今回は、創業→上場→独立を経験したビジネスノマドの釜野氏です。「企業再生をする」という明確な目標を持つ釜野氏。そのためにはどのようなステップを踏むのがベストか、考えた挙げ句、たどり着いた答えは、転職ではなく、ノマド的働き方でした。「私にとってサーキュレーションが提供してくれる働き方は、10年後の目標に対して適正な働き方だと思っています」という釜野氏。さらにはこの働き方で仕事を継続するために、大切なことがあるといいます。

インタビュー記事は前編、後編でご紹介します。

発注側としてみると、改めてビジネスノマドが強力であることがわかる

Q:働き始めてからはサーキュレーションとはどのような関係でしたか?

釜野:

実はサーキュレーションとの関係性は、違った意味でも続いています。紹介された会社に入って、ミッションを成功させようという時には、必要な人材が不足しているケースがあります。その人材も私自身で準備したり、いなければ育成できれば良いですが、それだと時間がかかってしまう。

そんなとき、サーキュレーションの担当者に電話するとすぐに見つけてくれます。実は稼働先にいる監査役も、サーキュレーションからご紹介頂いた方がいます。当然、内部人材の育成や中途採用なども検討しながら何が最適かは状況によると思いますが、採用よりも利用しやすいので、選択肢が広がるのは良いと思っています。


Q:同じビジネスノマドの方と内部で話されたりしますか?

釜野:

基本的に各部署の情報漏れがあってもいけないので詳しいことは話しません。ただ、働き方での悩みや情報交換はできるので、同じビジネスノマドの方がいると安心感はあると思います。

稼働先で、同じサーキュレーションの紹介で起業するために働いているという方がいました。

同じサーキュレーションからということで話してみると、素晴らしい人だったので、その起業する会社に出資することにしました。もちろんこんなことは稀だと思いますが、それほど優れた人材を抱えているのだなと感じましたね。


独立するリスクと一歩踏み出せないリスク、どちらが怖い?

Q:釜野さんの夢はなんですか?

釜野:

私の夢は、「45歳から世界でトップックラスの会社5社を救う」ということです。

日本でも大手企業でさえ経営状況は常に安定しているわけではありません。パーフェクトな会社はないということは、大きな案件をお手伝いするチャンスがいくらでもあるということです。会社の中で手術しなければならない箇所、その時必要な人材、必要な体制などを総合的に判断して、社内から変革を推進するのもいいでしょうし、外部からするのもよいと思います。雇用されるのが嫌だとか、外部からでないと嫌だという考えではなく、救える会社が救えれば、就業形態は問いません。ただ、<目標達成へのスピードや、実現するためのスキルを付けるためには、今は雇用されるのではなく色んな会社に入った方が良いと思っています。また具体的に世界の5社と決めるとやるべきことが見えてきます。私は英語が話せませんから、世界の5社を救うために10年間でやるべきことの1つにビジネス英語を身につけるというミッションもあります。


Q:今後、釜野さんが事業をするとき、プロジェクトごとに外部のスペシャリストを集める方法か、会社組織にするか、どちらですか?

釜野:

ファイナンスならファイナンスのプロフェッショナル、人事なら人事のプロフェッショナルなど、各分野のプロフェッショナルを集めてスペシャルチームをつくりたいですね。今もいろいろな方々との出会いがあり、人脈も広がっていますが、将来、そのような方々と一緒に企業再生をしたいと思っています。

しかし、会社をつくらないということではありません。内外を気にしないということです。法人をつくる必要性があればつくりますし、必要なスペシャリストが社内にいなければ、外部の人に参画してもらいます。内部人材のみですべての集団を形成するべきとは思っていないので、良い人なら社内外問わず、一緒にやりたいですね。


Q:今は企業に属していますが、ノマド的な働き方をしたいという人にアドバイスをいただけますか?

釜野:

大前提として言いたいのは、私は会社の中でずっと頑張る人も起業する人も、ノマド的に動く人も、すべて必要だと思っているということです。ただ、どの働き方も必ずメリットとデメリットがあります。大事なことは、まず自分がどういうことを成し遂げたいかという目標をつくることです。

目標に向かって登る道のプロセスで、ノマド的な働き方がいいなら選べばいいと思います。


例えば、年商が10億円の会社の中で、その歯車の一つとして頑張っているというのもいいでしょう。しかし私は会社に属さず、年商10億円の会社の仕事を6社くらいやっています。私はそこに目標達成へのやりがいを感じるから、今のような働き方をしているだけです。1つの会社に貢献し、ある分野を極める方が嬉しいという人は、その働き方がよいでしょう。目標が出来たら次は働き方の選択肢を知るということが重要です。その点でいうとこのビジネスノマドとしての働き方は、これまで選択肢の一つにすらなっていませんでしたから、この働き方が一般化して選択のオプションが増えるのは非常によいことだと思います。


もう一つ考えて欲しいのは、リスクです。起業する、ノマド的働き方をするというのは、リスクがあると考えている人が多いですが、全てにおいてメリットとデメリットがあります。目標に向かって会社を辞めるという不安もあるが、目標に向かわず、そのままでいるという不安もあるのです。この不安を比較したことはありますか?リスクでいえば、「あなたの勤めている会社はほんとに潰れないのか」「その枠組みの中で本当にやりたいことができるのか」「自己実現を放棄するリスクはないのか」。きちんと自己分析をして目標を定め、必要であればおそれず外に出た方がいいと思います。自分が負けないと思っていることがあれば、不安に思うことありません。何かの強みを持っていれば仕事に就けないということはないでしょう。ただその強みが平均レベル以下であれば、フリーとして働くのは難しいと思います。そうであれば、今は強みを磨くべきです。あせらず、しっかり働き方を見つめ直すだけで、成長のスピードは加速するはずですよ。


専門家:釜野 晋史(かまの・しんじ)
大学卒業後、マンションデベロッパーの株式会社ゴールドクレストに入社。
2002年に4名で起業し合資会社エスエムエスの設立に参画。高齢者施設の販売代理をしながら市場調査を経て、翌年に株式会社エス・エム・エスの設立に伴い取締役に就任。
創業事業である介護系人材紹介事業の立上げを軌道に乗せた後は新規事業責任者として国内外のサービスの企画・立上げを実施。
アジア圏にて市場調査と事業準備として国内外の法人と連携しながら海外展開を担当。2008年には総務・経理財務担当として東証マザーズ上場業務や管理本部体制の構築に従事。2014年まで主幹事業である看護師人材紹介の責任者として事業運営。その後、独立して企業支援に従事。

ノマドジャーナル編集部
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