多くの営業組織をみてきた営業のスペシャリストによる連載第17回です。

前回は合理的な案件管理等、具体的な手法をお伝えしながら営業管理について解説していきました。今回はその後編です。

営業は冷静と情熱のあいだを行ったり来たりするもの

営業は、商談などの営業の現場では熱く情熱をもって行わなければならないことは、これまで口を酸っぱくお伝えしてきた。

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その一方で、「実際に受注に至るかどうか?」「どれくらいの数字が見込めるか?」など、案件管理は冷静に判断しなければならない。数字を上げるために動いている営業パーソンだからこそ、勘に頼って売上予測を立てると、往々にして甘い予測を立てがちなため、現場とは対照的に冷静さが大切だ。

営業は冷静と情熱のあいだを行ったり来たりする活動なのである。

あなたのビジネスでは、いろいろな案件がある中でどれくらいが最終的に受注にいたるだろうか? 10件の案件があったとして、全てに全力で取り組んだとしてもその全てを受注に至らせることは難しい。商材にもよるだろうが、受注率は20%~30%程度ではないだろうか?

とはいえ、確度の高いと思われた案件も失注することがあり、<追記>逆に全く期待していなかった案件が急に受注に至ることも有る。個々の営業案件の受注確度は異なるため、実績に近い予測をするのはなかなか難しいものだ。

将来の売上を予想したり、効率的に営業活動をおこなっていくためには、できるだけ実績に近い売上予測値を出す必要がある。そのためには合理的な顧客案件を管理していく方法が求められる。起業間もない創業期のベンチャー企業や中小企業にとっては、限られた営業の人的リソースを活用するためにも特に重要になってくる。

営業案件をチェックするビジネスマン

2. 顧客案件管理における案件ステータス

2.1. 案件ステータスと営業の流れ

営業の流れは前に述べた通り、営業案件の進捗具合によって、以下のようなステータスに区切ることができる。

①アプローチ → ②商談 → ③再訪 → ④クロージング → ⑤納品

ステータスが進むにしたがって案件の受注確度が上がっていく。例えば、電話や直接訪問で顧客にアタックする「アプローチ」のステータスより、顧客との「商談」ステータスにこぎつけた方が受注に至る可能性は高いというような具合だ。

2.2. 案件ステータスとステータス基準を決める

案件ステータスの区切り方については、あなたのビジネスに合わせて微調整が必要だが、共通して言えるのは、

誰もが合理的・客観的に判断できる基準を定義しないと、正しく案件の進捗具合を評価できないということだ。

感覚で判断をおこなっていると、彼らの個々の思考の癖にしたがって予測が甘すぎたり、逆に辛すぎたりする。

例えば、営業案件が「商談」ステータスに入る基準の定義は、「訪問した際に商材の価格を提示した上で、購入可否の答えを貰う日が顧客と共有できている」などである。

この場合、見積もりは出したが、いつまでに発注の可否をもらえるかが決まっていなかったり、導入時期は決まっているが価格を提示していなかったりといったケースは「商談」には入らなず、ステータスは「アプローチ」のままである。

2.3. 案件ステータスの基準を見直す

各ステータスにおける受注基準が適切であるかは定期的に見直す。ステータスの基準を定義した後、一定期間がたってからチェックして見直してみると、様々な基準の過不足が見つかるのが常である。

実際運用していくと、前述のような具体的な受注基準の定義をしても、個々の営業パーソンによって甘かったり辛かったりする。例えば、慎重に案件ステータスを認識するタイプの営業パーソンと、「期限が決まっていれば商談だから、とりあえず期限を決めてしまえ」とばかりに一方的に「弊社の商材は〇円です。□月△日までに結論をください!」と言い放って「商談」として報告してくるような営業パーソンもいる。当然、彼らの「商談」に至る見た目の確度は大きく異なることになる。

上記は極端な例だが、判断が含まれる問題は個々の営業パーソンの感覚や営業現場の状況によっても判断にブレが生じてしまうことは認識しておきたい。

3. 顧客案件管理の進め方

3.1. 案件管理の方程式

案件ステータスの項目を決めたら、次は、各案件ステータスごとに案件管理のしくみを組み込む。

売上見込 = 見込受注額 × 受注確度

「売上見込」は、その受注が成功した場合の「見込受注額」と受注する確率である「受注確度」を掛け合わせた金額とし、下図のように整理した上で、営業活動の進捗にともなって案件ステータスが変わる度に受注確度と見込受注額を更新していくとよい。

<追記>機械的に計算した金額だが、ステータスの基準と受注確度を実績を元に計算していくとトータルでおおよの着地が正しく予測できるようになる。

顧客案件管理表サンプル図

全案件の「見込売上」を合計すれば月末の売上予測を立てることができる。業種によっては売上でなく、粗利益(売上総利益)で管理しても良い。ただし、両方を同時に管理すると表が煩雑になり、手間ばかりかかるのでオススメしない。

3.2. 受注確度の修正

営業活動を始めるときは、受注確度は想定で設定する。現実はどうなるかわからないので、ここでは仮説に基づいて(いわゆる「鉛筆なめなめ」で)数値を設定すればよいだろう。

しかし、鉛筆なめなめ(今は「Excelポチポチ」?)のままではいけない。実際に営業を始めたら、営業実績から統計をとって、各ステータスに進んだ案件のうち何件が最終的な受注にすすんだかどうか?の正確なデータをとり、仮決めした「受注確度」の数字をより現実に近い「受注確度」に修正していこう。

各ステータスの受注率は受注した顧客案件数を全顧客案件数で割ればよい。

このように見込を立て、実績と比較をし、当初見込を修正していくことで精緻な案件表になっていく。現場では熱く、オフィスでは冷静に営業していただきたい。

専門家:畠山 和也

ソフトバンク、リクルート、ラクスルにてマーケティング・営業を歴任した後独立。自身が一線の営業として活動するのみならず、顧客のマーケティング・組織まで踏み込んだ施策を実行。メーカー・商社・代理店・小売など30業種以上を担当。顧客規模としても大手から中小まで幅広い経験がある。現在、営業・マーケティングコンサルタントとして6社を担当。成果にコミットしたコンサルテーションに定評がある。
ノマドジャーナル編集部
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