地方を元気にする方法のひとつとして、「中心市街地活性化」という取り組みがあります。これは簡単にいうと、各地方の中心となる市街地を盛り上げることで、地域全体の経済を活性化するというものです。

この試みは全国各地で行われているものなのですが……はたして上手くいっているのでしょうか? 皆さんがお住まいの地域で、たとえば主要な駅の周辺などを思い出してみてください。必ずしも、中心市街地が活性化しているとは言えないのではないでしょうか?
今回は地方創生とも大きく関わってくる中心市街地活性化について、その理念と実態を見ていきましょう。

■中心市街地とは何か?

中心市街地とは文字通りその地域の中心となるエリアで、多くの人が住み、商店が集積している場所のことを指します。人々が働く職場も多く集まり、公共施設もまとまって存在しています。周辺から人が集まり、経済活動が活発に行われる(べき)エリアであり、同時にイベントの会場や、情報の発信拠点ともなります。

具体的には、各県の主要駅(県庁所在地にあるJRの駅や、特急電車が止まる駅)の周辺にある市街地が、これに当てはまるでしょう。たとえば青森県であれば青森駅周辺の市街地がこれにあたり、駅ビルの「ラビナ」や複合商業施設の「アウガ」を中心に、商店などが集まっています。
こうした中心街は、いわば地域経済の「心臓部」であり、地域の活力と密接に関係しています。よって中心市街地の活性化は、地域の発展に欠かせない、重要なテーマといえるのです。

■中心市街地活性化は、上手くいっていないの?

中心市街地の活性化は、1990年代初頭から全国各地で取り組みが始まったものであり、安倍政権下での地方創生の本格化以前から、長く続いてきたものです。地方創生には各地の中心市街地を活性化することが欠かせません。そのため、地方創生の施策の中でも重要な位置づけがなされています。

さて、ここで皆さんの地域の「中心市街地」について、考えてみてください。
たとえば県内の主要駅について、その周辺の市街地を思い出してほしいのです。いかがでしょうか? 行き交う人も少なくさびれてしまった商店街や、なかにはシャッター街となっている通りも、多くあると思います。
そう、長年にわたって「中心市街地を活性化しよう!」と取り組みが続いているということは、裏を返せば「活性化が必ずしも上手くいっていない」ことの表れでもあるのです。

■地方の中心街を悩ませる「二重苦」

では、各地の中心市街地は、どうして元気がなくなってしまったのでしょうか?
一番大きな原因は、地方そのものの過疎化でしょう。地方から大都市圏へと人が流れ、人口が減ってしまったために、中心市街地の商店街には、お客さんも経営者も少なくなってしまいました。これでは市街地の活力が衰えてしまうのも、仕方がありません。

しかし、原因はそれだけではないのです。もうひとつの原因として「自動車社会の進展」が挙げられます。昔と比べて、特に地方では車を保有する人の割合が増え、マイカーでの移動を前提とするライフスタイルが広がりました。そうなると駅周辺よりも、郊外の方がアクセスはずっと楽なので、消費者が駅周辺の商店街に寄り付かなくなってしまいます。結果として各地の中心市街地から人がいなくなり、活力を失ってしまったのです。
このように、「地方の人口減少と」「マイカー派の増加」というダブルパンチが、中心市街地を衰退させてしまったのです。こうした状況の中で、、ふたたび活力を取り戻すのは容易なことではありません。

■「ドーナツ化」はどうしてダメなのか?

このように、本来は地域の核であるべき中心市街地が衰退し、人の流れが郊外に奪われてしまっているところが多くあります。地図上でも真ん中に近い場所にある中心市街地が空洞化し、まさに「ドーナツ化」というべき現象が起きてしまっているのです。
ここまでお話しすると、こんな風に思う方もいらっしゃるでしょう。
「中心市街地が衰退したって、代わりに郊外が盛んになるなら、別にいいんじゃない?」
なるほど、そういう意見が出るのも分かります。しかし、事はそう簡単ではないのです。

中心市街地が空洞化し、経済の中心が郊外に移るということは、すなわち「都市部が広がる」ことを意味します。そうなると広がった都市部で、道路を中心とするインフラ整備が必要となります。インフラを作るだけでも多大なコストがかかりますが、加えて維持・管理の費用も発生するわけです。

都市の拡大によるインフラコストの増大は、地方自治体の財政を大いに圧迫します。今後、地方の人口減少と少子高齢化が進むなかで、こうしたコストを負担するのはもはや不可能ともいわれています。
だからこそ、都市の拡大・膨張をおさえる必要があり、そのためにも中心市街地の再生が望まれるのです。

以上、中心市街地を取り巻く状況について、概要を見てまいりました。
次回は、都市の膨張をおさえ、中心市街地を再生するために打ち出されている概念―「コンパクトシティ」についてご紹介いたします。

記事制作/欧州 力(おうしゅう りき)

ノマドジャーナル編集部
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