今回は、創業→上場→独立を経験したビジネスノマドの釜野氏です。「企業再生をする」という明確な目標を持つ釜野氏。そのためにはどのようなステップを踏むのがベストか、考えた挙げ句、たどり着いた答えは、転職ではなく、ノマド的働き方でした。「私にとってサーキュレーションが提供してくれる働き方は、10年後の目標に対して適正な働き方だと思っています」という釜野氏。さらにはこの働き方で仕事を継続するために、大切なことがあるといいます。

インタビュー記事は前編、後編でご紹介します。

現在は6社で同時に働く。ノマド的な働き方を実践

Q:サーキュレーションをどのように知りましたか?

釜野:

知人の紹介で久保田社長とお会いしたのがきっかけですね。いろいろな話をしましたが、当初は、「シニアの知見を生かした顧問ビジネス」をやっているとの話でしたので、どちらかというと熟練された方々のスキルを求めているんだなと、他人事のように聞いていました。私も自分自身の働き方や考え方を話していると、「サーキュレーションではシニアエクゼクティブにとどまらない、ビジネスノマドとして年齢を問わず経験やスキルをお持ちの方がそれらを活かして複数社で同時に働く新しい働き方を実践しています」と言われ、興味をもち登録しました。そこから、サーキュレーションとお仕事をするようになったのです。


Q:登録後は、どのような案件を紹介されましたか?

釜野:

サーキュレーション登録時にかなり詳細な、「何ができるか?」「何をしたいのか?」を深堀したインタビューを担当者の方から受けましたが、私のスキルや強みは介護・医療業界、人材ビジネス、新規事業、上場準備、管理体制強化といったキーワードで認識いただいたのだと思います。案件はすぐにいくつかご紹介いただきました。正直そのスピードには驚きました。どのように関与していくべきか何が求められるかをサーキュレーションも一緒に整理して頂いたおかげで、自分にフィットした会社選びも出来ました。

現在は、サーキュレーションからの紹介案件も含め、自身のキーワードに合った会社を現在6社に参画しています。個人のネットワーク以外から紹介を頂いているのはサーキュレーションだけですね。


ビジネスノマドの流儀:「言いたいことをいわせてもらう」が仕事を継続させるコツ

Q:ノマド的働き方をしようと考えたのはいつからですか?

釜野:

私は、最初に就職した会社では、まともな成果は出せていませんでした。新卒で入社したタイミングで一部上場するなどイケイケのベンチャーでした。自分としてもとにかく仕事を若いうちから早く任せてもらえそうな会社を選びましたし、その通りでした。ただ、自分自身は社会人になってすぐに営業力があるわけでもなく、とにかくがむしゃらに頑張るしか能力もなかったので、どちらかというとすぐに窓際という感じで、ダメな営業でした(笑)今までお山の大将みたいに、自分はできると思っていたところをおもいっきり後ろから頭を殴られたような気持ちでしたね。

「このままではマズイ!!」とエス・エム・エスに参画してからは人生が一変しました。今までは出来ないままでも会社には存続はできていましたが、能力がないという言い訳をしている余裕もありませんでした。目標を持ちながら実践と学習を繰り返していく中で徐々に個人としても成長を実感できました。上場を経験できたことも大きかったです。

数年前から、そろそろ会社を離れ、今後はこれまでの経験を活かして企業再生に携わりたいと考え始めました。そのためには何が必要か考える中で、いろいろな会社の経営体質や経営の中身を知るために、実際にさまざまな会社に携わりたいなと思いました。他の方法として、転職を重ねて自分がやったことない仕事を積み重ねていくというやり方もありますが、それより同時に数社と仕事ができたらもっと効率的ですよね。転職を考えても、すぐに思い通りの会社に転職できるわけではありませんし、自由に部署を渡り歩くこともできないでしょう。まあ、いろんな会社に同時に入った方が、目標達成への時間が短縮するだろうと思いはじめました。そうした中でビジネスノマドというのはイメージに近い仕事だと思いました。

サーキュレーションは案件を精査して良い企業を持って来てくれたので、自分のやりたい事への目標へ向かうスピードが早くなったことは間違いないと思っています。はじめの企業を紹介されたのは、登録してすぐでした。ノマド的な働き方は初めてでしたし、管理体制強化のミッションの期間は、少し長いなとも思いましたが、社長とのフィーリングもあったので決めました。


Q:今の働き方を、将来もずっと続けていきますか?

釜野:

私自身、自己分析しながら将来的な自分の働き方を考えると、「企業再生をしよう」という目標にたどり着きました。

起業のための手助けではなく、「なぜ企業再生なのか?」というと、「0から1をつくる仕事」と「1を2にする仕事」であれば、私自身の資質上、後者の方が向いていると思ったからです。

「企業再生をする」と目標に掲げたのはいいのですが、これまではデベロッパーと創業経験しかなく、他の業種のサービス形態がどうやって成立しているのかは、肌身を持って知りません。これを知る機会として多くの企業、さまざまな業種に同時に関与していくことがベストだと思ったのです。ですから、サーキュレーションが提供してくれる働き方は、10年後の目標に対して適正な働き方、ベストなステップだと思っています。


Q:この働き方は、会社に雇用されているわけではなく、派遣とも違いますよね。どういったモチベーションで働いていますか?またこのような働き方をしていく中でのコツはありますか?

釜野:

まずこの仕事をするにあたって、前提にあるのが、「自分の夢を叶えるため」ということです。

確かに、社員ではなく、外から会社内の物事を変えたり、推進するのは容易ではありません。

辛いなと思う時もあります。しかしその気持ち以上に、「経験になる!」という思いの方が強いので、モチベーションがなくなることはありません。

また、基本的に、どのプロジェクトでも、「担当者ではなく、経営者と一緒にやらせてください」という条件を出しています。なぜならば、どんなプロジェクトでも、最終決定権は経営者にあり、担当者とだけやっていては、会社全体、また将来を考えた展開をしようとしても理解されないことや、決断までのプロセスが多く、スピードが遅くなることがあるからです。ですから、「常に会社の経営者と同じ方向を向いて、その経営者とコンタクトがしっかりとれる中で仕事をする」ということを必ずコミットしてもらっています。

また「言いたいことは、必ず」とはお伝えしています。経営者は、これまでやってきた経験から「自分が正しい」と思っている方が多いと感じます。どんな経営者でも、良い意見の時もあれば、そうでない時もあります。私自身、経営者に同調するために参画しているわけではないので、私自身のこれまでの経験から考えられる合理的な判断で意見を言わせてもらっています。ですから、経営会議でぶつかることはよくありますね。それでも意見を抑えておくことは絶対にしません。このスタンスは前職からずっと続けていますね。はじめに「それが嫌であれば、最初から言ってください」と伝えています。それでいくつかの案件はなくなりましたけどね(笑)。ただ、それはスタート段階で決めておくので、プロジェクトが進行してからは、何も言われません。なので、このような仕事を継続していくコツとしては、「言いたいことを言う」ということですかね。当然、喧嘩しているわけではないので建設的な話ができて協議ができれば良いのです。


大きな目標を成し遂げるには、「今までがこうだから」「社長はこっちが好みだ」などは関係ないわけで、今、話を進めていく中で、何が合理的なのかという判断を自分の経験の中から必ず導き出すようにしている。会社の中には、社長の顔色をうかがう人も多いですが、私のような立場だからこそできることかもしれませんね。


専門家:釜野 晋史(かまの・しんじ)
大学卒業後、マンションデベロッパーの株式会社ゴールドクレストに入社。
2002年に4名で起業し合資会社エスエムエスの設立に参画。高齢者施設の販売代理をしながら市場調査を経て、翌年に株式会社エス・エム・エスの設立に伴い取締役に就任。
創業事業である介護系人材紹介事業の立上げを軌道に乗せた後は新規事業責任者として国内外のサービスの企画・立上げを実施。
アジア圏にて市場調査と事業準備として国内外の法人と連携しながら海外展開を担当。2008年には総務・経理財務担当として東証マザーズ上場業務や管理本部体制の構築に従事。2014年まで主幹事業である看護師人材紹介の責任者として事業運営。その後、独立して企業支援に従事。

ノマドジャーナル編集部
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