成功したければ、ブランディングを侮ってはいけない
自社のブランド力を高めるためにブランディングは必要なものです。しかし、ブランディングがどういうものかイメージできない、具体的に何をすればいいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。この記事では、実際に成功している企業のブランディング事例や地域ブランディング成功例、そのブランド戦略について解説していきます。
ブランディングとは何か?
ブランディングとは、マーケティング戦略の1つで、ブランドに対する顧客の価値を高めて市場におけるポジションを構築していくことです。ブランディングが確立されると、企業の商品に対する価値だけでなく共感や信頼をも獲得できるため、競合との差別化をすることが可能になります。
ブランドという言葉を聞くと大手企業の商品や一流ブランド品をイメージするものですが、
これら以外の商品と無関係というわけではないのです。中小企業や商店などの個人事業においても、ブランディングをしていくことは可能ということです。
たとえば、小さなお店の場合、顧客がオーナーの人柄を価値として認識すれば、競合との差別化を図ることできます。これもブランディングのひとつなのです。
なぜブランディングは必要なのか?
ブランディングは大手企業だけのものと思われていた時代もありましたが、現在では企業の大小や業種と関係なくブランディングが必要といわれるようになってきました。それはには以下のような理由があります。
①価格競争を回避できる
ビジネスを安定的に経営していくためには、ライバルとの価格競争に巻き込まれないようにすることが大切です。ところが、消費者は少しでも安くて良い商品をサービスとして欲しいと思っており、何か少しでもライバルと差別化できるものがなければ価格競争に巻き込まれてします。そして、その「何か」がブランドとなります。企業の大小や業種を問わずブランディングに成功すると、価格競争を回避できるのです。
②顧客だけでなく、資金・人材なども集めやすくなる
ブランディングがうまくいくと自社の認知度は高まり、イメージアップを図れます。また、ブランドの認知度が高ければ、新規顧客を獲得しやすくなり売上げもアップできるのです。さらに、人材や資金を集めやすくなり、相乗効果により企業をさらに成長させることができるでしょう。
③競合を出し抜く武器になる
ブランドを成長させてブランディングに成功すると、ライバルを出し抜いてシェアを拡大していくことができます。逆に、ブランディングをしなければ、「新規顧客の減少⇒シェアの低下⇒価格を下げる⇒価格競争に巻き込まれる」という負の連鎖が引き起こされるリスクがあります。この状態になるのを予防するためにもブランディングは必要とされてるのです。
企業のブランディング事例とそのブランド戦略
ブランディング事例①「スターバックス」
スターバックスは派手な広告を打つこともなく、認知度を高めて「スタバ」という愛称で親しまれています。スターバックスのコーヒーは決して安くはないのですが、一杯ごとに時間をかけて入れられているところに特長があります。競合のコーヒーショップよりも高めの価格設定にもかかわらず市場で成功しているのは、おしゃれな店舗やロゴ、オリジナル性あふれる商品、スタッフの接客の良さなどが影響しています。顧客はスターバックスでコーヒーを飲むことで高級感を味わうことができ、店舗という空間で過ごすことがステータスとなっているのです。
ブランディング事例②「ニトリ」
「お値段以上のニトリ」と思わず口ずさんでしまうほど秀逸なキャッチコピーを打ち出した「ニトリ」。近年、これほどまでにヒットしたキャッチコピーはあったでしょうか。
家具といえば高額なものですが、これまでの常識を打ち破り、激安の家具を値段以上の価値と感じる品質で提供することをアピールしました。キャッチコピーが見事にヒットし、ブランディングに成功した事例です。
ブランディング事例③「近大マグロ」
近畿大学が世界で初めてマグロの養殖に成功したことが話題になり、一躍有名なったマグロのブランド「近大マグロ」。ブランドの認知度をアップさせた理由は、「近大」という大学名を前面に出したネーミングでした。また、関西ならではユニークなキャッチコピーもブランディングの後押しをしたといえるでしょう。
ブランディング事例④「今治タオル」
地域ブランド「今治タオル」は、柄物タオルを作ることをやめ、「安心、安全、高品質」に徹底的にこだわった無地の白いタオルだけに商品を絞りました。今治タオルを購入するターゲット層を明確に設定し、ブランド化を推進したのです。その結果、「今治タオル」は「品質の良いタオル」「白いタオル」というイメージを定着させることに成功しました。
ブランディング事例⑤「モンスター・カオス」
商品のネーミングにおいてもインパクトのある栄養ドリンク「モンスター・カオス」。従来はサラリーマンの男性をターゲットとしていましたが、途中でターゲット層を女性に変更しました。女性向けの栄養ドリンクという新たな市場を開拓するため、女性が飲みやすい果汁を入れ、明るいパッケージに変更することで、ブランディングに成功したのです。
地域ブランディング成功例とそのブランド戦略
地域ブランディングとは?
地域ブランディングとは、地域ブランドと地域ストーリーとを重ね合わせるために行なわれる活動のことをいいます。地域ブランドとは、生活者が抱いている地域に対する認識のことです。そして、地域ストーリーとは、ブランドを作る側の認識のことを指します。地域ブランドは、地域ストーリーの中で語られることは必要とされています。
実際の成功例を紹介「島根県海土町」
「ないものはない」というブランドコンセプトで、海土町の地域ブランディングは行われました。これは「必要ないものはなくていい」「大切なものがここにある」ということを意味しています。つまり、マイナス面をプラスに置き換えるという考え方です。
この考えをもとに、町の観光協会が海土町ならではの地域の特産品をプロデュースし、「島旅」としてブランディングしました。この地域ならではの資源を活用して、海土町の地域ブランディングは成功を収めたのです。
企業が生き残るにはブランディングが必要不可欠
今回は、実際に成功している企業のブランディング事例や地域ブランディング成功例、そのブランド戦略についてお伝えしました。
ブランディングに成功すると、競合との価格競争から脱出することができ、ビジネスを有利に展開できます。企業が生き残っていくために、ブランディングは必要不可欠です。ブランディングには時間と労力がかかります。じっくりと取り組んでいくことで、成功への道筋が明らかになることでしょう。