今回は、米国のコワーキング専門情報サイトであるデスクマグの調査結果から、コワーキングスペースのトレンドを見ていきたいと思います。同調査は、世界各地のコワーキングの協力のもと2706人が回答に参加(2013年11月6日~12月31日まで)したものです。

コワーキングの利用者の仕事の状況

まず、世界のコワーキングの利用者の状況・2014年の見通しに対する回答を見てみます。

(調査は2013年の11月~12月末時点)。

http://www.deskmag.com/en/the-coworking-market-report-forecast-2014

コワーキングスペースで働いている人で、所得が増えると予想した人は72%、仕事が増えると予想した人も66%でした。また余暇が減ると予想した人が20%いました。このように、経済面で伸びることを予想している人が多いことが分かります。

最初に入居したコワーキングスペースを現在も利用しているか?

コワーキングスペース利用者に、最初に入居したコワーキングスペースをまだ利用しているのかどうかを聞いたところ、69.6%の人が「Yes(現在もまだ利用している)」と回答していました。12%の人は、現在も利用しているが、他のコワーキングも利用していたこともあるとの回答でした。

2012/13年時点での調査では、「Yes」の回答が78.2%だったのに対し、今回の2013/14年の調査では約70%へと割合が減ったということで、他のコワーキングスペースへ移った人が増えてきたということが読み取れます。

どのくらいの期間利用するのか?

コワーキングスペースをどのくらいの期間利用するのかという質問に対して、60%の人が「特に決めていない」と回答しています。「最低でも1年」、「最低でも3か月」よりも圧倒的に多い数字です。しかし、「特に決めていない」という人の割合は、2011/12年の調査の68%から毎年減少してきています。

また同じ質問を、コワーキングの会員規模が「29人以下」と「30人以上」で比較してみると、「特に決めていない」が「30人以上」で71%、「29人以下」で59%となっています。

このことから、比較的規模が大きいコワーキングスペースの方が人気があり、小規模のコワーキングスペースは、会員が外に流れる傾向があることが読み取れます。

コワーキング運営者の状況

同調査では、コワーキングスペース運営者にも運営状況などについてアンケートしています。

「コワーキングスペースは求められているよりも多いと思うか?」という質問に対して、70.3%が「No(コワーキングスペースの供給が足りていない)」と回答しています。

コワーキングスペースの発展・拡張予定

「コワーキングスペースが発展すると予想するか?」聞いたところ、「会員数」について運営者の90%(2014年予想)が伸びると予想しています。「所得」について、伸びると予想した回答が85%(同)。「コミュニティ感」について、伸びると予想した回答は81%(同)。

「イベント数」では、伸びると予想した回答は72%(同)でした。

では、「コワーキングスペースを拡張する予定があるか」との質問には、59%(2014年)が「Yes(拡張する予定である)」と回答しています。ただし、「Yes」の割合は、2012年の67%から年々減ってきています。

拡張すると回答した運営者でも、「追加拠点を設ける」という回答が35%(2014年)と最も多く、次いで「現在の拠点の中で座席数・空間を拡張する」との回答が21%(同)と多くなっています。「より広い拠点に移る」との回答は8%(同)に留まっています。

これらのことから、コワーキングスペース運営者は、拡張意向はあるものの、以前ほどは拡張意欲は強くなく、別拠点を設置することで拡張を図る傾向があることが分かります。

まとめ:注目度を増すコワーキング市場、米WeWorkの大型調達

今回の調査では、これまで示した以外の様々なアンケート回答結果があり、デスクマグの予想コメントでも様々な指摘がされていました。これらのデータ、および分析結果からいくつか重要な点が見られます。

  • コワーキングスペースが増えてきたことにより、コワーキング利用者にとって選択肢が増えたため、他のコワーキングを利用することが増えてきた。
  • コワーキング利用者は、会員数の多いコワーキングスペースを選ぶ傾向が強くなってきている。
  • このことは、コワーキングスペースが、これまでの傾向と異なるフェーズに入ったことを意味しているのかもしれません。

    例えば、米国ではWeWorkという世界最大規模のコワーキングスペースが、2014年末頃に3億5,500万ドルの巨額の資金調達に成功、企業価値は50億ドルに達したとして、世界的にも注目されています。Wall Street Jounalや、ビジネスウィーク誌などの各種経済誌で取り上げられ、シェアエコノミー時代のオフィスの在り方として、特集が組まれるなどの扱いになっています。

    同社は世界の各地に複数拠点を持ち、ビル全体をコワーキングスペースとして提供しています。フリーランスだけでなく、ベンチャー企業などが一室を借りて拠点を設けていたりしています。また、2014年11月には、ビジネス特化型のソーシャルネットワークである 「WeWork Commons」を立ち上げています。

    単なるフリーランス、インディペンデントワーカー向けの拠点から、企業のコラボレーション、オープンイノベーションを生み出すための拠点へと変わりつつあるのではないでしょうか。 今後のコワーキングのトレンドには要注目です。

    〈参考資料〉

    • The Coworking Forecast 2014
    • 専門家:谷口 賢吾
      地域開発シンクタンクにて国の産業立地政策および地方の産業振興政策策定に携わる。02年よりビジネス・ブレークスルー執行役員、BBT総合研究所責任者兼チーフ・アナリストを経て06年に独立。08年法人化(現クリエナレッジ)。リサーチ事業、ビジネスプロデュースなどを手がける。

      ノマドジャーナル編集部

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