域に輸出します。こうした経済活動を通して、多くの産業が生み出され、仕事が創出されていきます。

中世から近代にいたる広義のグローバル化では、働く人を弾圧してきましたが、平和な時代と言われる現代においてはグローバル化は、より多くの人に経済的な恵みをもたらしているように思われます。それは、日本から出国した人の数を見るとよくわかります。法務省が発表した日本から出国した日本人の数をみると、1970年には、人口が約1億人だったのに対し出国者数は0.94%(936,205人)でしたが、2016年では、人口が約1億2千万人に対し出国者数は約14%(17,116,420人)にまで増えているのです。どれほど国間の距離が狭まり、交流や経済のやりとりが盛んになったのかがわかります。

まとめ

このようにグローバル化が浸透している一方で、それに反対する声も上がっています。反対の理由は、経済活動が世界規模に広がっているため、地球温暖化、原材料の浪費など環境が破壊され、経済バランスが崩れると言うものです。

確かに一理あると思います。けれども、13世紀のシルクロードから始まり、苦難に満ちた様々なグローバル化を通してやっと現代のような平和で豊かな世界化された時代が来たことを思うと、様々な分野でバランスを取りながら、地球規模化された世界を更に良いものにしていくことが、現在を生きる私たちに負わされている任務であるように感じます。

記事制作/setsukotruong

ノマドジャーナル編集部
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