多くの営業組織をみてきた営業のスペシャリストによる連載第13回です。

前回は戦略的なアポの取り方についてお伝えしました。今回はクロージングの概念についてです。

クロージングの決めトークなんてものはない

前回までで商談の構築方法を説明した。

今回は営業をしているとよく聞かれるクロージングの考え方と方法について説明したい。

よく、聞かれるのは「クロージングの決めトークは何ですか?」と聞かれるが、これを聞く人はそもそもクロージングの考え方が間違っていると思う。

トークでクロージングすると考えている営業という仕事を「顧客を説得して意見を変えさせる行為」という考えているように思う。

そうではなく、顧客にとって役に立つものを、役に立つと顧客が適切に判断し、適切に利用するための情報を、適切な順番で提供することで顧客に行動を促すことが営業の仕事である。あくまで営業の仕事は情報を提供することが仕事であり、判断・行動するのは顧客である。

前回も述べたとおり、顧客のニーズを満たすことが出来、障害となる要素を取り除いていれば顧客は自ら「発注方法と納品方法」を尋ねてくる。その質問に適切に答えるだけで受注に至る。「やりましょう!」などと力説する必要などないのだ。

営業が一生懸命クロージングをしているシーンでは大抵、顧客の心は冷えきっている。「できるだけ早く、ここを切り上げたい」、「なんと言えば諦めてくれるだろう」そういうことを考えている。その状態の顧客に華麗な営業トークをぶつけたところで溝が深まるだけである。

断り切れずに契約してしまうということを狙って勢いで押す方法もあるにはあるが、オススメはしない。「契約させられた」という印象が顧客に残るため、契約時点での満足度が低くリピートを狙いにくい。WEB制作など納品に顧客の協力が必要な商品である場合、顧客の協力が得られず納品に時間と手間がかかる可能性も高い。そもそも以前に比べて「勢い営業」の成功率が下がっている。

「営業がクロージングしたい」と思った時に何をすれば良いのか?

では、これを前提にもう一度「クロージング」はどうやったら良いか考えてみる。

別の表現をするならば「営業がクロージングしたい」と思った時に何をすれば良いのか?ということを考えたい。

このシチュエーションで典型的なのは営業が「やるべき理由や商品の説明をやりきった。顧客も悪くないと感じている」と感じている一方、顧客は「商品ややるべき理由は理解したが、判断するには情報が足りない、整理できていない」と感じるときである。

であるから、顧客が感じている「決断できない理由」を解除する情報・条件を提示するということになる。この時、営業はこの「顧客が感じている決断できない理由」に気付けていない。顧客が納得していれば金額・納品手順を聞いて来るのであるから、そうでない場合は何かしら「決断できない理由」が存在することになる。金額や納品手順を聞かずして商品を手に入れることは出来ないのだから、当然といえば当然である。

「やりましょう」と力説する時間があるのであれば「決断できない理由」を見つけることに時間を割くべきである。

これを見つける方法はいくつもあるが、この項で説明していると長くなるので次回にまとめたい。次回は顧客の考えを引き出す実践テクニック集をお届けしたい。

専門家:畠山 和也

ソフトバンク、リクルート、ラクスルにてマーケティング・営業を歴任した後独立。自身が一線の営業として活動するのみならず、顧客のマーケティング・組織まで踏み込んだ施策を実行。メーカー・商社・代理店・小売など30業種以上を担当。顧客規模としても大手から中小まで幅広い経験がある。現在、営業・マーケティングコンサルタントとして6社を担当。成果にコミットしたコンサルテーションに定評がある。
ノマドジャーナル編集部
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