クレドとは?

企業理念や社是との違い

クレドは、企業が掲げる信条、社員の行動の指針を言葉にしたものです。企業の思いを示す、似たようなものとして企業理念や社是がありますが、その在り方は少々異なります。

簡単にいうと、企業理念や社是をさらに具体的にし、社員の行動や周りと関わっていく姿勢に反映しやすい言葉にしたものといえるでしょう。

ボトムアップで創り上げる

企業理念や社是は、主に経営者の意向や方向性を、社員をはじめ企業に関わるステークホルダーに伝えられるものです。一方クレドは、企業に関わるすべての人々の思いや意見を信条として反映したもの。

クレドの導入によって、とくに社員のエンゲージメントの獲得に成功する企業が増えているといわれています。組織に関連するすべての人が関わって創り出すクレドは、価値観の共有ツールにもなっているためです。

クレドを活用するメリットとは

社員に対して具体的にビジョン・行動規範が伝わる

経営者の企業理念やビジョンは、抽象的になることが多く、日常の業務を行なう社員への浸透が難しいともいわれています。

企業理念やビジョンの言葉は知っていても、その言葉をどう業務上で反映させるべきかが把握しにくい。あるいは社員一人ひとりの解釈が異なるため、行動や表現もさまざまになる可能性があります。

具体的な文章にすることで、日常業務の中でも意識しやすくなり、クレドの浸透を高めていけるのです。意識するほど強固な信条となり、個々の社員の内面に培われていくというメリットがあります。

社員のモチベーションの向上

クレドは社員の行動基準。どんなに入社から日の浅い社員でも、行動内容に反映させていきやすいものです。また日常業務での細かな判断においても、明確な基準があることは、自信を持ってその組織にとってのよい行動を選ぶことができます。

自分たちが関わり掲げたクレドの存在は、安心材料にも責任材料にもなるでしょう。組織の一員として、クレドに沿って行動することは、組織内の自主性や共感度を高めることにもつながります。

また社員の定着度アップの効果を、感じている企業も多いようです。

クレドの作成に欠かせない要素

ステークホルダーの意見収集

ステークホルダーとは、お客様、従業員、取引先や提携会社、株主。そしてクレドの概念となる企業理念を掲げている経営者も含まれます。

クレド作成の際には、どのステークホルダーの意見や意向を反映させるかを決定し、アンケート調査やインタビューなどを行ない企業についての多角的な意見を収集。この意見収集によって、全体からの関心や興味を引き出すことにもつながります。

クレドを言葉にする

ステークホルダーの意見から、企業としてどのようなことが喜ばれているのか、求められているのか、改善が求められる点などについてがわかります。

その内容を吟味しながら、クレドとしての具体的な言葉に置き換えていきましょう。ここでいう具体的とは、経営視点よりも業務に直結するような表現が求められるため、大変重要なプロセスとなります。

また覚えやすい数、わかりやすい言葉でなくてはなりません。「社員がいつでも誰にでも説明できる」というのが、覚えやすさわかりやすさ、そして浸透させられるかバロメーターになるでしょう。

クレドはアップデートする

時とともに、人も組織も社会も変わります。価値観やニーズも変化していくものです。現状のクレドの項目に変更や修正をかける必要がないかの定期的な見直しは欠かせません。年に一回は現状クレドについてのアンケート調査を行なっていくといいでしょう。

クレドを効果的に浸透させるには?〜意識化のための定期習慣〜

クレドができあがったら、携帯可能なサイズの小さなカードにして配布する企業も多いです。常にそばの見える場所にあることは意識づけの機会を作りだします。形にすることで皆とあるべき姿の共有している一体感も高まるでしょう。

朝礼で復唱している例もあります。クレドの内容が、自分たちにとって当たり前になればなるほど、日常の業務のスタンスに反映されていきます。

定期的な見直しによって「クレドに即した行動ができているか」を常に振り返ること、有効な信念へと強化していくことができるのです。

クレドは組織強化の強力ツール

クレドの存在は、企業だけでなく、企業を取り巻くすべての社員、ステークホルダーの存在価値を実感させる効果があります。企業と働く社員の価値観を一致させて事業を進められるため、相互のエンゲージメントもより強固になるでしょう。