リファラル採用とは?

リファラル採用・縁故・リクルーター制度

ここ数年で、リファラル採用は日本にも浸透の色が濃くなっているようです。リファラル採用とは、企業の採用方法のひとつで社員に友人や知人を紹介してもらうことで人材を集め、採用することを指します。

日本では、縁故採用(コネ採用)というのは昔から存在していましたが、リファラル採用はそれとは似て非なるもの。また、多くの企業が採用活動に取り入れ始めているリクルーター制度とも違います。

リファラル採用とそれらとの決定的な違いは、採用前と採用後に「しがらみ」を生まないということではないでしょうか。

昔からある縁故では義理や人情、取引先との絡みが伴っていることが多かったと思われます。採用前と採用後に、企業、縁故で入社した本人、縁故で紹介した人の間に効力が発生しがちです。

リクルーター制度は、新しく人材を発掘し、募集期間から内定や入社後に至るまでのフォロー責任が発生します。リクルーター制度の場合は、以前からの知り合いだったということ自体が少ないかもしれません。

リファラル採用が浸透する理由

日本でもリファラル採用が浸透し始めているのは、2つの要因があるようです。

ひとつは、転職市場での人材確保が激戦化し、なかなか人材が集められないという企業の採用活動の厳しい現実があります。あれこれと手を尽くし、候補者の母体数を上げるための追加手段として取り入れられ始めた方法なのです。

もうひとつは、入社した社員がなかなか定着せずに頭を抱えている企業が増えていること。さらに、入社後に企業の雰囲気や社風とのミスマッチを感じての離職も少なくありません。

これは決して企業側だけに責任があるとは限らず、転職者にとって売り手市場が続いているため転職のハードルが極めて低くなっていることも離職を促進している様子。ただ、どんな理由だったとしても定着率を上げることは多くの企業の課題となっています。

欧米では採用成功率が高いが…

欧米諸国の採用活動では以前から、リファラル採用は主流の採用ルートでだったようです。

求人サイトやエージェントの活用など他の採用手法も含めた全体の3割ほどを占めるとも言われ、いかにリファラル採用が成功しているかも垣間見えます。

その状況が日本にも流れてきて導入する企業が増えているわけですが、リファラル採用に成功を感じている企業とそうでない企業があるようです。お国柄というのも少なからず影響しているのかもしれません。

リファラル採用を導入するメリット

全社を上げての人事活動

できるだけ多くの応募者を集め、自社に相応しい候補者から選定したいのが企業側の希望でしょう。人事担当者だけの採用活動では、候補者が思うように集まらない状況が陥っている企業が少なくありません。

リファラル採用は、人事か他の部署かに関わらず採用活動を行なうマンパワーの増強を可能にします。

発掘しにくい人材に出会える可能性

インターネットでの求人募集をかけた場合、同じような人材が一気に集まると採用担当者の悩みの種になることもあります。ニッチな技術、特徴のある個性をもつ人材は探しにくいもので、そういった人材は、インターネットで働く先を探していないという可能性も高いです。

リファラル採用は、なかなか出会えない人材にリーチできる可能性を高めます。

社風に一致する人材が集めやすい

紹介する社員はすでに会社の中で働いているわけですから、社風は実感しているはずです。紹介者と候補者が近い存在であればあるほど、どんな会社かが、より正確に伝わるのではないでしょうか。類は友を呼ぶと言いますが、社風に合った社員の友人の場合、馴染める確率が高いという声もあります。

また、紹介者は自分の属する組織やチームが求めている人物像も感覚的に掴んでいるものです。「このチームのこのポジションは友人の○○に合うかもしれない」と感じる場合のマッチ度は、何も知らない同士(企業と求職者)が知り合うときよりも精度は高いことが期待できるでしょう。

採用コストの削減

社員からの紹介で採用が決まる場合、採用活動にかかる経費や人件費も、時間や労力などすべてのコストが抑えられます。募集人数が少なければ少ないほど、募集にかかる経費の採算が合わないということは多いようです。

企業を理解している社員からの紹介はスキル的にもマッチ度が高いため、教育や育成のコストも低く済ませられるでしょう。定着度は高いといわれているので再度採用活動を開始しなければならないというリスクも下がるのです。

定着の期待が持てる

入社前の企業についての理解度が高いため、入社後に定着する確率も高いといわれています。紹介者が社内にいることで、入社直後の不安や緊張も和らぐようです。問題があっても何かと相談して乗り越えられる確率が高まるでしょう。

リファラル採用の成立はアピールにもなる

社員が自分の働く企業で働かないかと提案をすることは、そのまま企業アピールにもなっていきます。
自分の会社に不満があるのに、わざわざ友人や知人を紹介する人はいないはずです。紹介される候補者も「いい会社なんだな」という印象を持ちやすくなるでしょう。

リファラル採用を導入するデメリット

不採用となった場合の溝

社員がせっかく紹介をしてくれても、企業側が必ず採用するという保証はできません。不採用となった場合の紹介者と候補者の関係性が懸念されるところでもあります。

紹介者が、求人内容や紹介する人の人柄や能力、スキルをどれくらい理解しているかがキーポイントです。不採用を防ぐためにも、人事はその伝達を正確に行っておかなければなりません。

最終的なミスマッチを防ぐためにも、紹介者がいるからと過信せず、候補者側にもしっかり伝えておくことが大切です。

類は友を呼ぶがアダに

類は友を呼ぶで社風に馴染みやすい人が集められることをメリット項目で挙げましたが、逆の見方もあります。類は友を呼ぶであるため、現職社員と同じような人たちが集まるとも考えられるのです。

多様化が進む世の中で、同類の者だけが存在する組織やチームには「停滞」というリスクが発生するといわれています。一体感を持ちやすいということの反対側のデメリットも把握しておいたほうがいいでしょう。

紹介者退職後の懸念

リファラル採用が成立して間もなく、紹介者が退職してしまうというケースもあるようです。この場合、入社したリファラル社員のモチベーションが下がったり、ネガティブな感情が湧く可能性は否めません。最悪の場合は、紹介された社員も辞める意向を示すという事態になりかねないので、慎重なケアが必要です。

リファラル採用のための活用ツール&サービス

リファラル採用が普及したことで、新たなツールやサービスも生まれています。
リファラル採用専用の活用ツールやサービスを使えば、さらに効率性を高められるでしょう。

Refcome

出典元:https://refcome.com/

Refcome(リフカム)は、LINEやFacebookなどのSNSや、メール配信などを活用して、社員が自社の求人を詳しく把握することができます。具体的な紹介活動についても社員が手間をかけずに、紹介したい人に声をかけられるような配慮が成されているサービスです。

リファラル採用の進捗や効果をいつでも即座に確認できることは、組織をあげての採用活動に一体感を生みだしています。

GLOVER Refer

出典元:https://gloverhr.com/

GLOVER Refer(グラバーリファー)は、株式会社リクルートキャリアが提供するリファラル採用専用サービスです。社員が3ステップで、簡単に友人や知人にメールやメッセージを拡散できるシステム。

大幅に採用活動と紹介活動の工数を削減します。進捗なども見える化され一元管理できるためどの段階でも対策が打ちやすいようです。

リファラル採用の報酬について

違法になるの?報酬制度の注意点

リファラル採用で採用が成立した際、紹介してくれた社員に報酬を支払う企業もあります。原則として募集を行なうことに対する報酬は法律で禁じられていますが、自社社員の活動であり賃金(給与)としてであれば可能だそうです。

高額になることは社員の本業がなんであるかを左右する場合もあるので注意が必要とのこと。賃金規定にリファラル採用の報酬についての内容を盛り込むことも忘れないようにしましょう。

報酬なしが適切という見解も多い

報酬制度を設けている企業と報酬制度なしでリファラル採用を行なっている企業があります。報酬制度があると、自己収入のために友人や知人に声を掛ける社員が出てくる可能性には注意が必要かもしれません。

また、自己収入のために友人や知人を利用したくないと考え紹介を控える社員も多いのだとか。友人や知人に、報酬のための紹介と思われたくないという見方もあるようです。
報酬のないほうがよほど、企業のため友人のために堂々と気持ちよく紹介できると考える社員もいます。

リファラル採用でエンゲージメント向上

リファラル採用を行なうことは、企業を上げた全社員での取り組みとなることもポイントのひとつ。採用活動に関わることで自社に対する思いや理解が深まる社員も増えているようです。

エンゲージメントの向上策としても機能させることができるでしょう。デメリットや注意点を理解して、リファラル採用のメリットを存分に得られる採用活動を行なっていきましょう。