AIの進化は目覚ましく、AIを活用したサービスもどんどん登場してきています。今後、規模や業種を問わず、AIがあらゆる企業に影響を及ぼしていくことは確実でしょう。ぜひ自社にもAIを導入して、経営改善や業務効率化を図りたいと考えている経営者の方も多いのではないでしょうか。一方で、「AI」という言葉が独り歩きする現状の中、なかなか具体的な検討にまで進まないという声も多く聞きます。どのような分野にAIは向いていて、経営者に求められる判断ポイントとは何でしょうか。
AIの最前線でビジネス支援をしている山田勝俊氏に、経営者のための失敗しないAI導入のポイントについて伺いました。

【プロフィール】山田勝俊氏

株式会社コルノバム 代表取締役
ディーキン大学経営大学院(MBA)卒業後、IT業界での勤務経験を経て2社起業。その後、多国籍AIスタートアップ、コージェントラボでセールスディレクターとして、200社以上の大企業、中小企業向けにAIで手書きをデータ化するサービス「Tegaki」をはじめ、その他AIの導入コンサルティングを実施。2018年度から再度独立し大企業、中小企業向けの新規事業開発支援を行う。

ひと月たてば時代遅れになる?AI技術の目覚ましい進化

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「AI」に関するニュースを目にしない日はないくらい、AIは身近になってきました。技術革新やサービス化は米国をはじめとした海外勢が先行していますが、日本でもその存在感は増してきています。経済産業省が2017年に発表した「新産業構造ビジョン」では、AIを第4次産業⾰命技術のひとつと位置づけ、成長の最大の切り札であると明言しています。AIは今後、あらゆる産業構造を変える可能性を秘めていると言えるでしょう。

また、ひと月前に発表された論文を慌てて追いかけている間に時代遅れになってしまうくらい、技術革新が目覚ましいのもAIの特徴です。

もちろんまだまだ不可能なことも多いですが、AIを活用することで人間には難しかったことも実現できるようになってきています。例えば、数千万件の医学論文や臨床データとマッチングさせて症例を診断することなどは、AIが得意とする領域のひとつです。経営者の方にはぜひ、AIをテコにいかに自社の事業競争力を高められるかを検討していただければと思います。

今、AIの活用を検討するべき企業の特徴とは?

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それでは、AIの活用はどのような企業に向いているのでしょうか。規模や業種を問わず様々な活用可能性が考えられますが、特に下記のような課題を感じている企業にお薦めです。

  • 社内にある大量の書類をデータ化して活用したい
  • 社内に大量のデータがあり、分析すればコスト削減につながりそうだが手がつけられていない
  • 製造業で人がやるには時間がかかりすぎる作業が多く、自動化したい
  • サービス業で顧客属性などを踏まえて、仕入れを効率化したい

これらの課題を抱えている企業の多くは、AIに期待をしながらも、なかなか検討が進んでいないのではないかと思います。AIが得意とするデータの統合や分析などは、生産性の向上とも大きな関係があります。特に、製造業やサービス業においては、生産性の向上は成長への最重要ファクターとも言えます。これらの課題を感じている経営者の方は、今こそ自社のビジネスでAIがどのように活用できるかを見極め、行動に移す時ではないでしょうか。

最先端のAIを自社のビジネスにどのように活用するべき? ~AIを導入するべきテーマを見極める~

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AIが人間の知能を超えるという、いわゆるシンギュラリティが2045年に訪れると言われていますが、個人的にはもっと早いのではないかと思っています。時代が変わってからでは遅いので、今から行動を起こすことは重要です。しかし、取りあえずAIを導入しても残念ながら失敗する可能性が高いでしょう。それでは、失敗しないAI導入のポイントとは何でしょうか。

それは、最初にAIを導入するべきテーマをしっかりと見極めることです。先ほども述べたように、AIは人間がすると膨大な時間やコストがかかる大量データの統合や分析が得意です。また、人間では認識することが難しいような非常に細かい違いを認識することもAIなら可能です。このような「AIが得意とすること」を、AIに任せていくのが重要なのです。そしてその分のリソースを、人間にしかできないことに振り分けていくのです。別の言い方をすれば、「やろうとしていることは本当にAIが最適なのか?」をまず検討してくださいということです。よく検討してみたら、AIではなく現状のシステムやソフトウエアで十分な場合もあります。また、ピープルマネジメントのような領域は、現状のAIには難しいでしょう。もちろん、今後AIが得意とする領域は広がっていくと思いますが、現時点では人間にしかできないこともたくさんあります。経営者の方にはぜひAIを導入するべきテーマを見極めたうえで、AIを自社のビジネスで最大限に活用していただきたいと思います。