多くの営業組織をみてきた営業のスペシャリストによる連載第九回です。

営業の第一歩である「アポ取り」に苦戦している営業の方は多いのではないでしょうか?

なかなかアポが取れないと、非常に難しいことのように感じてしまっている方も多いと思います。営業の最初に誰しもがつまずくポイントですが、多くの「躓いている営業」が陥っている罠があります。今回はその「罠」について解説していきます。

多くの「躓いている営業」が陥っている罠とは?

「アポを入れるために訪問趣旨を十分に説明しなければならない」という思い込みである。電話でアポを取る際に特にこの傾向は強まる。

この罠にかかった営業はおおよそ下記のような流れに嵌る。

『アポを取ろうと連絡をする→断られる→よりアポを取ろうとして沢山説明しようとする→話が長くなってお客さんが飽きる→どうやって断ろうか考え始める→出てきた「会わない理由」をひっくり返そうとして、ますます説明する→ますますお客さんが会いたくなくなる』

初回アポの電話など粘ったほうがいい場面もあるにはあるが、粘らざるを得ないようなアポ取りをしているのであれば、トークや架電相手(企業又は担当者)を変えて「すんなりアポが取れる」状況を作るべきである。

上記の罠から脱出するには「アポ取りの連絡はアポを取ること(=時間を売ること)以外にしない」という原則を徹底することだ。

大事なことはできるだけ会って伝えるべき

電話やメールでのコミュニケーションは非常に情報量の少ないコミュニケーションであり、営業本来の説得力のうち、一部の情報伝達手段(電話であれば音声だけ、メールであれば文字情報だけ)で相手に理解させるという伝える側にとっては不利なフィールドである。

わざわざそういった不利なフィールドで商品や提案内容の説明をするメリットはない。相手に間違った伝わり方をしてしまうリスクが高く、時間を取ってもらえないばかりか、間違った印象が第一印象として残り、商談に悪影響をおよぼすことも少なくない。

だから、昔から「膝を突き合わせて話す」と言われるとおり、大事なことはできるだけ会って(身振り、表情、声の調子、資料などフルに情報伝達手段が使える状況で)伝えるべきであり、アポ取りの際には日時や場所の確定に集中すべきである。

その日までにやっておいてほしいことなど、追加で伝えるべきことがある場合は日時確定した後にするべきである。通常、1件の連絡では1つのことしか頭に残らない。アポ取りの連絡に余計な情報が入っていればそれは単にノイズにしかならないのである。

アポに繋がるコミュニケーションとは?

この原則を徹底するとアポを取るときのコミュニケーションがどのように変わるか?

まず、最初の一言が変わるだろう。

「先日ご紹介した商品の件、どうでした?」といった当り障りのないコミュニケーション

→「先日ご紹介した商品の件で改めてお伺いしたいのですが、〇日の△時か☓日の□時お時間ありますか?」という単刀直入なコミュニケーション

お客さんから「この前の商品社内で検討したんだけど、☓☓という問題がありそうでね」と言われた際の返答が変わるだろう。

「それは△△という方法で解決できるので、大丈夫です。」などとその場で説得するコミュニケーション

→「そうなんですね。お伺いした時に詳しく教えて下さい。解決できると思いますので。お伺いいつにしましょうか?」とアポ取りを優先するコミュニケーション

この罠に嵌っている人は上記を実践するだけでもアポ率は格段に向上することと思う。

実際上記を実行しただけでアポ率が5倍や10倍になったという新人営業私は何人も見てきている。ぜひ、参考にしていただきたい。

専門家:畠山 和也

ソフトバンク、リクルート、ラクスルにてマーケティング・営業を歴任した後独立。自身が一線の営業として活動するのみならず、顧客のマーケティング・組織まで踏み込んだ施策を実行。メーカー・商社・代理店・小売など30業種以上を担当。顧客規模としても大手から中小まで幅広い経験がある。現在、営業・マーケティングコンサルタントとして6社を担当。成果にコミットしたコンサルテーションに定評がある。
ノマドジャーナル編集部
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