個人事業主として自立された方は事業が軌道に乗ればまず一安心。ですが、満足感に浸ってばかりはいられません。お金を稼げば税金の支払いが待っています。今回は個人事業主になられた方向けに、これまで納めてきた税金の他に注目しなければならない税目を4つご紹介します。しっかり理解して将来の更なる発展に備えてください。

個人事業主が納めなければならない税金

個人事業主が納めなければならない税金一覧

(1)個人事業所得税

正確にいえば個人所得税と法人所得税の両方を指さします。日本では前者を所得税、後者を法人税と呼んでいます。どちらも稼得された純所得が課税対象となる点で共通しています。また、所得税といえば日本では一般に国税としての所得税を指し、同じく所得を課税対象とする住民税は含みません。

所得税は、いまやアメリカのみならず、日本、イギリス、ドイツ、イタリアでも国税のなかで最大の税収をあげており、税制の根幹となっています。所得税法は所得を10区分していますが、ここでは個人事業主を対象とした事業所得税に絞ります。

(2)住民税(個人住民税)

個人住民税は、地方公共団体が行う道路や水道の整備、防災など一般市民の生活に欠かすことのできない行政サービスに対する対価です。法人住民税に対応する税金となります。

住民税は「都道府県民税」と「区市町村民税」の総称で、各個人の1年間の所得に対して地方税法に基づき地方公共団体が一括して賦課徴収します。

賦課する基準により所得割と均等割が存在します。所得割は前年の所得金額に応じて課税され、均等割は所得金額にかかわらず定額で課税されます。赤字の場合は均等割だけになります。

(3)個人事業税

個人事業主が事業で得た所得に対し、国に納付する税金が所得税で、都道府県に納付するのが事業税と住民税です。ただし、事業税では対象となる業種が法律で定められた70業種だけで、算出過程での控除額も所得税と違っています。そのため、所得税や住民税とは違い、課税されない事業主も多いのが特徴です。

(4)消費税及び地方消費税

消費税は、特定の物品やサービスに課税する個別消費税(かつて、富裕税とか物品税では、課税対象品目が税法で定められていました。)とは異なり、原則として消費取引があった場合に漏れなく公平に負担を求める間接税です。

消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として(個人の資産売買取引は事業ではありません)対価を得て行う資産の譲渡、貸付及び役務の提供と外国貨物の引取りです。

この消費税は、生産及び流通のそれぞれの段階で、商品や製品などが販売される都度その販売価格に上乗せされてかかりますが、最終的に税を負担するのは消費者です(こちら国税庁ホームページより引用)。

消費税が累積課税とならない為の仕組みを見ましょう。

製造業者 卸売業者 小売業者 消費者
売上

50,000

売上高

54,000

売上

100,000

支払額

108,000

消費税①

4,000

消費税②

5,600

消費税③

8,000

仕入

50,000

仕入

54,000

消費税①

4,000

消費税②

5,600

納付税額A

4,000

納付税額B

②- ①

1,600

納付税額C

③-②

2,400

消費者負担

8,000

A + B + C

国税庁ホームページ

  1. 製造業者の売上が卸売業者の仕入になっています。そして製造業者が売上時に預かった消費税4,000円を納付しています。
  2. 卸売業者の売上が小売業者の仕入になっています。そして卸売り業者が売上時に預かった消費税5,600円から仕入時に支払った消費税4,000円を控除した1,600円を納付しています。
  3. 小売業者の売上が消費者の支払額になっています。そして小売業者が売上時に預かった

消費税8,000円から仕入時に支払った消費税5,600円を控除した2,400円を納付しています。

以上の流れから、各業者が預かり分から支払い分の消費税を控除した差額を納付していますが、その合計額8,000円を負担しているのは消費者だということが理解できたのではないででしょうか。

※ 消費税では、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、納税の義務が免除されます。この納税の義務が免除される事業者となるか否かを判定する基準期間における課税売上高とは、個人事業者の場合は原則として前々年の課税売上高のことをいい、消費税は小規模事業者の経理事務の煩雑さを考慮して売上高が一千万円未満は免除となっています。ですから、事業開始2年間は消費税は課されません。

(5)固定資産税

固定資産税とは、固定資産土地家屋・有形償却資産)の所有者に課税される地方税です。土地と家屋については登記簿等で市区町村が把握可能ですが、償却資産については登記制度がありませんので、申告により償却資産の存在を把握し税金を賦課徴収します。

(6)償却資産税

償却資産税は、市区町村が固定資産に対して課税する固定資産税の一部です。 事業用の減価償却の対象となる機械、器具備品、建物の附属設備等といった、償却資産に対して課される固定資産税のことです。土地や建物に課される固定資産税と区別した呼び方です。

(7)国民健康保険税

国民健康保険税とは、市町村が地方税法にもとづき国民健康保険に要する費用に充てることを目的として、被保険者の属する世帯の世帯主に対し課する税金です。地方税、直接税、その使いみちが特定されている目的税に該当します。

国民年金法によれば、日本に居住する20歳以上60歳未満の人は、原則として国民年金への加入義務があります。この場合、加入者は被保険者となり、保険料を納付しなければなりません。これは税法の規定ではないので税金ではありませんが、国民年金法で支払義務を伴うものと定められた税金と同じ性質のものだといえます。

個人事業者が納めなければならない税金のうち重要なもの

個人事業者が納めなければならない税金を列挙しましたが、それらは一律に重要な訳ではありません。固定資産税、償却資産税及び健康保険税は、個人事業者である前に一般社会人として既に常識の範囲にあるものですからここでは割愛いたします。

国税では、所得税及び復興特別所得税と消費税及び地方消費税をあげました。個人所得税は個人事業主が負担する税金として他の負担すべき税金計算の基準となるもので重要であり、金額的にも負担の重いものです。

消費税は所得の有無に関係なく(利益が出ても出なくとも)売上時に預かった消費税から仕入時に支払った消費税を控除して納めなければならない税金ですから、常に資金繰りに注意しなければならない点で重要です。

個人事業主が納めなければならない国税

事業所得税及び復興特別所得税の計算手順

個人事業主の財産に増減変化をもたらす取引を会計上の取引といいます。この会計取引が生じたならば、その都度、帳簿に記録しなければなりません。その取引の構成要素は、資産、負債、元入金、収益そして費用です。そして、取引は必ず資産の増減、負債の増減、元入金の増減、収益の増減そして費用の増減として表れます。

資産が増加したというだけでは漠然としていますので更に掘り下げます。例えば個人事業に必要な資産にはどんなものがあるでしょうか。

まず「現金」が必要です。現金は手許に置くだけでは危険ですから銀行に預ける人も多いでしょう。そうなると「普通預金」「定期預金」になります。またお金を取引相手に貸し付けると「貸付金」となります。このような各要素の具体的属性を表すものを勘定科目といいます。

各要素を構成する勘定科目を一覧してみます。

  • 資産に属する勘定科目 現金、普通預金、売掛金、貸付金、商品、土地、建物、車両等
  • 負債に属する勘定科目 借入金、買掛金等
  • 元入金に属する勘定科目 資本金等
  • 収益に属する勘定科目 売上、受取利息等
  • 費用に属する勘定科目 租税公課、旅費交通費、通信費、水道光熱費、車両費、給料福利厚生費、地代家賃、法定福利費等

(1) 仕訳帳の記帳

会計取引は帳簿に記帳しなければなりません。その第1歩が仕訳です。理解を容易にするために、取引は全て現金取引だと仮定します。つまり必ず現金が出てきて増加するか減少するということです。仕訳では現金を始めとする資産は増加したら仕訳の左側(借方)、減少は仕訳の右側(貸方)に記帳されると覚えてください。現金の位置が左に決まったら相手は反対側の右です。

  1. 事業開始のために現金1,000円を出資した取引を分解し仕訳します。現金が増加しましたから左(借方)です。したがって相手の元入金は右側(貸方)です。

(借方)現金1,000/(貸方)元入金1,000という仕訳になります。

転記では、(借方)現金1,000とは、現金という総勘定元帳(帳簿)の借方(左側)に1,000円と記入しなさいという意味です。(貸方)元入金1,000とは、総勘定元帳(帳簿)の貸方(右側)に1,000円と記入しなさいという意味です。

  1. 現金500円を普通預金した取引を分解し仕訳します。現金を始めとする資産が増加したら左側です。資産である現金が減少したら右側です。

(借方)普通預金500/(貸方)現金500という仕訳になります。

転記では、(借方)普通預金500とは、普通預金という総勘定元帳(帳簿)の借方(左側)に500円と記入しなさいという意味です。(貸方)現金500とは、現金という総勘定元帳(帳簿)の貸方(右側)に500円と記入しなさいという意味です。

  1. 銀行から資金を300円を借入れた取引を分解し仕訳します。資産である現金が増加して左側(借方)、負債である借入金は反対の右側です。

(借方)現金300/(貸方)借入金300という仕訳になります。

転記では、(借方)現金300とは、現金という総勘定元帳(帳簿)の借方(左側)に300円と記入しなさいという意味です。(貸方)借入金300とは、借入金という総勘定元帳(帳簿)の貸方(右側)に300円と記入しなさいという意味です。

  1. 銀行に借入金100円を返済した取引を分解し仕訳します。負債である借入金が減少して、資産である現金も減少しましたから右側(貸方)です。

(借方)借入金100/(貸方)現金100という仕訳になります。

転記では、(借方)借入金100とは、借入金という総勘定元帳(帳簿)の借方(左側)に100円と記入しなさいという意味です。(貸方)現金100とは、現金という総勘定元帳(帳簿)の貸方(右側)に100円と記入しなさいという意味です。

  1. 現金で給料50円を支払った取引を分解し仕訳します。費用である給料が増加して、現金が減少しましたから右側(貸方)です。

(借方)給料50/(貸方)現金50という仕訳になります。

転記では、(借方)給料50とは、給料という総勘定元帳(帳簿)の借方(左側)に50円と記入しなさいという意味です。(貸方)現金50とは、現金という総勘定元帳(帳簿)の貸方(右側)に50円と記入しなさいという意味です。

  1. 売上800円があり現金で受取った取引を分解し仕訳します。資産である現金が増加したら左側(借方)、収益である売上は反対の右側です。

(借方)現金800/(貸方)売上800という仕訳になります。

転記では、(借方)現金800とは、現金という総勘定元帳(帳簿)の借方(左側)に800円と記入しなさいという意味です。(貸方)売上800とは、売上という総勘定元帳(帳簿)の貸方(右側)に800円と記入しなさいという意味です。

※右側の代わりに貸方で、左側の代わりに借方という符号だと思ってください。上記のような記述を仕訳といいます。イメージとしてはどの総勘定元帳に記帳するかを指示する交通整理の信号機みたいなものとお考え下さい。

(2) 総勘定元帳への転記

仕訳が済んだら第2段階です。仕訳で借方にある勘定科目、貸方にある勘定科目をそれぞれの勘定口座の同じ側へ、日付、相手勘定、金額を書き写します。相手勘定とは借方、貸方それぞれの仕訳の反対側にある勘定科目のことをいいます。

仕訳取引を転記した結果は下記のようになります。帳簿の中央を基準として左右に別れ借方と貸方となります。

(借方)現金勘定(貸方)

元入金 1,000 普通預金 500
借入金 300 借入金 100
売上 800 給料 50

(借方)普通預金預金勘定(貸方)

現金 500

(借方)借入金勘定(貸方)

現金 100 現金 300

(借方)売上勘定(貸方)

現金 800

(借方)給料勘定(貸方)

現金 50

(3) 試算表の作成

取引が生じたら仕訳して仕訳帳に記帳して、仕訳帳の仕訳に基いて総勘定元帳に転記します。ここまでが記帳係の日常業務です。

一定期間毎(日毎、月毎、会計期間)ごとに総勘定元帳の記帳内容を集計して試算表を作 成します。この試算表には合計試算表、残高試算表とその2つを組み合わせた合計残高試算表の3つがあります。

①合計試算表

総勘定元帳から各勘定科目の借方合計と貸方合計をまとめたものです。総勘定元帳の勘定科目の借方、貸方それぞれの合計額を計算して合計試算表に転記します。各勘定科目の借方合計、貸方合計がそれぞれ仕訳帳の借方合計、貸方合計と一致します。また、合計試算表の一番下の借方合計と貸方合計の数値が一致することで、ミスがなかったことを確認できる仕組みになっています。

②残高試算表

総勘定元帳から勘定科目ごとに借方と貸方の合計を差し引きし、まとめたものをいいます。勘定科目ごとに借方合計、貸方合計を計算して借方合計、貸方合計を差し引きして残高を求め、金額の多い側の残高試算表に転記します。残高試算表は見やすく、決算時の精算表作成に役立ちます。

(4) 損益計算書と貸借対照表を作成

各総勘定元帳の記帳に基づき単純に各元帳の借方合計、貸方合計を試算表に転記して作成する試算表を決算修正前の試算表といいます。

決算修正前試算表を正確な期間(個人事業主を対象としますから暦年)利益を算定できるように修正(減価償却費の計上、貸倒損失の見込み計上、災害損失の計上等)します、これが決算修正後試算表です。

決算修正後試算表から資産と負債と純資産(元入金)を抜き出して貸借対照表を作成し、同様に収益と費用を抜き出して損益計算書を作成します。貸借対照表では前期末と当期末の元入金の増加分として、損益計算書では当期(暦年)の収益と費用の差額として利益を算出します。

取引を5要素に分けて仕訳では常に借方金額と貸方金額を一致させてきた処理が、ここで損益計算書と貸借対照表の利益額の一致として表れます。

個人事業主の所得計算は、収入金額から経費を控除して算出します。

  • 収入金額-経費=事業所得

所得税は総合課税が原則ですから、個人事業主が給与所得者の場合には事業所得と給与所得を合算して合計所得金額を算出します。

所得税額を計算するために、所得控除額を控除して課税所得金額の計算をします。

ここまでは、私的感情を介入させることなく、ひたすら原理原則に沿って計算してきました。ですが個人事業主は個人ですから、今度は正確性だけでなく個人事業者の個人的事情である税金の負担能力を考慮し、納税者間の不公平感をなるべくなくすように税額計算をします。この機能を果たすために14の所得控除が設けられています。

①人的控除 基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、障害者控除、寡婦控除(寡夫控除)、勤労学生控除

②物的控除 社会保険料控除 小規模企業共済等掛金控除生命保険料控除地震保険料控除寄附金控除雑損控除、医療費控除

合計所得金額から所得控除額を控除して課税所得額を算出します。

(5) 税額計算と確定申告

税額計算は以下の式で求められます。

  • 合計所得金額-各種所得控除額-青色申告控除額=課税所得金額
  • 課税所得金額×税率-税額控除額=納付税額

所得税は申告納付ですから自ら申告して納付しなければなりません。申告には、青色申告と白色申告とがあります。外見的には申告書の表紙の色の違いだけですが、内容としては、青色申告控除額、赤字決算の場合に繰越控除が認められるなど青色申告が税負担の面で有利です。ただ、継続的な取引の記帳処理が要求されます。

所得税は暦年課税で、1月1日から12月31日までの所得について翌年のは3月15日までに申告しかつ納付しなければなりません。これに遅れると延滞税がかけられます。ちなみに延滞税の額は、法定納期限の翌日から完納日までの日数に応じて、2カ月以内に完納した場合は、原則として年率7.3%で、2カ月を超えて納付した場合は、原則として14.6%で計算されます。

また、給与所得者が副業で個人事業を手がけている場合には、給与所得の所得税は源泉徴収されて源泉徴収票が勤務先から交付されます。事業所得の申告に際して、給与所得と事業所得は合計所得を構成します。これから所得控除を差引いた結果赤字の場合には、所得税の課税はゼロどころか給与所得で源泉された所得税が全額還付されます。

消費税及び地方消費税の計算手順

(1)消費税の税額計算

消費税の納付税額は、課税期間中の課税売上高に6.3%を乗じた額から、課税仕入高に108分の6.3を乗じた額を差し引いて計算します。

なお、この場合の「課税売上高」は、消費税及び地方消費税に相当する額を含まない税抜きの金額です。

  1. 消費税の納付額=課税期間中の課税売上高に係る消費税額-課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額
  2. 地方消費税の納付税額は消費税額に63分の17を乗じた額です。

納税する際には消費税と地方消費税の納付税額の合計額を納税します。

(2)消費税を納税する時の計算方法の種類

①本則課税による方法

「課税売上にかかる消費税額-課税仕入にかかる消費税額」という計算方法で納税金額を算出します。

②簡易課税による方法

5,000万円以下の課税売上の法人や個人事業主であれば選択が出来る計算方法です。「課税売上にかかる消費税額-課税売上にかかる消費税額×みなし仕入れ率」という計算方法で納税金額を算出します。

(3)簡易課税を選択できる条件

  1. 課税売上が5,000万円以下である。
  2. 税務署へ「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する。

(4)簡易課税を選択した場合の留意点

  1. 消費税の還付は受けられない。
  2. 一度選択したら2年間は変更できない。
  3. 変更には税務署へ「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出しなければならない。

(5)実際のみなし仕入率一覧表

事業区分 控除率
第1種事業 卸売業  90%
第2種事業 小売業  80%
第3種事業 製造業  70%
第4種事業 飲食店、金融、保険業  60%
第5種事業 不動産業、サービス業、通信業等  50%

個人事業者が納めなければならない地方税

個人住民税の計算手順

個人住民税の金額は、所得割額と均等割額で構成されています。

①所得割額の計算手順

  • (前年の所得額-所得控除額)×10%-税額控除額

法人税における法人住民税と同じ発想で算出されますが、こちらは前年の所得がベースになっています。

②均等割額

均等割は所得金額にかかわらず赤字でも定額で課税される税金です。現行、都民税では1,500円、区市町村民税3,500円です。

個人住民税が課税されない場合は以下の通りです。

  1. 生活保護法による生活扶助を受けている方
  2. 障害者、未成年者、寡婦又は寡夫で、前年中の合計所得金額が一定金額以下の方
  3. 前年中の合計所得金額が一定金額以下の方

個人住民税の所得控除項目は、所得税には存在する寄付金控除がないことと全体として控除される金額が低いことが異なる点ですが、処理手続きは事業所得の場合と同じです。

個人事業税の計算手順

①個人事業所得の計算式

  • 事業所得=収入-必要経費-各種所得控除額-青色申告特別控除

②個人事業税の計算式

  • (事業所得+所得税の事業専従者給与(控除)額-個人の事業税の事業専従者給与(控除)額+青色申告特別控除額+各種所得控除-個人事業税各種控除)×税率=個人事業税の税額

個人事業所得の計算を起点に個人事業税の計算式を導きます。所得計算上の基礎控除等の所得控除、青色申告特別控除は事業所得又は不動産所得計算過程で認められている特例ですから、個人事業税の計算の場では使うことができません。また、事業所得の過程で控除済みですから、元に戻すためにここで青色申特別控除額を加算します。

事業専従者(家族従業員)給与は、事業所得計算では所得税の事業専従者給与額を既に控除済みですので加算して元に戻し、改めて個人事業税の事業専従者給与を控除します。ちなみに、個人事業税の事業専従者給与とは、青色申告の場合は専従者への給与支払額で、白色申告の場合は配偶者の場合は86万円、その他の方の場合は1人50万円が限度です。

(1)各種控除

  1. 事業主控除

1年間営業していれば一律で290万円控除されます。つまり所得金額290万円までの場合は個人事業税は免税となることが解ります。

  1. 損失の繰越控除

青色申告者で事業の所得が赤字(損失)となったときは、翌年以降3年間、繰越控除ができます。

  1. 被災事業用資産の損失の繰越控除

白色申告者で、震災、風水害、火災などによって生じた事業用資産の損失の金額があるときは、翌年以降3年間、繰越控除ができます。

  1. 譲渡損失の控除と繰越控除

直接事業の用に供する資産(機械、装置、車両等。ただし土地、家屋等を除く)を譲渡したために生じた損失額については、事業の所得の計算上控除することができます。青色申告の事業主は翌年以降3年間、繰越控除ができます。

(2)個人事業税の法定業種と税率

区分 税率 事業の種類
第1種事業

(37業種)

5% 物品販売業 運送取扱業 料理店業 遊覧所業
保険業 船舶締係場業 飲食店業 商品取引業
金銭貸付業 倉庫業 斡旋業 不動産売買業
物品貸付業 駐車場業 代理業 広告業
不動産貸付業 請負業 仲立業 興信所業
製造業 印刷業 問屋業 案内業
電気供給業 出版業 両替業 冠婚葬祭業
土石採取業 写真業 公衆浴場業 電気通信業
床貸業 演劇興行業 運送業 旅館業
遊戯場業
第2種事業 4% 畜産業 水産業 薪炭製造業
第3種事業

(30業種)

5% 医業 公証人業 設計監督者業 海事代理業
歯科医業 弁理士業 不動産鑑定業 歯科技工士業
薬剤師業 税理士業 デザイン業 歯科技工士業
獣医業 公認会計士業 諸芸師匠業 測量士業
弁護士業 経理士業 理容業 美容業
司法書士業 社会保険労務士業 土地家屋調査士業 公衆浴場業
行政書士業 コンサルタント業 クリーニング業 印刷製版業
3% あんま、マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復師、その他医療に類する事業 装飾師業

東京都ホームページ

まとめ

国税の場合、国家予算の構成比率は財務省の2015年の政府収入案によれば、所得税17.1%、消費税17.8%で法人税の11.4%を超えております。その意味で所得税、消費税は重要です。

個人事業者の納めなければならない税金は、事業利益から所得税が導き出され、さらに所得税から個人住民税と事業税が導き出される仕組みになっていますので、事業所得税の算出は大変に重要です。

これらとは別に売上により「預かった消費税」と、仕入高や支払経費等の支払いにより「支払った消費税」の差額として消費税が導き出されます。上記税目とは違った視点を要求されるので注意しましょう。

個人事業主になったら目指すのは利益獲得ですが、それがなったからといって喜んでばかりはおられません。今度は税金が待ち構えています。納税は国民の義務ですから粛々と納税しましょう。

執筆者:久慈 伸樹

私立の専門学校専任講師として税務会計を担当、傍ら千葉県の私立四大に時間講師として招聘され並行して勤務する。学園の配置転換により、系列の経営短大の専任講師として配属される。少子化によるリストラで、早期退職を打診され、これを機に退職し、大学の講師職も辞して、税理士登録し個人事務所を立ちあげる。