多様な働き方が可能になった現代において、ネットやテレビでも「ノマド」「フリーランス」「副業」、そして「ダブルワーク」といった言葉がよく使われるようになりました。しかし、それぞれの言葉の意味をしっかり理解している人は多くありません。この記事で、ダブルワークという言葉の意味を理解しておきましょう。

ダブルワークの意味とは

ダブルワークとは、その名の通り2つの仕事を掛け持ちする働き方です。

似た言葉に「副業」や「兼業」、「複業」があり、同じ様な意味で使われることも多いですが、実はそれぞれに若干の差異があります。

(1)ダブルワーク

2つ以上の仕事を掛け持っている状態。どちらかが本業というわけではなく、どちらも同じくらいの時間のかけ方、給与のときに用いられることが多い。また、正社員のダブルワークという雇用形態は存在しないため、基本的にアルバイトなどの非正規雇用を掛け持ちしている際に用いられる。

(2)副業

明確な本業があり、それとは別に他の仕事もしている状態。正社員がプライベートの時間を利用してお小遣い稼ぎをするときなどによく用いられる。この場合の副業とは、あくまで本業のサブ的な仕事であり、本業よりも仕事にかける時間や得られる稼ぎは少ない。

(3)兼業

ダブルワークと同じく2つ以上の仕事を掛け持っている状態。2つの仕事の労力は同じくらいの場合使用されるため、ダブルワークとほぼ同義語。「兼業◯◯(例:兼業農家)」のように「平日は会社員、週末や長期間の休みは農家」など、時間や曜日ごとに職種を変える場合によく用いられる。

その他、個人事業主がまったく別々の事業を手がけている場合は「本業がいくつもある状態」=「複業」と呼ぶ場合もある。

このように、似たような言葉でも若干ニュアンスが異なるので、それぞれの言葉の意味をしっかり理解しておきましょう。

ただ、上記の分類はあくまで原則です。ダブルワーク、複業、副業、兼業をまったく同じ意味で使用している記事もあります。あくまで文脈からニュアンスを読み取ることを大事にしてください。

ダブルワークは会社によってOKかNGかが異なる

結論から言うと、会社によってはダブルワークを禁止している場合もありますが、それはあくまで会社の就業規則に定められているだけです。基本的にダブルワークをするかどうかは個人の自由です。ですのでダブルワークをしたからといって、法的に何らかの罪に問われることは基本的にはありません。

ただ、中には就業規定が効力を発揮する副業(ダブルワーク)もあります。

  • 勤めている会社と同業他社(=競合)での勤務…会社に損害を与えかねない行動
  • 1日の半分ほどを本業とは別の仕事に費やしていた…本業に対する影響が甚大な行動

上記のダブルワークや副業に対しては就業規定が効力を発揮し、会社から解雇される場合もあります。実際に上記のようなケースで過去に裁判所が「解雇は妥当」とする判決を下したケースもあります。

逆に、

  • 「副業は1日1時間しかしておらず本業に影響はなかったのに解雇された」
  • 「運送バイトを年に1〜2回だけしていたのがバレて解雇された」

といったケースでは裁判所が「解雇は無効」とする判決を下しています。

このように、解雇が妥当か不当かは「本業に対する影響の度合い」「会社の利益を害しているかどうか」が大きく左右しているのです。

ただ、過去の判例は「正社員が副業をしていたケース」ばかりなので、アルバイトで掛け持ちをする場合には特に問題はないでしょう。そもそも裁判にまで発展するケース自体が非常に珍しく、多くの場合はダブルワークや副業がバレても和解して終了です。

もちろん、後々もめないよう事前にダブルワークしている旨を会社に伝えておくのもひとつの選択肢ですが、申し出の義務はありません。

ダブルワークでは年間所得が103万円以上になると課税対象になる

ダブルワークの収入・所得に関して押さえておくべきポイントは、

  • 年間所得が103万円以上になると所得税がかかる
  • 副業の年間所得が20万円以上になると確定申告する必要がある

の2つです。

まず、非正規雇用(=パート、アルバイトなど)を掛け持ちしている場合は、年間所得が103万円になると、所得税の課税対象となります。また、配偶者の控除を受けている主婦や主夫の人は、年間所得が103万円を超えると配偶者控除を受けることができません。

そのため、配偶者控除に入っている人がパートやアルバイトを掛け持ちしてダブルワークをする場合、年間所得が103万円以下になるよう調整した方がお得なのです。

もう1つは正社員としての本業がある上で副業をしているパターン。この場合は副業の所得が20万円を超えると所得税の対象となり、確定申告が必要となります。そうすると住民税の額が給与に比べて多くなり、勤めてる会社に副業がバレてしまう可能性がでてきます。

対策としては、確定申告の際に住民税を自分で納付する「普通徴収」に切り替えるのが有効です。

なお、副業の年間所得を20万円までに抑えると確定申告をしなくて良いのですが、住民票を置いている市町村に住民税の申告をしなくてはいけないので、いづれにしても自分で納付する「普通徴収」に切り替える必要があります。

働き方は多種多様 〜ダブルワークの代表的な職種やサービス〜

ここからはダブルワークの代表的な職種やサービスを紹介していきます。自分に合ったものがあるか、一度確認してみましょう。

(1)日雇い労働

1日だけ雇われて働くスタイルの仕事です。倉庫整理や交通整理といった肉体労働から、パソコンを使った打ち込み作業、工場での仕分け作業など、仕事内容は紹介所や時期によって大きく異なります。

(2)飲食店・水商売

飲食店やキャバクラなどの水商売で働く人もダブルワーカーの中には多数います。例えば、居酒屋は夕方〜夜にかけての営業なので、昼間は事務、夜は居酒屋といったダブルワークの仕方もあります。

(3)引越し

引越しのバイトは土日だけでもOKという募集が多いため、ダブルワークとしては最適な仕事のひとつです。力仕事ではあるものの、時給は高い傾向にあるためダブルワークでガッツリ稼ぎたい人に向いています。

(4)投資

株式やFXなどで稼ぐのもひとつの選択肢です。スマホやパソコンがあればいつでもどこでも取引ができるため、時間の余裕がない人や体を動かすのが苦手な人に向いています。

(5)アフィリエイト

収益化できるまでには数ヶ月〜1年以上の時間がかかりますが、パソコンがあれば自宅でできるため、ダブルワークのとっかかりとしては最適です。

(6)クラウドソーシング

専門的な知識を有する場合は、クラウドソーシングを通してそのスキルを活用してみるのもよいでしょう。WEB系の知識が技術がある人との相性は抜群。ライティング、デザイン、イラスト、プログラムなど仕事内容は非常に豊富です。

まとめ

ダブルワークとは、パート×パート、アルバイト×アルバイトなど、非正規雇用で仕事を掛け持ちするときに用いられることが多い言葉です。

ダブルワークがOKかNGかは会社の就業規則によって異なりますが、どちらの仕事にも支障がなければ特に申し出の義務はありません。ただ、年間所得が103万円以上になると配偶者控除から外れるので注意が必要です。また、副業が年間20万円以上の所得となった場合は確定申告が必要なので、その点もお気をつけください。

執筆者:河内 勝男

会社に勤めつつ2014年から副業を開始。2015年に会社を退職しフリーランスライターとして独立しました。会社員時代の副業経験を活かした記事はもちろん、ライター業以外にサイト運営もしています。